【告知】『わたし、定時で帰ります。2 打倒!パワハラ企業編』が新潮文庫から刊行されます

文庫発売のお知らせです。

わた定シリーズの2作目『わたし、定時で帰ります。ハイパー』が文庫になって、3月1日に刊行されます。文庫版のタイトルは少し変わって『わたし、定時で帰ります。2 打倒!パワハラ企業編』。

下記は担当編集者さんが書いてくださった熱いあらすじです。

差別的CMでネット炎上したスポーツウェアメーカー「フォース」。ウェブ運用を勝ち取るコンペに参加した東山結衣だが、彼らは定時で帰ることをモットーとする結衣に怠け者の烙印を押し、「下請けだから」と時代錯誤な横暴を繰り返すパワハラ企業だった。対等に仕事しようと奔走する結衣だったが、トラブルメーカーばかりの新人教育も請け負うことになってしまい……。大人気シリーズ第二弾

2018年にTBSで放送されたドラマ『わたし、定時で帰ります。』のストーリーには、この2作目までが含まれます。

ドラマをご覧になった方は、結衣と晃太郎がランダースポーツという企業に苦労していたのを覚えておいででしょうか。古い体育会系気質の男性のみで構成され、派遣社員の桜宮さんにセクハラをはたらいていた新興スポーツメーカーです。
『わたし、定時で帰ります。2 打倒!パワハラ企業編』ではこの企業が、フォースという名前で登場します。彼らと戦うストーリーが今作のメインです。

とはいえ、設定は少し違っています。桜宮さんはドラマでは派遣社員でしたが、原作では新卒2年目の正社員。ストーリーの行き着く先もドラマとは少し違います。ですが、「横暴が許された時代は終わった」という核になる思いや、結衣と晃太郎がバディになって戦うところは同じです。なので、ドラマきっかけで興味を持ってくださった方にも存分に楽しんでいただけるのではないかと思います。

いま、重職にある人の「女性の発言を規制すべき」という発言をめぐって世間が沸騰していますが、今作の中にも「物言う女性」である結衣をフォースの男性社員たちがコンペから締め出すシーンがあります。書いている時は「シーンとして極端すぎるかな」とか「今どき、ここまでする組織はないだろう」と思っていましたが、そんなことはなかったですね。頑張れ、結衣。

そして、今作の陰の主人公は、晃太郎です。自分と同じ古い体育会系気質の男性であるフォースの社員たちと、彼は対峙しなければならなくなります。なぜ彼が野球を辞めたのか、その理由も明らかになっていきます。新潮社の野球経験者の方にお話を伺いながら書いていきましたが、思った以上に壮絶でした。この国で横暴を振るわれているのは女性だけでない。その苦しみを晃太郎がどう乗り越えていくか、最後まで応援いただければ幸いです。

そして!

今回、文庫化に当たって、単行本未所収のスピンオフを入れていただけることになりました!
結衣と晃太郎のスピンオフ「明日死ぬとしたら何食べたい?」が巻末に収めされておるのです。

このスピンオフは2018年3月号「小説新潮」の特集「何。食べよっか?」のために書いたものです。その時の告知がこれです↓

『わたし、定時で帰ります。』のスピンオフ「明日死ぬとしたら何食べたい?」掲載のお知らせ

時系列としては星印工場の案件の納品日の夜。一緒にビールを飲みに来た結衣と晃太郎のプライベートな会話を、語り手である上海飯店の招き猫が聞いている……という設定です。
本編ではほぼ仕事の話しかしない2人ですが、せめてスピンオフでは仕事以外の話をたくさんさせてやりたい。そんな思いで書きました。

この号はもう入手できないのですが、「読みたい」というありがたいお声をいただき、ドラマ放送直後に期間限定で公開もしていました。

『わたし、定時で帰ります。』スピンオフ 7月31日まで公開、そして続編は…  (※現在は公開していません)

それから再び読めない状態になっていたのですが、このたび、文庫に入れていただけることになりました。

このスピンオフ、本編を書き終わった後の疲労困憊の状態で、意識朦朧として執筆しました。ですが、自分で言うのもなんですが、読み直してみるといい感じに力抜けて書けています。いつも意識朦朧として書いたらいいのかもしれませんね。
未読の方はお楽しみに!

そんなこんなで、『わたし、定時で帰ります。2 打倒!パワハラ企業編』、3月1日に発売です。よろしくお願いいたします!