Insomnia 2話
自動ドアの抜けた先には等間隔に扉が並んでいた。復温室、処置室、診察室、救急隊員待機室、霊安室と続く。どれも木製の扉にプレートが打ち付けられているだけで覗き窓がないため扉の向こうがどうなっているのかは分からない。なかにはプレートのない扉もある。それらを物珍しくて眺めていると、羽鳥さんが気づいて歩を緩めた。
「救急車の受け入れを一部ここで引き受けていたらしいね」
「一部、というと普段は別の場所で受け入れていたんでしょうか?」
「あぁ、1階にもっと大きな救急ステーションがあって、