『ぼったくり』に遭ったらこうする!法的にベターな動き方とNG行動3パターン

 ぼったくりに遭ったことはありますか?
 キャッチの勧めるままについて行ったら20万円を請求されたとか、店に連れて行かれたら怖いお兄さんに囲まれて有無を言わさずお金を払わされたとか。主にバーや居酒屋、性風俗店など夜の店で好発する被害です。
 なぜか男性が被害に遭うことが多いようです。怖い目にあっても他人には恥ずかしくて言えず泣き寝入りすることを見込んでいるのでしょうか。特に性風俗店に関係するぼったくりは、被害申告そのものが『自分はエッチなお店にいきたいと思っていました』と告白するようなもので言い出しにくさも格段に上がり、かつ請求額も高くなりがちで、口座全額を目一杯引き出させるなど搾りに搾る悪質なケースが見受けられます。
 このようなぼったくり被害に対してどのように対処すればよいのでしょうか? 本記事では法的にベターな対処法と、やってはいけないNG行動3パターンをお伝えして、いくつかの不安にお答えしていきます。


法的にベターな対処法 

 対処法を簡単にまとめると次の5つです.

  1. 帰してくれなくなったら110番通報する

  2. 110番に「部屋から出してくれない。監禁されている」と伝える(暴行・傷害があればそれも伝える)

  3. 店には「最初に聞いていた額は支払うが、それ以上は訴訟を起こしてください」と伝える

  4. 警察が到着したら監禁の事実を主張する

  5. 被害届を提出する

 手続きが面倒ではありますが警察さえ来れば確実に帰れる方法です。これでピンと来る人には不要かと思いますが、法律的な観点や警察の運用など微妙な問題を含んでいるため以下に詳説を加えたいと思います。

まず帰ろうとしてみる

 ちょっと怖いですが、帰ろうとしてみてください。というか、これで帰れるなら警察のお世話になる必要もないわけで、とりあえず帰ろうとしてみてから考えて遅くありません。
 この行動は後々に効いてきます。つまり私は帰りたかったのに帰してくれなかったという事実を明確にするのです。
 もしどうしても帰してくれなかったら「聞いていた額と違う。支払いを求めるなら裁判所で訴訟を起こしてください」と伝えて、自分の連絡先を教えます。そして再び出ていこうとするのです。こちらはあくまでも訴訟を起こしてもらうつもりで行動します。連絡先がわからないと訴訟を起こせないので、ちゃんと連絡先を伝えます。そして堂々と出ていこうとしますが、間違いなく引き止められます。
 帰してくれなくなった状態にしてから110番通報するのがポイントです。
 普通に考えると、飲食店や普通のバーで手持ちが足りない場合は一旦支払いのために外に出してくれるはずです。大抵の場合はそのまま逃げ帰るとまでは思われません。そして普通のバーであっても代金を支払わせるために店から出さない行為は同様に監禁罪の疑いがあります。
 帰りたかったのに帰してくれなかった。この事実に至れば監禁を訴えることができます。ここは勇気を出して帰ろうとしてみてください。

監禁と暴行・傷害のみを主張する

 110番通報して警察官が到着したら、監禁のみを主張します。具体的には

  • 店から出してくれない

  • 帰ろうとしたら腕を取られた

  • 胸ぐらを掴まれた

  • 殴られた

  • 立ちふさがれた

 などの事実を伝えます。あくまでも監禁・暴行・傷害に絞って主張します。監禁は確実ですのでまずは閉じ込められて店から出してくれなかったと強く主張しておき、それに付随する暴行・暴言などを事実ベースで伝えるようにしてください。

支払いは裁判で争う姿勢を見せる

 ここが結構重要なポイントになります。店側は「あくまでも支払いのトラブルであって民事の問題にすぎない」と主張してくるでしょう。
 客側はそれに乗ってはいけません。「支払ってほしければ訴訟を起こしてください」としっかり主張することが重要です。

【重要】店の場所がわからないとき

 お店の人に「警察を呼びます」というと「呼びたければ呼べばいい」と返す例もあるそうです。その場合は店の住所や部屋番号も店の人に教えてもらえばいいでしょう。遠慮なく警察を呼んでください。
 しかしそのような雰囲気ですらない場合、店の人が自分のビルの住所を教えてくれなかった場合、さらに奥まったところにある雑居ビルの一室など正確な場所がわからない場合もあるかと思います。場所がわからないのに警察官が来てくれるのか不安に思うかもしれませんが、ある条件さえクリアすれば問題なく来てくれます。
 それはGPSが正しい位置を掴んでいることです。
 実はスマートフォンから110番をした際に自動的に位置情報が警察署に送信される緊急通報位置通知という機能がほとんどのスマートフォンに装備されています。(以下のリンクはauの例。他のキャリアも同様)

 つまりGPSさえきちんと取れていて、自分がビルの何階にいるのかさえわかっていれば、最悪の場合110番だけで警察官が急行してくれます。

※追記
 緊急通報位置通知サービスですが、GPSが機能していなくても基地局からの距離を用いて大体の位置を算出してくれます。どのくらい厳密な位置かは定かではありませんが、ぼったくり被害以外の事件・事故で自分の現在位置が不明な場合ではとにかく最初に110番通報をすることで警察が近くまできてくれるでしょう。緊急性を要する場合にはまずは110番通報してください。
 またこのシステムは多くの地方の消防局でも導入されています。火事・救急の際にも素早く通報してください。

警察につながらず店から出られないとき

 とにかく警察が来てくれないと話がすすまないので、まずは確実に警察が呼べる状況を作ることが肝心です。
 店の側は客を痛めつけても一銭にならないことは承知しているので「手持ちの現金がないからコンビニで下ろしたい」など適当な理由をつけて外に連れ出してもらいましょう。店側も最初から財布の中に20万円も入っているなど期待していません。おそらくコンビニに連れて行ってくれといえば素直に出ていけると思います。GPSが狂っていたり、110番通報ができそうにない雰囲気であっても、まずは外に出してもらいましょう。(この際に腕をつかんで連行されるなどした場合は、あとで警察に追加で伝えます)。
 そしてコンビニに到着したら、ぼったくり店の人は絶対に店内に入ってきません。なぜなら防犯カメラに捉えられたら面が割れますし、ATMからの出金を強要したとして別の罪が重なるからです。なので、コンビニATMに着いたら店員に「警察を呼んでくださいと」言って通報を要請しましょう。自分で通報せず店員を巻き込むことで目撃者を増やすことができます。

 とにかくなんとか外に出て警察を呼ぶ。これが第一歩です。

民事不介入の原則

 ぼったくり店側が警察を恐れないのには理由があります。民事不介入の原則です。警察は客同士のトラブルには介入できません。法は家庭に入らずという法格言もありますが、ぼったくりの場合は支払いトラブルは弁護士の仕事だからと言ったほうが納得がいくでしょう。

 ちょっと脱線しますが、同様の理由で警察が示談をすると匂わせたらそいつはニセ警察官です。警察は絶対に示談をしませんし、示談の仲介もしません。特殊詐欺などの電話口でよく使われる手口ですのでお気をつけください。

 ですので、客側はあくまでも刑事事件として訴える必要があります。だから監禁・暴行・傷害などの成立の要件が明確な事実をありのままに伝えることで警察を味方につける確率が格段に上がります。

これはやってはいけない! NG行動3パターン

 ぼったくりに遭った場合の基本的な動き方について説明しました。以下では、警察が来たあとの振る舞いで絶対にやってはいけない行動についてご説明します。

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