エロゲーバブルはいつだったのか?

なぜ美少女ゲームは売れなくなったのか、すなわち、美少女ゲーム全体のセールスが激減したのかを考えていく中で、漠然と、

2004年までがエロゲーバブルで、2005年辺りからバブルが崩壊していった。

あるいは、

2007年までがエロゲーバブルで、2008年から崩壊していった。

のように考えていたのだけれど、先日、違うのではないか、ということを思いはじめた。

ぼくが美少女ゲーム業界に入った1995年当時、普通にエロゲー1タイトルを出せば5000~6000本の発注は来ていた。初期ロットだけで見るのなら、むしろ、この時期の方が、2004年代よりバブルと言えたのかもしれない……という気になったのである。

95年当時、Windows95は発売されていたが、まだ顧客の多くのパソコン環境はDOSだった。そのため、ほとんどがPC-98版のDOSで出されていた。多くのソフトは、フロッピーディスクで発売されていた。Windows95版がチラつきはじめるのは96年である。

それでも、Windows95が浸透してWindows95版の美少女ゲームも発売されるようになると、今までパソコンに触れたことがない人が大量に新規ユーザーとして美少女ゲームを手に取るようになって、結構潤ったという話を聞いている。多くのパソコンにCD-ROMが装備されるようになったのは、この頃である。この頃はエロゲーバブルというより、Windowsバブルだったと言えるのかもしれない。

陰りが見えたのは、1997年の10月付近――ちょうど山一證券がやばくなってきた頃である。さらに97年11月、山一證券は自主廃業を宣言。山一ショックとともにWindowsバブルは終わった。

そしてその終焉を裏付けるように、ぼくが当時所属していたソフトハウスでの初期ロットも、急激に低下した。Windowsバブルは終了したのである。

だが、Windowsバブルは、美少女ゲームの年間タイトル数の爆発的増加をもらたしていた。

95年頃は、まだ年間100タイトルぐらいだったと思う。以前、ぼくが数えた時だと95タイトルだった。

97年には、倍の200タイトルに増えた。Windowsバブルを見て遅れて参入してきた組、『ToHeart』に触発されて入ってきたソフトハウスなどもあって、一気に増加したのだろう。

99年頃には、すでに500タイトルに到達していたと思う。

2001年には、600タイトルに達していたはずだ。なぜ、こんなふうに増えてしまったのか。

美少女ゲーム業界は、決して参入障壁の低い業界ではなかった。95年までの美少女ゲームはDOSで動いていた。それが高い参入障壁の1つとなっていたのだ。DOSのプログラムを組めることは、当時では理系エリート的なことだったのである(93~95年にぼくが所属していたコニカでも、DOSプログラムを組める人は、やはり理系エリート的な存在になっていた)。

また、DOS版での美少女ゲームの塗りは専門性の高い非常に独特なものであり、個人での習得が難しいとされていた。これも1つの参入障壁を高くする原因になっていたのである。

だが、Windows95とphotoshopとによって、参入障壁が下がった。さらに97年には『To Heart』が発売され、『To Heart』みたいなゲームをつくりたい、という人たちが一気に増加した。

・Windows95
・photoshop
・『To Heart』の影響

97年までは上記2つが、98年から3つが、タイトル数増加の大きな原因となったのである(※大きな原因ということは、小さな原因は他にもあるということだ)。

年間のタイトル数は増加したが、1タイトル辺りの平均本数が上がったわけではなかった。初期ロットも決して上がったわけではなかったが、2000年代前半の美少女ゲーム業界には勢いがあった。美少女ゲームは、秋葉系エンターテインメントの流行の発信源の1つとして機能していた。萌えの多くは、美少女ゲームが生み出す形になっていた。

2004年までは、恐らく美少女ゲームは、萌えバブルに湧いていたのだと思う。萌えバブルが始まったのは、99年ではないかとぼくは思っている。だが、2004年にラノベバブルが始まり、萌えバブルは美少女ゲーム業界では収束していった。

今までの議論を整理してみる。

・95年までは、初期ロットが比較的高かった
・96年から97年半ばまで、Windowsバブルが発生していた
・99年から2004年まで、萌えバブルが発生していた

こう見ると、果たしてエロゲーバブルはいつだったのだろうか? という気持ちになってくる。

DOSの頃がそうだったのか。
それとも、Windowsバブルがそうだったのか。
萌えバブルがそうだったのか。

むしろ、美少女ゲームには、バブル期と言える時期が3つあったと言うべきなのだろうか。

というわけで。

実は4月1日にぼくの新刊が出ることになっている。
やっぱりかよ! やっぱりだよ!

高1ですが、異世界で城主はじめました8』である。

あと、

実践・エロティシズムと誘惑~鏡裕之のゲームシナリオ講義~

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ともに、電子書籍(PDF)で発売中です! ゲームシナリオバイブルでは、「感情移入の革命」「ストーリーと感動の潮流の誕生」など、美少女ゲームの歴史を記してあります。ぼくのサイトでは試し読みができるようになっていますので、覗いてみてください。

最後に。

最近の代表作『巨乳ファンタジー』シリーズも、是非覗いてみてください。『高1ですが、異世界で城主はじめました』同様、中世ファンタジー世界での成り上がりサクセスものです。

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鏡裕之

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