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シーパラダイス2

※1はこちらです。



コウくんはヘンタイだと思う

私の事をかならず
「ゆりこさん」
と呼ぶのだけど
それが妙に不自然なのだ

親愛と下心
それらがべっとりと張り付いている
にも関わらず
何もないように装い
さん までつけてしまうのだ。
可笑しいなぁと
いつも思うのだけど
きっとコウくんは怒るから
言わない

コウくんを
行きつけのクラブに誘い出すと
途端にしどろもどろしていた気がする
エスニック料理屋へ続く階段を
さらに降って
クラブ シーパラダイスへ
たどり着く

周りはココナッツオイルや
パクチーの匂いでごった返しているけれど
一度フロアに入ってしまえば
薄暗くひんやりとした匂いに変わる

コウくんに
シーパラダイスの説明をする
さながら小さな水族館で
熱帯魚と爬虫類たち
そして今日は特別に
チンアナゴまでいて可愛かった

コウくんに
かわいいね、というと
そうだねと言いながら
おしりを触る
コウくんはおしりが大好きで
今もワンピースのスリットから
手を入れようとする

私はコウくんの手を払って
とっとと踊ることにした
ここはみんな私の知り合いなのだ
DJもVJも
みんなみんなお友だち
コウくんはきっと
この2人も
私とセックスしているなんて
知るよりもないだろう

唐突に回ってきた
ドイツのビールは
なんだかとっても美味しくて
水みたいに飲み干してしまう

盛り上がっているフロアは
いつしか酒と汗の匂いで
グワングワンになっていた
「今日はシないの」
コウくんの質問は
非常にバカらしくて
思わずジントニックで
黙らせてしまった
口に含んで
コウくんの口に無理やり流し込むと
彼は目を丸くして
熱帯魚を見に行ってしまった

私は踊り狂った
コウくんに見せつけるように
ちっとも私を見ないコウくん
ワンピースのスリットな
ボタンをどんどん外して
足を組んで
コウくんがやきもちをやくのを
見てみたくて仕方ない

コウくんはおしりが大好きだから
私をいつも上にして
いっつもお尻を触ってる
私が気持ちよくなってしまうと
もっとしても大丈夫だよ
ゆりちゃんって
そう言う時だけ
ゆりちゃんっていうのが好きなのだけど

DJに頼んで
コウくんのすきな曲を
流してもらう
私はコウくんの隣で踊る
コウくんは時々私をぎゅっとする
コウくんはいつも
とってもかわいい

ちょっとトイレ、
そう言ってコウくんは消えた
私はガンガン踊ってる
楽しくてしかたがなくなっていると
熱帯魚を真剣にみつめてる
コウくんと
ふと目が合った
気がした。


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