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【デカフェのつくりかた】ウォータープロセス

こんにちは、カフリの山本です!
カフェインレスコーヒーにもっと親しんでもらうためには、
疑問や不安にお答えしていくのがいいのでは?!
と思い立ってXで質問を募集してみました!

そしてなんと、さっそくご質問いただきました!(感謝!)
この記事では以下の質問にお答えいていきたいと思います◎

スイスウォータープロセスとマウンテンウォータープロセス

Q:『スイスウォータープロセス』と 『マウンテンウォータープロセス』の違いが分かりません。 風味に差が出たりするのでしょうか?

あと、二酸化炭素?を用いたデカフェ製法は飲んだことが無いので風味とか何も分かりません。

ご質問ありがとうございます。
質問が2つありましたので、今回は前半のウォータープロセスについてお答えしていきたいと思います。(二酸化炭素による抽出については次回別記事で!)

「スイスウォータープロセス」と「マウンテンウォータープロセス」
どちらもウォータープロセスという手法のカフェイン抽出法です。

あまり長々と回答してしまうと難しくなり過ぎてしまいますので、
ポイントを押さえて簡単にお答えしていきますね。

ウォータープロセスの共通点

ウォータープロセス(またはウォーターメソッド、水法)はその名の通り”水”を使用してコーヒー豆からカフェインを抜き取るカフェインレスコーヒー精製法です。

コーヒーの生豆を、カフェイン以外のコーヒー成分が飽和した状態の水溶液に漬けることにより、カフェインのみ水に溶け出させることで、生豆からカフェインを抜き取ります。

カフェイン除去のタイミングだけでなく、水溶液に浸す前に成分が溶け出しやすい状態を作る工程や、豆にダメージを与えやすい乾燥工程などを管理して、おいしいデカフェ豆を精製しています。

水以外使用しないためコーヒーの味に影響を及ぼす薬剤などの残留の心配がないため、高品質なコーヒーのデカフェ処理に向いていると言われています。

スイスウォータープロセスの特徴

スイスウォータープロセス(SWP)はカナダのSwiss Water Decaffeinated Coffee Inc.が開発・特許を取得した独自のカフェイン除去法です。1930年代以降スイスで研究・開発されたメソッドが改良され、1980年代にカナダの同社にて商用化されました。商用化当時は安定したデカフェ豆の生産が難しかったようですが、再開発され、2007年現在の精製方法に至りました。

ブリティッシュコロンビア州のコースト山脈から流れる天然水を使用、コーヒー豆を水に浸し成分を抽出したGCA(Green Coffee Extraxt:コーヒー抽出液)のクオリティにこだわり、徹底した管理を行っています。このGCEはカフェイン以外のコーヒー成分が飽和した状態になっており、GCEが元のコーヒー生豆の周りを循環することで、コーヒー生豆のカフェインのみが溶け出します。

GCEは循環の際にカーボンフィルターを通ります。このカーボンフィルターは一種のトラップのように溶け出したカフェインのみをキャッチするので、GCEは常にリフレッシュされた状態でコーヒー生豆に触れ、生豆のカフェイン含有率が0.1%以下になるまで循環し続けます。これにより生豆本来の活かすことができると言われています。


マウンテンウォータープロセスの特徴

マウンテンウォータープロセス(MWP)はメキシコのDescamex社が開発したカフェイン除去方法で、と略されることもあります。同社の設立は1980年、デカフェコーヒーの生産は1982年からですが、当時は有機溶媒(薬品)によるカフェイン抽出法(現在も採用)のみでした。1987年よりMWPを採用、ラテンアメリカで唯一の水法によるカフェインレスコーヒー精製会社となりました。

メキシコで最も高い山であるメキシコ・ピコ・デ・オリザバ火山の純水を使用して97%以上のカフェインが除去されるように精製処理を行います。カフェイン除去のための水溶液にコーヒーを浸す際、加圧・加熱しながらカフェインを除去していくことが特徴です。

カフェイン除去された生豆は3度の乾燥工程と豆表面の研磨を経て完成となります。

相違点

スイスウォータープロセスとマウンテンウォータープロセスの最大の相違点は「カフェイン除去の際の加圧」です。GCEの徹底的な管理により品質をコントロールするスイスウォータープロセスでは、生豆の周りを何度もGCE(飽和水溶液)が通ります。大してマウンテンウォータープロセスでは加圧の工程により効率良くカフェインを除去し、水溶液を何度もコーヒー生豆に触れさせる必要がなくなり、プロセス臭(デカフェ処理独特の香り)を抑えることができると言われています。

ただし、プロセスの違いにより味が大きく異なるというわけではありません。カフリではどちらのプロセスの生豆も採用しています。

まとめ

ウォータープロセスは様々なコーヒー豆の個性を失うことなくカフェインを除去し、再現性の高い安定した品質のデカフェ豆を供給できます。とはいえ、豆の個性を引き出し美味しく味わうことができるようになるには、適切な焙煎が必要不可欠です。

カフリはウォータープロセスのデカフェ豆をメインの原料として採用しています。最高のデカフェコーヒー体験を皆様にお届けできるよう、高品質のデカフェ豆原料を使用し、各原料に一番適した焙煎をができるよう検証を繰り返し、製品化しています。

使用しているコーヒー豆の特徴などについては各製品のページをご覧ください。

おまけ:超臨界二酸化炭素抽出法とは

質問者様のポストにあった、二酸化炭素を使用したカフェイン抽出法を「超臨界味酸化炭素抽出法」といいます。固体、液体、気体のどの状態でもない「超臨界状態」の二酸化炭素をコーヒー生豆に吹き付けることで、フレーバーの損失を最低限に抑えながらカフェインを除去する方法です。

次回詳しく説明したいと思いますが、ウォータプロセスに比べるとある程度少量から作成可能だったり、理論上は圧力をかけている時間などにより(50%だけ除くなど)カフェインの含有量を変えられるなどのメリットがあります。

次回の記事もお楽しみに!

ご質問・ご感想などコメントお待ちしております😊




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