3月27日より導入されるSPOONの新機能についての考察

 3月27日よりコラボ機能とキャスト保存機能が有料化される。
 この情報がspoon運営より発表された2月28日から本稿を執筆している3月1日未明まで約2日だが、すでにXでは批判意見一色であり、これまでにない大炎上に発展しそうな不穏な気配が漂っている。
 本稿ではタイトルの通り、この新たに施行される新機能の是非について考察をしていきたい。

 まず2月28日にspoon運営から発表された情報の整理から行っていきたい。以下に発表内容を抜粋する。

『この度、2024年3月27日午後より無料で提供されていたLIVE関連の一部機能が有料へと変更になります。
◼︎有料化機能 - LIVE配信のCAST保存 - コラボ配信
■注意事項 1) 上記サービスは、提供開始予定のSpoon Membershipに登録いただいた場合のみご利用可能です。 2) サービス内部の事情により、適用される日程および内容は変更される場合があります。
■変更予定日 日程:2024年3月27日(水) 午後』

 要約するとspoon membershipなる新たな有料サービスが提供され、これまで無料で使えていたコラボ機能やキャスト保存機能はmembershipの1サービスに組み込まれるということだ。
 ここで誤解されやすいのが有料化されるのはあくまでもLiveのキャスト保存であり、castへの投稿を目的としたcast収録は無料であるという点だ。
 といっても、Xで大騒ぎされているのは専らコラボ機能の有料化についてであり、元々影の薄かったcast機能の有料化はあまり騒がれてはいないというのが現状だ。

 本発表は先行発表であり、変更点の詳細は3月15日に発表予定とのことなので現時点でこの新機能の是非を正しく断ずることはできないのかもしれない。
 しかし、詳細発表から提供開始までは2週間ほどしか猶予がないため、情報が少ないながら予測できる範囲で運営の思惑と、新サービス開始により起こる影響について次項より考えていく。

 そもそも論になるが、なぜspoon運営はこの新たなmembership機能に本来無料だった機能を組み込むことにしたのだろうか。冷静に考えて、元々タダで利用出来たものが有料になれば批判されるのは当然予測出来るわけで、それに伴い人が離れていく可能性だって十分予期できるはずである。
 これについて運営側が全く何も考えていなかった、とはさすがに考えにくく、言うなれば有料化に対して運営側は何かしらの言い訳を準備しているはずである。
 その言い訳は新設されるmembership機能に隠されていた。

 実はmembership機能自体はコラボ、キャストの有料化とは別の記事で発表されている。長いので割愛するが、要約すると、しれっと廃止されていたメンバーズ機能のバージョンアップ版がmembership機能となる。メンバーズと違うのはmembership機能はDJ側のサブスクであるという点だ。
 DJ側はmembership機能を利用することでプランと呼ばれるリスナー側が利用する特別なファン登録制度を設けることができるようになり、プラン加入者は非加入者とは違う様々な特典を得ることができようだ。
 特典というのがどういうものなのかはまだ不明ながら、ここで最重要なのはプラン加入者の投げたspoonの還元率は通常のspoonの還元率より高い設定がされているという点だ。
 私には運営が「membershipに登録したDJはリスナーにプラン加入してもらってたくさん投げ銭して貰えば利用代をペイできるから実質ノーダメージだよね♪」と、言っているように見えて仕方ない。

 仮にそういう意図があったとして、確かにリスナーに支えて貰えば有料コンテンツ代を浮かせることは出来るだろう。それは還元率が高いなら尚更だ。しかし、これはあくまでもトップランカーと呼ばれる一部の人気配信者に限る話であって、いわゆる過疎枠の配信者や新規に始めたユーザー、投げ銭を求めない配信スタイルのDJにはコラボ機能とキャストの有料化は痛手でしかない。
 特にコラボが前提の声劇、モノマネ、凸待ちの界隈は相当な被害を受けるだろうことは想像に難くない。
 現にXでは引退や別のアプリに移るといった意見が噴出しており、実際にそうなる可能性は十分に高いだろうと感じている。

 あらゆるコンテンツに言えることだが、コンテンツを支えているのは得てしてライトユーザーであることが多い。
 有象無象のライトユーザーがいるからこそトップランカーの価値が高まるのであって、下々の者が逃げ出してしまえばその上に立ちたいと思う者もいなくなってしまうだろう。
 弱小配信者には負担にしかならない今回の変更はまさしく過去最大の改悪といって差し支えなく、価格設定やサービス内容によって賛成票が増える余地は残されているものの、これを機にspoonという船自体が傾くことを私は懸念している。

 ところでこれは知らない方がほとんどだと思うが、実は3月の1位〜10位のトップチョイスDJには運営からプレゼントが用意してあるらしい。
 1位のDJには運営から50000spoonを贈呈するとのことだ。
 50000?五万?ゴマン???
 あくまでもアプリ内通貨ではあるが、現実のお金に換算すると50万円である。ちなみに2位は40000、3〜7位は30000、8〜10位は20000だそうで、ポイントをチャージするわけでもなく、運営が実際にその額を投げに行くそうだ。
……もうそれは会社の金を使って投げ銭して人気配信者のところで持て囃されたいだけだろ!

 もともと拝金主義的な側面はあったものの、今回の一件でspoon運営にはとてもがっかりしているというのが正直なところだ。特に人気者囲いというか、人気者よいしょな姿勢があまりにも強すぎるし、露骨に金をせびって上がった収益をトップチョイスに投げられては浮かばれない。
 というか既にたくさん投げられているからトップチョイスなのであって、そこに投資するメリットはいかほどのものなのか? もっと設備投資とか、新規参入を増やしたり離れるユーザーを繋ぎ止めたりするような方向に投資するべきではないのか?

 いかがだっただろうか?
 前述したように、あくまでも詳細は3月15日発表ということなのでまだ分からない点も多いし、実際に新体制を体験してみないと判断はつかないが、私はこの沈みそうな船から脱出し、新天地を目指す心の準備を始めたいと思う。
 


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