2020年9月27日(日)

理容室では極力沈黙で場を満たしたい側の人間なので、散髪されているあいだは基本的には眼を閉じているのだけれども、かと言って不機嫌であるとか髪を失っていく過程ですでに造形に不満を持っているというふうに思われたくもないから、極めて柔和な印象を与えるように心掛けた眼の瞑り方を心掛けていて、きっとその試みは成功していてこの上なく穏やかな表情を私は浮かべているのだろうが、目をつむっているのでそれを見ることはできない。シャンプー時、湯加減を確認されるまでに空く微妙な間のやり過ごし方がいまいち掴めない。余程のことがない限りその問いの回答になることが目に見えている、大丈夫ですよ、という文句を発話する心構えをするほかない。

人生ではじめて自発的に通してみたドラマは木村拓哉主演のプライドで、彼と交際するヒロインの妙に美しい人間、というのが私にとっての竹内結子で、そういう記憶の残り方をずっとしているし、今回の件でそれが思い出されてくることで俄然その記憶は補強され、心の中に残り続ける。

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