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私のカメラ旅「新舞子海岸」

兵庫県たつの市の新舞子海岸は近畿隋一の遠浅の海岸だ。
瀬戸内海国立公園に属する美しい景勝地で、潮が引いた後にできる波打ったような模様の干潟に朝日夕日が水面に映し出され、鮮やかに染まっていく様子は海ならではの絶景だ。
私は、季節ごとに異なった表情を見せる美しい風景に魅せられて度々訪れている。


1. 広大な干潟に、朝日が反射する光景

 新月や満月の前後数日間、満潮と干潮の差が大きくなる「大潮」と「日の出」の時刻が重なる日が朝の干潟撮影の最適日といわれている。
 とくに12月〜2月は、日の出の時刻と干潮になるタイミングが重なることが多く、寒い朝の済んだ空気が、砂浜と水面の見事なコントラストをより一層綺麗に描いてくれる。
 私が初めて「朝の干潟撮影」に挑戦したのは2010年12月6日だった。
この日、「日の出」と「大潮」が重なるのは7時前だったが、前泊した宿の主人の案内で宿を出たのは4時だった。「えっ!そんなに早く?」と、吃驚したが撮影ポイントに着いて納得した。すでに数人の先客が三脚を立てて場所取りをしていた。
 私も一番柵に近いところに三脚を立てることが出来たが、待っている間の寒さには閉口した。
 暗い干潟に目をこらすとライトを持って動いている人がいた。「潮が引いた海に取り残されたイイダコを狙っているんです」と、宿の主人が教えてくれた。「場所取りだけでなく、これも撮りたいので早くここへきたのですよ」と聞いて、またまた納得した。

6時25分、東の彼方に太陽が顔を出し潮だまりの輪郭が色づいた。

 20分後、潮だまりの水面がオレンジ色に染まり、イイダコをとる漁師をシルエットで描きだした。

2.夕景撮影 その1

 干潟は、日の入りと干潮時刻が重なる時、水面と干潟が黄金色に輝く神秘的な絶景を創り出す。
 潮が引いた後にできる波打ったような模様の干潟に夕日が反射し、空模様が水面に映し出され、刻々と色合いを変えながら鮮やかに染まっていく様子は新舞子海岸ならではの絶景だ。
 私が2度目の干潟撮影に行ったのは、2015年3月10日の夕景だった。近くの綾部山梅林での撮影を終えて新舞子海岸の砂浜に立ったのは、16時30分。潮はかなり引いていたが、まだ陽は高かった。広角レンズで「光と渚の曲線美」を構図に撮ったり、「夕日を見る人をシルエット」で撮ったりしているうちに太陽が山の端にさしかかった。


 午後4時40分、斜光が渚を銀色に輝かせ、20分後には黄金色に、更に30分後にはオレンジに輝いた。まるで光のドラマを見るようだった。

3.夕景撮影 その2

 2023年10月23日、2年前に退会した写真クラブ主催の「砥峰高原のススキと新舞子海岸の夕景」撮影会にゲストとして参加した。
 前日、この日の潮見表をみると、最も潮位の低いのは10時の31cmで、「日の入」時刻17時19分の潮位は153cmと、その日の中では4番目に高い潮位だった。しかも、天気予報は「午前中は晴れ、午後は雨」だった。
「今日はダメだな~」と殆ど諦めながらの参加であった。
 14時、最初に訪れた砥峰高原での撮影を終えて新舞子海岸へ向かう。予想通り雨が降り出した。途中で物凄い雷雨になった。
 15時50分、現地に到着。雨は小やみになっていた。幹事さんがスマホを見ながら「あと30分ほどお待ちください。太陽が出ます」という言葉どおり16時20分、空は見事に晴れ、夕日が水面を照らしはじめた。

16時23分、太陽はまだ雲の中だったが、水面は新舞子海岸ならではの美しい模様を描いていた。

17時06分、美しい夕日が空と海を赤く染めた。大潮ではないため水面が高く、干潟の模様はなかったが青、オレンジ、赤のグラデーションはこの時期、この時間帯、この場所でしか見られない一期一会の絶景だ。

 17時15分、太陽は山の彼方に沈み、新舞子海岸特有の水面の模様がオレンジ色に輝いた。潮位が高いためチョコッと顔を出した砂地が良いアクセントになり、今までにない素敵な作品が撮れた。

 今回の撮影会は、『干潟撮影は「大潮」と「日の出(または日の入り)」の時刻が重なる日が最適日』という常識を完全に覆してくれた。
 いつの日か、また別の季節に訪れたいと思う。
 


 

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