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化学系出版社

初めに

化学系の出版社一覧が欲しいと思ったことがないだろうか。一応、自然科学に関する出版社がまとめられたwikiの記事もあるのだが、数が少なすぎるので使い物にならない。従って、自分で作ることにした。

ただ、”化学系出版社”という概念があやふやなので、「化学系の書籍を一冊以上は出版していること」を最低限の条件とした。つまり、化学を主とした出版事業でなくても可とした。ただ、化学と編にいっても、分野は多種多用で、最近では融合が加速したことで分野間の境目も極めて薄いものとなっている。また、本当に化学系の書籍が一冊だけで、他は化学ともその周辺分野ともかけ離れているような出版社をまとめてもしょうがない。なので、最終的に化学系かどうかの判断は私の独断と偏見で決めることにしたのでご了承願いたい。また、化学系にするかどうか迷った出版社に関しては、「化学系か怪しい出版社」にまとめておいた。ちなみに、並び順には特に意味はない。ただ、私が書こうと思った出版社順なので、上のほうが知っている出版社が多いはずである。


化学同人

 1954年9月,故小竹無二雄先生(当時,大阪大学教授)を初めとする故槌田龍太郎,故桜田一郎,故小田良平,故井本 稔,故久保田尚志の諸先生方と故曽根寿明,故植下定一の出資により,月刊誌『化学』を刊行するための同志の集まり「化学同人」が誕生.社名の「化学同人」は故小竹無二雄先生の命名による.
 以後,『化学』は順調な発展を続け,現在通巻853号となる(2022年6月号).別冊化学,書籍などの出版にも力を注ぎ.創業当時からの基本理念である“内容は高く 表現はやさしく”をモットーにただ利潤追求のみに走ることなく,自然科学関連分野の発展と専門分野知識の一般への普及に寄与する良書の刊行を続けている.

会社情報(会社概要) - 株式会社 化学同人 (kagakudojin.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング159位。化学の名を冠する出版社として、東京化学同人と対をなす巨頭。主な事業内容は自然科学分野の書籍と月刊誌「化学」の発行である。代表的な書籍は多すぎて選ぶのが大変なレベルだが、例えば以下の有機化学の教科書は多くの化学系大学生になじみ深いだろう。

上記のほかに、ハリス、スミスなどがある。教科書以外にも、CSJカレントレビューやDOJIN ACADEMIC SERIESなど、学術的に高度な成書も積極的に出版している。

したがって、学部生から研究者まで幅広い人が必ずお世話になる出版社である。ちなみに、絵本もよく発行しているのだが、なぜ化学同人が絵本に手を出しているのか知っている人はぜひ教えてほしい。

・紹介記事
書評:有機化学と軌道概念|化学書評 (note.com)
書評:フッ素の特性が織りなす分子変換・材料化学|化学書評 (note.com)
書評:有機金属反応剤ハンドブック|化学書評 (note.com)
書評:フロンティア軌道論で理解する有機化学|化学書評 (note.com)

東京化学同人

おもに理・工・情報・農・薬・医・家政学系などの教科書類、専門書、辞典類および雑誌の出版販売

会社概要 - 株式会社東京化学同人 (tkd-pbl.com)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング126位。化学の名を冠する出版社二大巨頭の片割れ。二大巨頭とはいったが、実際には東京化学同人のほうが実力は上だろう (個人的感想)。月刊誌「現代化学」の刊行をおこなっている。また、化学の教科書も多く出版している。有機化学以外にも無機化学や物理化学などの代表的教科書を出版している。

上記のほかに、ウォーレンやクライン、ラウドン、ジョーンズ、ブラウン、ソレル、モリソン・ボイド、マッカーリ・サイモン、バーロー、ムーア、ハウスクロフトといった圧倒的戦力を有する。学部生向けの教科書以外にも、大学院生以上を対象とする、専門性の高い成書も多く出版している。

・紹介記事
書評:有機合成のための遷移金属触媒反応|化学書評 (note.com)

丸善出版

 丸善は1869年に、わが国の文化の発展に貢献することを創業の精神に掲げ横浜の地に創業致しました。出版事業は、1876年に土屋寛信抄訳にかかる『新薬性功』を発行した頃からその歴史の歩みをはじめ、『化学日記』(1877年)、『物理日記』(1878年)、『新体詩抄』(1882年)、『学の燈』(1897年創刊。後の『學鐙』)等、文明開化以降の日本と歩調を合わせるように、各時代の「知」を数多くの読者に届けてまいりました。
 今日では理工学・医学分野においてわが国を代表する便覧、事典、専門書、大学テキストなどを多数刊行するばかりでなく、人文社会科学系の事典類も手がけています。また、看護・教育・心理など多岐にわたる分野の映像教材(DVD等)の制作・発行や、BBC(英国放送協会)などの教育機関向け総代理店を行っており、近年では、電子書籍や映像配信サービスなどのデジタルコンテンツにも力を注ぎ、幅広い事業を展開しています。
 「知の生成と流通に革新をもたらす企業集団となる」という丸善CHIホールディングスビジョンの下、求められるコンテンツを様々な媒体でタイムリーに提供する、という「学術、教育分野のコンテンツメーカー」として、これからも多くの読者の知に訴えてまいります。

丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社 (maruzen-publishing.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング48位の大手。化学同人、東京化学同人より扱うジャンルは広く、文系科目も取り扱っている。丸善は教科書というより、辞典や実験化学講座といった、大物を取り扱っているイメージが強い。

大物以外にも、福井謙一 著『化学反応と電子の軌道』などの歴史的名著を発行してきた老舗出版社。

・紹介記事
書評:実験のための溶媒ハンドブック|化学書評 (note.com)
書評:研究室で役立つ有機実験のナビゲーター|化学書評 (note.com)
書評:有機合成の定番レシピ|化学書評 (note.com)
書評:Gaussianプログラムによる量子化学計算マニュアル|化学書評 (note.com)

岩波書店

 1913年、岩波茂雄が創業。日本の代表的な総合出版社の一つ。人文科学、社会科学、自然科学の分野での水準の高い学術書を基軸に、文庫、新書などの普及書、啓蒙書、さらに児童書、全集、講座、辞典のほか、電子出版、オンデマンド出版など、さまざまな形態による出版活動を活発に行っている。上記の他に、現代文庫、ジュニア新書、ブックレットなどを含め、刊行点数は現在までに約3万点に及ぶ。文庫(1927年創刊)、新書(1938年創刊)、電子出版では、出版界に先鞭をつけた。国語+百科の最高峰として知られる『広辞苑』は、いまや国民的な辞典となっている。

株式会社 岩波書店 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング19位のビック出版社。化学とは関係ないが、『広辞苑』といったモンスター級を筆頭に、辞典のイメージがかなり強い。

辞典以外にも多くの叢書をかかえており、漫画なしでランキング19位は伊達ではない。岩波講座は、多くの分野に展開する代表的叢書で、岩波講座現代化学、岩波講座現代化学への入門シリーズには数多くの名著が存在する。


講談社サイエンティフィク

講談社サイエンティフィクは科学一般から地球環境科学まで、多くの自然科学関連書籍を出版しています。

株式会社 講談社サイエンティフィク | 自然科学の書籍の出版・企画を行っております。 (kspub.co.jp)

講談社自体は大手3大出版社の内の1つで、2023年紀伊國屋書店売上ランキングは堂々の一位。少年マガジンをひっさげており、基本的に日本は漫画系の出版社が強いようだ。講談社サイエンティフィクは、そんな講談社の自然科学書専門のブランド。有名な教科書はないが、多くの優秀な参考書を出版している。例えば『絶対わかる化学シリーズ』などはお世話になった方が多いのではないだろうか。ちなみに『絶対わかる化学シリーズ』は様々な分野があり、20冊程度出版しているが、その全てが齋藤勝裕先生によって書かれている。

初学者向け以外にも、特定の分野の旗艦級となる高度な成書も出版しており、初学者からプロまで幅広いターゲット層を有する。

・紹介記事
書評:フロンティア軌道法入門|化学書評 (note.com)
書評:フッ素の化合物|化学書評 (note.com)
書評:有機化学のための分子間力入門|化学書評 (note.com)
書評:合成化学者のための実験有機金属化学|化学書評 (note.com)


裳華房

 弊社の東京開業は明治28年(1895)ですが、その起源は、江戸時代における伊達藩の御用板所であった「仙台書林 裳華房」に遡ります。明治期の代表的な出版物に、新渡戸稲造著『BUSHIDO(武士道)』(明治33年)があります。
 大正時代に入ってから、次代に来るべきものとして自然科学・技術の重要性に着目し、科学書の出版に力を注いできました。
 現在は、大学・短大・高専等における数学、物理学、化学、生物学分野の教科書・参考書を中心に出版しています。
 今後も読者の皆様に評価していただける良質な書籍づくりを目指しています。

【裳華房】 会社紹介 (shokabo.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング263位。絵本を出版している化学同人あたりと比べると、真面目な成書を出版しているイメージがある。故に一般層からの知名度はあまりないかもしれない。しかし歴史的にも名著を多く出版しており、例えば山本明夫 著『有機金属化学』は、有機金属化学の不朽の名著として知らている。個人的には好きな出版社である。

最近、Youtuberのもろぴーさん執筆の書籍が出版されており、裳華房らしくないと驚いた。

・紹介記事
書評:文系でも3時間でわかる 超有機化学入門|化学書評 (note.com)
書評:有機化学のための量子化学計算入門|化学書評 (note.com)

三共出版

 小社は1947年9月,故萩原誠三郎が創業して以来,理工学関係の図書を中心に刊行し,微力ながら文化の発展向上に努力しております。
 小社の社名である「三共」は,著者と読者とわれわれ製作者(資材・印刷・製本を含めて)の緊密な一体化によってこそ,良質の出版はなし得るとの念願の表象で,その精神を社のマークに表わしています。著者の卓見良識に期待し,読者の要望批判に応え,製作関係者一同の熱意と優れた技術,この三者の共同の力により,今後も一段と良書の発行に専念する所存です。何卒一層のご支援のほどお願い申し上げます。

会社案内|三共出版株式会社 (sankyoshuppan.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。大手出版社と比べると力はないのかもしれないが、数多くの名著を発行してきている。例えば山口 達明 著『有機化学の理論』は、質問とその回答という体裁で構成されており、学生がそういうものだと思い込むしかなかった様々な根本的現象を明快に解説している唯一無二の存在。

また、高度かつマニアックな成書も積極的に発行しており、フッ素化学の名著、『フッ素化学入門2010』はまだマシな方だが、錯体化学会フロンティア選書シリーズ、錯体化学会選書シリーズなど、明らかに数がでないようなものも積極的に発行しており、個人的に好きな出版社の1つである。

・紹介記事
書評:フッ素化学入門2010—基礎と応用の最前線|化学書評 (note.com)
書評:フッ素化学入門2015—フッ素化合物の合成法|化学書評 (note.com)

シーエムシー出版

 急速に進展する技術革新の中で、弊社は産業界が必要とするテーマをいち早く取り上げ、最新の技術および市場情報を提供しています。そのカバーする情報エリアは、ファインケミカル、バイオテクノロジー、新素材から環境、医療等まで多岐にわたり、常に各分野をリードする技術・市場情報レポートとして、企業における読者ニーズを的確に把握し、提供してきたものと自負しております。これからもシーエムシー出版の産業情報にご期待ください。

シーエムシー出版 / 会社案内 (cmcbooks.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。とてつもなくマニアックな方向に特化している出版社。基本的には企業を対象としている節があり、基本的に本の価格は数万~十数万円と、個人では手が届かない。例えば今野勉 監修『有機フッ素化合物の最新動向』などは私もほしいのだが、価格が9万円で、なんなら中古はさらにプレミア価格となっているので、流石にあきらめている。大学の図書館にもおいてくれと頼んでも、高くて買えないと言われた。

ただ、会社もそのことはわかっていて、個人向けに一般理工書や普及版を展開しており、数千円程度で買えるようになっている。

・紹介記事
書評:フッ素系生理活性物質の開発と応用|化学書評 (note.com)

朝倉書店

 小社は1929年(昭和4年)の創業以来、多年にわたり、皆さまからの、厚いご支援を賜り、今日に至っております。心から御礼を申し上げます。
 私どもは、理学・工学・医学・農学・人文科学・家政学などの学術専門書および理工系(一部文科系もあり)を中心に大学の教科書も出版してきましたが、刊行に当たっては時代の要請に応える一方、常に学問的厳正さを保つという態度を心がけて参りました。今後もよりよい出版物の刊行を目指して社会の負託に応えるべく社員一同たゆみない努力をつづける所存でございますので、なにとぞ、一層のご支援、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

会社案内|朝倉書店 (asakura.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング83位。実直に真面目な学術書を発行し続けている。朝倉化学大系シリーズなどの大作も手掛けている。

また、マニアックな辞典を作ることでも有名である。

・紹介記事
書評:有機化学用語事典|化学書評 (note.com)
書評:有機人名反応|化学書評 (note.com)

共立出版

 1926年(大正15年)の創業以来、時代に即した出版を心掛けて、数学をはじめとした理学分野や工学分野の自然科学書を刊行してまいりました。昨今では文理融合を意識した書籍の刊行も手がけるなど、読者のニーズにお応えできる“自然科学書のリーディングカンパニー”を目指して今後も歩み続けます。

共立出版株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング91位。恐らく最も有名なのが、 化学の要点シリーズだろう。本当のポケットサイズで難解な学問を解説してくれるので、初めの一冊として最適である。


化学工業日報社

 1936年10月1日に創立、翌37年2月21日「東京薬品日報」を発刊、1947年「化学工業日報」へ改題。黎明期から発展期、さらに国際化時代へ大きく変貌する化学工業およびその関連産業情報を80年以上にわたり報道。さらに、1960年国際化に先駈け英文週刊紙「Japan Chemical Week」を創刊。また、出版事業においても、定期刊行物(月刊誌含む)を始め各種専門書をタイムリーに発行。さらに、セミナー/展示会開催・産業視察団・マルチメディア情報等の提供など、多角的な事業を展開。

会社概要 - 化学工業日報 (chemicaldaily.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。出版事業はあくまで一つの事業形態で、新聞やセミナーなども行っている会社。基本的に、アカデミックよりは企業をターゲットにしており、『17524の化学商品』などがその典型例だろう。

アカデミックの人間にも嬉しいものとしては、毛利 文仁 著『GAMESSとFireflyの使い方』などがあげられるだろう。量子化学計算プログラムはGaussianがデファクトスタンダードであり、それに伴い解説本もGaussianのものが圧倒的に多い。一方、GAMESSは無料で扱えるソフトウェアであるという点から、GAMESSのマニュアル本の価値は多くの人にとってかけがえのない存在だろう。


森北出版

 弊社は1950年の設立以来、理工学書に特化した出版活動を続けてまいりました。独自の内容と切り口にこだわった情報提供を行い、日本の科学技術の発展に貢献していると自負しております。社会環境の変化に伴い情報の伝達方法は徐々に変化していますが、弊社はこの役割を果たしながら、読者の立場にたった書籍づくりを行い、今後も良質な情報を届けられるよう努めてまいります。弊社の書籍が、読者の視野を広げるきっかけになれば幸いです。

森北出版株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング129位。基本的に自然科学や工学の本を専門に発行している出版社。計算化学のバイブルFrank Jensenの「Introduction to Computational Chemistry」の翻訳版がこの前発行された。このレベルの和書はこれ以外ないだろう。

他にも多くの計算化学に関する書籍を発行している。


コロナ社

 コロナ社は1927年に、牛来丈助によって創立され、主として電気工学系の書籍および海外名著の翻訳出版から発足しました。以来、日本の文化・技術の向上をめざし、理工学専門書の出版社として鋭意努力をして参りました。
 社会の進展・多様化に伴い、電気工学のみならず電子・情報工学および機械、土木、建築、バイオテクノロジーと、工学のあらゆる部門に進出しました。
 現在は幅広い自然科学書の専門出版社として、学生に、また技術者・研究者に熟知され、斯界で高く評価されております。
 今後も社会の趨勢に応え、わが国の科学・技術の進歩・発展に貢献すべく、社員一丸となって邁進していく所存にございます。
 社名のコロナは、太陽の周縁から放射される"コロナ"現象から採ったもので、電気工学研究の精華を顕さんとしたものです。

会社案内 | コロナ社 (coronasha.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング155位。理工系の幅広い分野を扱う出版社。化学関連の書籍もそれなりに発行しており、例えば有機電気化学の分野では、淵上 寿雄 編著『有機電気化学』が有名である。

また、最近ではこれまでの日本語の成書にはない、Psi4のマニュアル本というニッチな本も出版している。

・紹介記事
書評:Pythonで動かして始める量子化学計算|化学書評 (note.com)

培風館

当社は1924年,初代社長 山本慶治によって創立されました。当時は中等教科書,教育関係書と旧制高校の教科書の出版活動を展開していましたが,戦争を挟んで大学受験参考書分野に進出し,その後は山本健二,山本 格のもとに“常に時代の求めに沿った書籍を入念に作りあげてお届けすること”という創業以来のモットーを守り,数学を初め,自然科学,工学,社会科学の分野の教科書,専門書の出版に注力してまいりました。1984年出版の「物理学辞典」は理工系出版の一つの集大成であり,その後出版された「情報システムハンドブック」「センサハンドブック」「アドバンスト・エレクトロニクスシリーズ」「心理臨床大事典」は,21世紀へ向けての当社の一大飛躍への基礎固めを意図したものであります。

株式会社 培風館 (baifukan.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング291位。理工系の分野を扱う出版社。物理学辞典編集委員会 編『物理学辞典』は名著と名高い。

また、有機化学の初めの一冊として、H. ハート 著『基礎有機化学』が最も有名ではなだろうか。


学術図書出版社

 学術図書出版社は1956年に産声を上げて以来,大学の理工学部の基礎科目である数学,物理学を中心に化学,生物科学,地球科学,情報科学などの他に,人文社会,教育,健康科学などのテキスト出版に精進してまいりました.
 常に心がけておりますのは温故知新の実践です.
 温故は知新の礎ともなり,知新は温故なしではあり得ません.
 テキスト出版を通じて知識だけではない,未来を担う青年たちの人間教育にまで踏み込むことが小社の理想です.その理想を実現する出版物の刊行を目指し,ひたすら努力を続けてまいりますので,変わらぬご愛顧とご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.

会社概要 | 学術図書出版社 - 大学・短大・高専・専門学校向けの教科書出版 (gakujutsu.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング285位。基本的には大学などの教科書を扱っており、授業で使われなければ見ることはあまりないかもしれない。ただ、杉原剛介・井上亨・秋貞英雄 共著『化学熱力学中心の基礎物理化学』は、物理化学が苦手な学部生にぜひ読んでほしい名著である。


廣川書店

医学・看護・薬学・介護分野の書籍・雑誌・電子商品の販売

(株)廣川書店│会社概要 (hirokawa-books.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング120位。薬学関連専門の出版社。薬学と関連する有機化学の分野においては、マクマリーやボルハルトらと並ぶ有名教科書として、『ソロモンの新有機化学』や『ストライトウィーザー有機化学解説』などを発行している。

生化学分野でも、有名な『レーニンジャーの新生化学』がある。


吉岡書店

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。ホームページを見ていただければわかるのだが、よく言えばレトロな雰囲気を醸し出している。巨大出版社と比べると力の差は歴然だが、一部の界隈では「JJサクライ」として親しまれている名著『現代の量子力学』を出版している。

ご存じの通り、吉岡書店は物理・数学の専門で、化学系出版社ではない。しかし、物理と物理化学の境目は難しく、化学よりの本もいくつか出版している。例えば「絶対反応速度論」は分子反応速度論の不朽の名著と言われている。


海文堂出版

 1914年の創業以来、航海、海運、造船を中心とする海事分野で、教育機関向けテキスト、参考書、資格試験問題集、検定教科書等、実務書から読み物に至る書籍を出版。創業当初から「わが社の信条:われわれはよい書籍を出版しよう。できれば利益を得たいが、やむを得なければ損をしてもよい。しかし、常によい書籍の発行を念願としよう。出版の文化的使命は重い。」に拠って立ち、社会の変化に積極的に応える出版活動を目指し、感性工学、データマイニングなどの新分野にも進出し、人間工学、情報科学、ヒューマンエラーなど理工系専門書をも幅広く出版している。海事分野は弊社の主流であり、国際条約や国内法令ならびにその解説書などは、つねに最新の内容を読者に提供している。

海文堂出版株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。海に関する書籍を専門とする、かなりマニアックな出版社である。当然、化学系出版社ではないものの、ごく僅か化学系書籍が出版されている。


南江堂

 1879年の創業以来、「文化的意義の深い出版事業を通して、社会に貢献する」という理念のもと、医学・薬学・看護学・生物学・化学・栄養学などの専門図書を刊行してきました。 今日では、年間約100点におよぶ新刊書籍のほか、月刊誌として臨床雑誌「内科」、臨床雑誌「外科」、臨床雑誌「整形外科」、「胸部外科」と、「がん看護」(隔月刊)を発行し、全国の医療関係者に広く購読されています。 また、医学の洋書・洋雑誌の輸入販売では、世界各国の出版社とネットワークを築き、国際的にも高い評価を得ています。さらに、医学情報のマルチメディアへの展開にむけて、CD-ROMなどの企画・開発・販売事業も加え、総合的な医療情報の提供をめざしています。

会社案内/南江堂 (nankodo.co.jp)

医学・看護・薬学系の専門出版社。化学系の界隈からの知名度はそこまで高くないが、実は紀伊國屋書店出版社売上21位を誇る。上位が漫画系の出版社であることを踏まえると、学術書を基軸とした出版社ではかなり順位が高い。基本的に医学系の出版社は強いようだ。南江堂の得意分野である薬学は、化学との繋がりが濃いので、必然的に化学系書籍が出版されている。

化学系で知名度がある最近の成書はあまりないが、過去の出版物をみてみると、例えば梅澤文輔 編『理論有機化学』は理論有機化学の参考書として大変優秀である。また、有機電子論における不朽の名著、M. J. S. Dewar 著『有機化學の電子説』も、南江堂から出版されている。最近はもっぱら医学系の書籍が多く出版されているが、もう一度、有機化学にも目を向けてほしいと思う。

・紹介記事
書評:有機化學の電子説|化学書評 (note.com)


大学出版局

大学出版局は、大学に属する、学術的な書籍を中心とした出版物を出版する組織であり、多くの場合その運営は非営利である。大学出版会または大学出版社(: university press)とも呼ばれる。

大学出版局 - Wikipedia

各々の大学が出版部をもっており、それぞれ学術的な書籍を発行している。有名どころを以下に抜粋する。

東京大学出版会

2023年紀伊國屋書店売上ランキング113位。A. ザボ、N. S. オストランド 共著『新しい量子化学 上・下』は量子化学のバイブルとして大変有名だろう。

他にも、量子化学関連に名著を多く発行しているイメージがある。


京都大学学術出版会
2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。化学史書ではあるものの、古川 安 著『化学者たちの京都学派』は是非とも読んでほしい名著である。


名古屋大学出版会
2023年紀伊國屋書店売上ランキング282位。カルベンと言えば富岡秀雄 著『最新のカルベン化学』だったり、独特な切り口で話題な、高木 秀夫 著『量子論に基づく無機化学[増補改訂版]―群論からのアプローチ―』などが有名であろう。


オーム社

 創業(1914年)以来、理工学関係の書籍および雑誌を発行。その分野は、電気電子、情報科学、情報通信、機械制御、建築、土木、空調衛生設備、化学環境、生命科学、医用電子など理工学全分野に及ぶ。
 書籍は、教科書、技術専門書、英文を含む学術専門書から一般書、実用書、「電気工事士試験」および「電気主任技術者試験」等の資格試験参考書や、マンガ版技術解説書「マンガでわかる」シリーズにいたる多彩な単行本を多数刊行。最近では、入門書の新境地『「マジわからん」と思ったときに読む本』シリーズや、美術技法書『ソッカの美術解剖学ノート』なども発行している。
 雑誌は、『新電気』『電気と工事』『設備と管理』の月刊3誌を発行している。
 また、発行出版物に関連する技術者向けのオンラインセミナーも開講している。
 そして、オーム社発行商品以外にも、多くの学会や協会、そしてオライリー・ジャパン、ツールボックスなどの書籍販売を行っているほか、各種学会誌や各メーカーの技術ジャーナルの発売も行っている。

会社概要|Ohmsha

2023年紀伊國屋書店売上ランキング36位。社名から推測できるように、電気系に強いイメージがある。しかし実は理工系の幅広い分野の書籍を出版している。例えば『LC/MS、LC/MS/MS』シリーズは、LC/MSに関する研究を行っている人であれば、少なくとも名前は聞いたことがあるであろう。

最近 (数年前) だと、金子弘昌 著『化学のためのPythonによるデータ解析・機械学習入門』が少し話題になっていたと思う。


産業図書

倉橋藤治郎が工政会出版部を発足させ、昭和10年に工業図書株式会社に発展させた。昭和19年、第二次世界大戦の企業整備令により、17社を統合して産業図書株式会社と改めた。創業以来、理工学書を中心に出版を手がけてきたが、現在は人文・社会科学を含めた幅広い学術書の出版活動を展開している。

産業図書株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。理工系専門出版社。それなりの数の化学系書籍を出版してきたみたいだが、あまり知っているものはない。私が恐らく唯一所持しているのが、キース・J・レイドラー 著『化学反応速度論1』である。


日刊工業新聞社

 日刊工業新聞社は大正4年大阪で産声をあげ、月刊誌「金属工業 鉄世界」(当時)を創刊したのが始まり。産業紙のジャンルを切り開いたパイオニアとして知られています。戦事中、新聞統合で中外商業新報(現日本経済新聞)等と合併し、日刊工業新聞としての発行を一時中断しましたが、戦後いち早く復刊。今日、産業の総合情報機関として、新聞のほか、出版、展示会・イベント・セミナー、デジタルメディアなど幅広い事業を手がけ、企業・産業界の支持を得ています。出版事業には昭和26年に本格進出して、現在は5種類の月刊技術誌と年間60点余の書籍を発行しており、なかでも身の周りの基本技術から先端技術までを、図やイラストを使ってわかりやすく紹介した「今日からモノ知りシリーズ」は、発行点数が300点を超え、読者から高い評価を得ています。

株式会社 日刊工業新聞社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング260位。あまりなじみのない出版社ではあるが、『今日からモノ知りシリーズ』なら知っている人は多いだろう。


実教出版

 1941(昭和16)年、実業教育振興中央会が主体となって「実業教科書株式会社」が創立され、翌1942(昭和17)年現在地千代田区五番町で業務を開始。1950(昭和25)年「実教出版株式会社」に社名変更。創立以来の農・工・商の専門教科教科書を中心に、高校共通教科教科書・教材にも進出。1971年に理工学関係図書を、1974年には経済・経営関係図書の発行を開始。1991年12月には創立50周年記念事業として、「JS市ケ谷ビル」を竣工。わが社の出版理念は、科学や技術・技法の基礎を広めるものを中心とし、科学的な思考と認識を培うとともに、現代的な知性と感性を養うことに資するような出版物の創造にある。

実教出版株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング156位。基本的には教科書を多く出版しているようだが、化学系で目立った書籍はない (と思う)。


工学社

工学社は、パソコン・ネット・3D-CGなどの分野での書籍出版を行っている出版社です。

工学社 (kohgakusha.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。基本的にはパソコン関連がメインで化学に関する書籍はほぼない。唯一読んだことがあるのが、計算化学の本一冊のみである。


技術評論社

2023年紀伊國屋書店売上ランキング30位の大手。基本的にコンピュータ関連の書籍を発行している会社なので、化学系の人間からすると、順位のわりに知らない人が多いだろう。化学系の書籍はあまりないのだが、サイエンスライターの佐藤健太郎氏による『有機化学美術館へようこそ』はかなり有名ではないだろうか。また、最近では化学徒の必須ソフトウェアである、ChemDrawのテクニック本を発行していた。


建帛社

 弊社の社名『建帛社』の“帛”は、「布帛」の“帛”で、絹織物の意味です。昭和49年、中国で2100年前の馬王堆古墳が発掘されました。その折、易経、左伝、道徳経を書いた帛書が出土致しました。単にものを包む絹ではなく、単にものを飾る絹ではなく、人の心を何百年、何千年、いや永久に、人から人へ伝える帛です。
 私ども建帛社は、常にこのことを念じ、社名に恥じない出版を続けてまいります。

会社案内|株式会社 建帛社 (kenpakusha.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング173位。食品・栄養、生活・家政、教育、保育、福祉、医学・リハビリ、医療秘書、教養、図鑑・辞典・総記、食品・栄養・調理専門書、生活・家政専門書、教育・保育専門書、福祉専門書、医学・リハビリ専門書と、幅広い分野を扱っている。化学も少しながら扱っているようだ。化学系で目立った書籍はない (と思う)。


サイエンス社

サイエンス社は高名な山内恭彦博士に命名して頂き昭和44年(1969年)に創業した出版社です.

出版分野は社名のイメージに近いパブリッシャーカラーを創るため,自然科学・情報科学・工学などの理工系学術専門書ならびに雑誌「数理科学」の刊行を手始めに,現在は法学・経済学・経営学・会計学・心理学などの社会人文科学系全般にわたる学術専門書を刊行しています.

会社情報 – 株式会社サイエンス社 株式会社新世社 株式会社数理工学社 (saiensu.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング183位。化学専門ではないが、サイエンスライブラリ化学シリーズや物質科学ライブラリシリーズを展開しているため、それなりに化学書の数は多いようである。特に竹腰 清乃理 著『磁気共鳴-NMR』は、NMR本の名著として知られている。


シュプリンガー・フェアラーク東京 & シュプリンガー・ジャパン

密度汎関数法という、計算化学において非常に重要な理論の名著や、有機化合物の使いやすいスペクトルデータ集などを出版していた会社。

この会社について調べてみたものの、情報が全くないため、現状どうなっているのかはわからない。ただ、類似の名前のシュプリンガー・ジャパンという会社はwikipediaが存在している。wikiによれば、日本語翻訳書や和書の出版も行っていたが、2012年に権利を丸善出版へと譲渡して和書事業から撤退したらしい。実際、上記の書籍は、丸善からも出版されているようである。

色々調べた結果、シュプリンガーフェアラーク東京は1983年に設立し、その後の2006年、イースタンブックサーヴィス株式会社と合併しシュプリンガージャパン株式会社となったようだ。(シュプリンガーフェアラーク東京株式会社 - Web NDL Authorities (国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)

学会出版センター

ネットで調べてもろくな情報がでてこない。しかし、『化学の原典』シリーズや、『化学総説』シリーズ、『季刊 化学総説』シリーズなど、日本化学会の刊行物によくみられる出版社である。情報提供を求む。


内田老鶴圃

 内田老鶴圃の誕生は明治13年,第一回の出版書は長三洲著「老鶴万里の心」でした.初代圃主 内田芳兵衛は,福井県武生市の出身で,絵草紙和紙の仲買人として日本橋河岸に店舗を築き,“岩本屋”の屋号で活躍していましたが,漢籍に造詣が深く,当時の文化興隆の期をみて出版に踏みきり,“内田老鶴圃”と改名したのです.
明治13年といえば,国会期成同盟が生まれた国会熱,民権熱の盛んな頃で,大学も法政・専修・明治・学習院…と開校されたのもこの頃です.
初代芳兵衛から淺(芳兵衛の妻),三代目作蔵,四代目篤次,五代目悟そして六代目へとつがれ,今日に至っています.
  初代から二代目の頃は,漢文学,人文科学といった人文科学系のもの,あるいは学校教育に準拠した教科書,副読本を出版しています.二代から三代目にかけては,翻訳本が積極的に出版され,日本での初訳本「罪と罰」(内田魯庵)やキルケゴール,ニイチェ,カントなどの翻訳本を出版しました.
 三代目から四代目にかけ,自然科学書に重点が向けられ,本多光太郎の物理学通論,藤原松三郎の代数学,微分積分学,山田良之助の材料試験法,岡村金太郎の日本海藻誌,須藤新吉の論理学綱要,井上清恒の生物学のほか,片山正夫の化学本論をはじめ永海佐一郎,山岡望,越山季一らによる化学書など,優れた学術図書が生まれ,日本の代表的出版社へと発展しました.
戦後の混乱時代も学術図書出版へのあくなき理想と信念でのりきり,昭和36年には「日本水産魚譜」で毎日出版文化賞を受賞,さらには人文社会科学の分野へも進出し,幅広く活動してまいりました.
 新世紀を迎え,科学,技術はもとより,社会情勢のすべての局面において変化の波に絶えず洗われる時代となりました.この激しい社会変化の中でも,学術専門出版社としての使命を念頭におき,読者の要望に応え,さらによりよい学術図書の提供を続けていきたいと願っております.

内田老鶴圃-会社案内 (rokakuho.co.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。理学、工学系の出版社。従って化学系の成書もそれなりの量は出版しており、また化学史書も多く出版している。


技報堂出版

 出版業としての当社のスタートは1936年に遡ります。当初は発明広報協会の名称で特許庁関係の出版物の刊行を主業務としていました。1946年に社名を技報堂と改め、その出版部門として土木工学・建築・機械・化学といった理工学の専門書出版に力を注いできました。学究肌の読者に愛され「ハンドブックの技報堂」の名を業界に確立したのもその頃です。1976年には技報堂から独立し、技報堂出版株式会社の現称となりました。独立後は従前の路線を継承するとともに、環境化学や、食品・栄養といった部門にも進出し、自然科学全般の分野を出版するようになりました。今後も技術大国日本の技術を報じる一出版社として、微力ながら日本文化と科学技術の発展に貢献すべく努力を続けてまいります。

技報堂出版株式会社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。近年は建築系の本を多く出版しているため、化学畑の人間からすると馴染みが薄いが、化学系ではハンドブックや辞典などの大物を多く出版している。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        


地人書館

湯川秀樹の尊父、小川琢治博士(当時、京都帝国大学教授)の命名により1930年4月、上條勇が神田錦町で創業、その年「地理学講座」を出版し注目を浴びた。爾来、人文地理、文化史、農業、気象関係など数多くの学術書を刊行。1934年には雑誌『天気と気候』を創刊し、気象天文知識の普及に大きな役割を果たしている。このほか自然科学の分野で数々の定本的な名著を世におくり、さらに医薬、家政、生物、環境部門へと活動の場を広げている。最近は自然保護関連を中心として、日本の生態系、生物多様性、野生動物問題などに積極的に取り組んでいる。また、外来種問題を総合的に取り上げた日本生態学会編『外来種ハンドブック』を刊行し、話題になる。

株式会社 地人書館 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。幅広い分野の学術書を出版している。化学の書籍は数が少ないものの、ニッチだが地味に役に立つ書籍を出版している。


養賢堂

 当社は大正3年創業者及川伍三治によって設立され、当初は自然科学以外の分野の出版をしていた。しかし、数年後より自然科学の分野に基盤を移し現在に至っている。特に昭和元年に創刊された「農業および園芸」は大戦中も発行され、当社の農学書の礎となった。また, 「機械の研究」は、昭和初期には「機械及電気」として刊行されていたものである。単行本も主として農学書、生物学書、工学書を発行しているが、大学または大学院の教科書、参考書、研究者、実務家の参考書の出版が現在主流となっている。日本橋、麹町と移った社屋は昭和8年より本郷にあり、学術書、技術書専門を主流とした事業を行っている。

株式会社 養賢堂 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

2023年紀伊國屋書店売上ランキング圏外。自然科学系の学術書を専門にしており、化学系も少数ながら発行している。注意点として、ホームページを探索していると必ずPCがフリーズする現象に遭遇した。再起動などいろいろ試したが改善せず、再現性も取れている。私の環境のせいかもしれないが、もしホームページを見に行く場合は、他に開いているブラウザが消し飛ぶことを覚悟したほうがいい。


学研出版

Gakkenは出版社売上ランキング5位の超大手。基本的に高校生までをターゲットにしているので、高度な学術書は発行していない。

数研出版

2023年紀伊國屋書店売上ランキング114位。おもに小中高の参考書など。数学だが、チャート式が一番有名だろうか。

化学系か怪しい出版社

化学とそれ以外の分野の境目というのはかなり難しい。上記の出版社は、私の独断と偏見で、化学系の書籍を出版している会社について紹介した。しかし、化学系にいれるかどうかを悩んだ出版社も多いので、一応以下に示す。

恒星社厚生閣:天文学、生物、環境科学、食品・栄養、科学一般、情報科学、海洋工学、数学、宇宙科学、その他

誠文堂新光社:農学、天文学、植物学、電気、電子工学、科学一般、宇宙科学、動物学、その他

総合医学社:医学・生命科学、看護学 など

第一出版:栄養学・食品学

電気書院:工学(電気電子、制御、情報、建築、土木、化学等)

同文書院:食品・栄養、保育・教育、生活科学、医学・健康食品、家庭医学、その他、Culturalscience

南山堂:医学、薬学に関する書籍と雑誌の出版

医歯薬出版:医学、歯科医学、栄養学、臨床検査学、薬学、リハビリテーション医学、看護学、介護・ケア、東洋医学

医学書院:医学・医療全般(医学、看護、介護、リハビリテーション、臨床検査、他)

光生館:食品・栄養、生活科学、医学・生命科学、その他

最後に

最初の予定よりかなり多くなってしまった。かなり認識していない出版社も多く、日本にこれほどの出版社が存在していることにかなり驚いた。はっきりいって、私一人ではかなり力不足だったので、抜けている出版社や、有名な書籍がある場合はぜひ教えてほしい。

参考サイト

  1. Category:自然科学に関する出版社 - Wikipedia

  2. 加盟会員社 | 自然科学書協会 (nspa.or.jp)

  3. 会員社・掲載社紹介 (seikatu-kasei.com)

  4. 【紀伊國屋書店】2023年「出版社別 売上ランキング300社」発表 1位講談社、2位KADOKAWA〈修正あり〉 - BookLink (book-link.jp)


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