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切迫早産が発覚した時の話

 第一子妊娠中、ずっと不安に思っていたこと。それは、お腹の中の娘が標準よりかなり小さかったことでした。検診の度に、通常より2週間分小さいと言われ続け、「自分の栄養が足りないのかな?」「もっと安静にしないといけないのかな?」など、消えない不安が常に片隅にありました。

 それでも、赤ちゃんの体は小さいなりにちゃんと成長し続けていて、先生にも「この子なりに大きくなっているから、個人差の範囲かなー」と言われていました。実際、16週頃から元気に動き始め、毎日赤ちゃんが成長しているということは実感でき、そのことが不安を和らげてくれていたのです。

 しかし8ヶ月目のある朝、トイレに行くと、なんと大量の出血・・・   もしかして、「おしるし」じゃないよね・・・

 焦った私は、すぐさま病院へ。内診をして衝撃が走りました。
「あれ、子宮口が2cmくらい開き始めてるよ!これはもしかしたら2、3日後にお産になる可能性もあるかも。」と・・・

 そう、切迫早産です。

 そして、その後のエコーで、先生の表情が一気に曇ったのです。

「赤ちゃん、かなり小さいよ・・・!!この時期だったら普通2000gくらいあるのが理想だけど、1600gしかない。ちょっと小さすぎるね・・・。」と

 心臓が、すごいスピードで鼓動し始めました。

「今すぐ入院した方が良いよ!お腹の張り止めを点滴して、少しでも赤ちゃんがお腹の中で大きくなった方が良い。」

 2500g以下で生まれると、「低体重出生児」になるため、生まれた後は特別なケアが必要になるのですが、私のかかりつけの病院は総合病院ではなかったため、未熟児で生まれる場合は大きな病院へ移らなくてはならない旨を説明されました。ただ、点滴を続けることで改善される可能性があるので、とりあえずかかりつけの産婦人科にて入院することとなりました。

 切迫早産とは、「早産の危険がある状態」なので、赤ちゃんをなるべく長く胎内に留めておく為に絶対安静が必要。この「絶対安静」とは、トイレや食事以外はずっとベッドで横になっている状態です。

 元々お腹が張りやすかったのですが、張ると子宮内に圧がかかるので、赤ちゃんを押し出す作用が働いてしまうのです。これを少しでも抑えるための張り止めの点滴が必要だったのです。

 心の準備ができないまま、その足でそのまま入院になり、荷物は後ほど夫に持ってきてもらうことに。

 特に痛いところもないにずーーーっとベッドの上というのがなかなかつらかったのですが、少しでも赤ちゃんをお腹の中で育ててあげたい。赤ちゃんも頑張ってくれているんだと、エコー写真を見ながら自分に言い聞かせていました。

 結局5日程入院して、それ以上子宮口も開かず、赤ちゃんが下がっている気配もなかったため退院しました。しかし、張り止めの薬を飲み続けて絶対安静という条件のもとでの退院。臨月に入るまでの約1ヶ月、検診以外はほぼ家から出ず、家でもシャワーとトイレ以外はずっとベッドの上。

 妊娠するまでは忙しく働き、休みの日もどこかしらへお出かけする生活だったので、何もせずに家にいるとこんなにも時間が長いのかと初めて知りました。どんなにテレビを見ても、ネットサーフィンしても、ゲームをしても、雑誌を読んでも、全然時間が進まなくて、「眠くならないかなー。寝れば時間が早く過ぎるのに」と常に思っていたのですが、動いていないから全然眠くならないんですよね。

 そんな期間の唯一の楽しみはやはり検診。結局、入院後の検診で、赤ちゃんは小さいなりにちゃんと成長し続けていることがわかり、さらに子宮口もそれ以上開くことはありませんでした。

 結果、もしかして生まれちゃうかも・・・と、予定よりもかなり早い出産を覚悟して毎日ハラハラしながら過ごしていたにも関わらず、気がつけば臨月を迎えていたのでした。臨月というと、「ここからはどんどん運動してスムーズなお産を目指しましょう」という時期のイメージがありますが、筆者の場合は赤ちゃんが通常より2週間分小さかったこともあり、大人しく過ごすことを勧められました。

 とは言っても、臨月。いつ生まれてきてもおかしくない状態です。夫の休みの日に出かけるたび、
「2人で過ごす休日は今日が最後かもしれないね」
「来週はこの道を家族3人で歩いているかもしれないね」
などと話すのですが、それが次の週も、また次の週も続き。

 出産に立ち会いたがっていた夫はいつもカレンダーを見ながら、
「この辺りで生まれてくれたらベスト」
「ここで生まれたら立ち会えないかも・・・」などと言いながら、
「この日に陣痛がきたらこうしよう!」などと、2人で話し合う毎日。

 大型の台風が近づいていた時期でもあったため、その時に重なったらどうしようと不安に思うこともありましたが、陣痛の来ない平和な毎日はどんどん過ぎて行き。

 てっきり早く生まれてくると思い込んでいた割に、あっさり予定日を迎えたのでした。

 今か今かと待ち望んでいると、毎日はこんなにも遅く過ぎていくのですね。臨月を迎えてから予定日までの1ヶ月がとても長くて。早めに組み立てたベビーベッドやその他のグッズが用意された家にいると、なおさら。

 予定日を過ぎるとさすがに、この数日、または1週間以内くらいには必ず生まれてくるのだという気持ちになるため、毎日ドキドキしながら過ごしていたわけですが、検診に行くたびに言われることは毎回同じ。。。

「うーん。まだ下がってきていないねー。」
「子宮口もあれから広がっていないねー。」

 その間にも、小さかった赤ちゃんは少しずつ大きく育ってくれていて、未熟児になりそうな不安からは解放されて嬉しかったのですが、エコーで見る娘はなんとものんびりとこちらを向いて、まだまだお腹の中にいる気満々の顔。

 先生はその都度、
「次の検診までには生まれると思うけどね」と言っていたのですが、

 結局予定日を12日過ぎても生まれず・・・!

 ついに最後の検診で
「赤ちゃんにも羊水の量にも問題はないけれど、そろそろ42週に入るから誘発分娩にしましょうか」と言われ、当初全く思っても見なかった計画分娩になったのでした。


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