門田岳久(文化人類学・民俗学)

立教大学所属。今関心のある素材を羅列するとこんな感じです。→ モビリティ 聖地 都市計…

門田岳久(文化人類学・民俗学)

立教大学所属。今関心のある素材を羅列するとこんな感じです。→ モビリティ 聖地 都市計画思想 ソーシャルデザイン インフラ 市民科学 食と宗教観 離島 文化運動 批判的民俗学   地域の自立  https://researchmap.jp/kadota/

最近の記事

「今後の課題とさせていただきます」は言ってOK? :修論構想発表会におけるFAQの傾向と対策(3)

研究発表の質疑で答えに窮したときについ言ってしまいそうになる、「今後の課題とさせていただきます」。これを発しても良いかどうかで言えば、無言よりはまし、といった感じです。 もう少し掘り下げていきます。この文言は、大げさに言うと研究者人生で一度だけ言うことが許される、最後の切り札のようなものだと思ってください。安易に言ってはいけません。特に、質問にあまり向き合わず、すぐにこの文言を言ってしまうのは対話を避けるように見えますし、難しい質問であっても真摯に答えるように努めるのがまず

    • 宮本常一は「調査地被害」論文で誰を批判したのか?

      みずのわ出版から宮本常一・安渓遊地『調査されるという迷惑 増補版 フィールドに出る前に読んでおく本』が出版された。2008年刊の初版に3章分が追加されている。 フィールドワークを行う学問が調査先にさまざまな不利益や迷惑、苦痛を与えることについては、近年さまざまな学会・大学で議論され、それを未然に防ぐ施策が調査倫理として制度化されている(アイヌ民族遺骨問題もその一環である)。 しかし宮本の論文はそのような制度以前に「調査地被害」を言語化した希有な文章である(初出は1972年

      • 修論構想発表会におけるFAQの傾向と対策(2)

        前回(https://note.com/kadotatakehisa/n/n995f977acb61)の続きです。この記事は10年位前に院生指導のために書いていた文章のリサイクルです。想定する分野や大学院の”水準”は、私の専門分野・所属先をイメージしています。 4.研究の背景、研究動向についての質問 先行研究はないとおっしゃいましたが、本当に先行研究がないのでしょうか? あなたの分野における研究状況、研究動向をもう一度簡潔に教えてください。 3の「独創性についての質問

        • 修論構想発表におけるFAQの傾向と対策(1)

          *この記事は10年位前に院生指導のために書いていた文章のリサイクルです。想定する分野や大学院の”水準”は、私の専門分野・所属先をイメージしています。 はじめに修士論文の構想についての研究発表は緊張するものです。特に、話し慣れた指導教員以外の教員やDの先輩から発せられる厳しい質問は、誰もが心をえぐられます。 しかし、重要なのはその場をやり過ごすことでも、ショックを受けることでもなく、自分の研究を改善するヒントを質問に見いだし、論文に活かすことです。では、よくあるタイプの質問

        「今後の課題とさせていただきます」は言ってOK? :修論構想発表会におけるFAQの傾向と対策(3)