分析エンジンと処方箋エンジン

ゲームシナリオにしても小説にしても、力があるなという人は、分析能力が高く、なおかつ処方箋を出す力が高いね。別の言葉で言うと、分析エンジンと処方箋エンジンがしっかりしている。

力量がない人の場合、物語を書いていて「なんかつまんないなあ」という感じにはなる。なんか面白くないな。なんかのらないな。

でも、それがなぜなのか、原因がどこにあるのかがわからない。

一番低い人だと、そもそも、なぜなのかがわからない。体調かな。単純に気が乗らないのかな。スランプなのかな。そう思うばかりで原因にたどりつかない。それがプロット上の問題だとかキャラクターの掘り下げの問題だということに気づかないし、気づけない。

もう少しましな人だと、プロットかキャラクターの問題だと気づく。でも、どっちなのかがわからない。

さらにましな人だと、「いや、プロットの問題だ」「キャラクターの問題だ」と、問題の所在地に気づく。でも、プロットのどこに問題があるのか、キャラクターのどこに問題があるのかがわからない。

普通の書き手だと、プロットのどこに問題があるのか、キャラクターのどこに問題があるのかに気づく。でも、どういう処方箋を出せばいいのかがわからない。

もっと高い人だと、問題に気づくし、どういう処方箋を出せばいいのかもわかる。

さらに高い人だと、すぐ問題に気づくし、すぐ処方箋を出せる。1日なんて掛からない。読み返して「あ、これ、ここがだめなんだ」。気づいた時には、処方箋が出ている。

分析エンジンと処方箋エンジンがしっかりしているプロは、非常にレベルが高い。

あと、物書きには圧縮エンジンがいるんだよね。シーンを必要最小限で書く力。普通の人が10センテンスで書くものを半分以下で書く力。そういう圧縮エンジン。ファンタジーの冒頭でさりげなく世界観を説明するには、高い圧縮エンジンが必要。

ちなみに美少女ゲームのシナリオライターは、ほとんどが圧縮エンジンを積んでいない。けれども、ラノベと競合してストーリー性重視をつづける限り、圧縮エンジンは必要である。ないと、互角には戦えない。

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