2020年9月30日(水)

昨年まではこの日は、所属していた物流センターの棚卸が行われる日で、例年ほぼ同じ手順でやっているけれどもそれでも規定量の緊張感が事務所には走っていたけれども、異動した今年はそれとは無縁の緩やかさだった。本当に上半期の最終日か? 上司も隣人も休暇だったので、私の在宅勤務も極めて穏やかに進行した。井伏鱒二の【駅前旅館】が読まれ、語っている「私」と語られている「私」の微妙な距離の突き放しが面白く、その距離は【破局】に通ずる部分もある気がした。

在宅勤務の日は、(相対的に)手の込んだ料理をすることを自分に許しているというか課しているというか、権利と義務を同時に履行しているような気分になりながら手数の掛かる料理を作ることにしていて、それで言うと今日はキーマカレーが作られた。挽肉が、焼き色を付けたのだと主張するにはいささか黒すぎる領域に達してしまい、やや苦みをもたらす具材になってしまったけれども、それを除けば概ね美味しく、それを含めても二分法ならば美味しいと呼べる範疇に留まっていた。角切りされたじゃが芋の素揚げやピーマンの刻まれたものが投入されるなど、一風変わったレシピだったが信じて正解だった。

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