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読書感想「さみしい夜にはペンを持て」

この本は思春期の多感な学生へあてて書かれた本だけど、思いがけず休職して急にぽつんと大人の夏休みに放りこまれてしまった私にも、いろいろ刺さる本だった。

こんな人は特におすすめ:
 行き詰ってる気がする/繊細さん/ぐるぐる悩んじゃう

絶好調で、人間関係にも恵まれていて、悩みごとがない人には、読んでもピンとこない本かもしれない。

自己啓発本やビジネス本でみかける「イケてない自分から一皮むけて成功者になろう」本ではない。

一言でいえばこの本は、「気持ちを整理して、『今の自分もなかなか悪くないんじゃない?』と思える日記の書き方を教えてくれる」本だった。

『今の自分もなかなか悪くないんじゃない?』は自己肯定感とも呼べて、この感覚を持てていると、挫折や困難な環境でも「どうせ自分なんか…」と凹まないですむ。凹むと何もしてなくても心のエネルギーを吸い取られてしまうから、生活のQOLをぐんと上げてくれる。

書き方の具体例が豊富に、かつ、書くことの初心者でも共感しやすい切り口で書かれているのが特に良いところ。初心者の疑問に答える形で話が進んでいくのだ。

「なんていうか、最初の1行から手がとまっちゃうんだよね。なにをどう書いたらいいかわからないっていうか」

3章「きみの日記にも読者がいる」

主人公と一緒になって疑問を本にぶつけるうち、だんだんと理解が深まっていく。

書くこと自体は、社会人になってからメンタル管理の一環でずっとやってきたけど、
気持ちの殴り書きではなくて、
整理して俯瞰して書いて、
私は自分の人生では主人公だったんだと思い出せるっていうのははじめて。
よい習慣を教えてくれてありがとう。
まぁ私は毎日日記を書いているわけじゃないんだけど、悲しい気持ちになったときはこの本のことを思い出して、心の中で日記をかいている。(それじゃだめか?)

さて、この本を読んで書き方がどんな風に変わったか、とある日の日記をベースにチラ見せ。休職2週目くらいでまだ落ち込んでいた頃のなので、ちょっとしょんぼり感あるかもだけど今は元気ですのでご安心を。

本を読む前に書いた日記:

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〇〇のことを思い出すと悲しい。
ずっと困ってた。「どうしよう」が止まらなかった。
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本を読んだあとの日記:

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からからから。ベビーカーを押しながら夕暮れの道を歩く。
時折襲ってくる胸の痛み。かえでは思考を振り払うように首を振った。
重い足取りは、それでも止まらない。私のことを待っている娘が待っているから、保育園へと淡々と進み続けるのだった。
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afterの日記のほうが、読み返したときに「私、頑張ってるな」ってほんわかできると思う。それが自分への信頼感になってくれる。

気になる方は「さみしい夜にはペンを持て」、おすすめです!
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