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写真批評 サシイロ 21 〜被写体の可能性

HIROMIXという写真家がいる。
彼女の「girls blue」という写真集は、出版当時かなりの衝撃的なものだったそうだ。それもそのはずで、被写体は高校生の女の子が日常触れ合う、何てことのないモノや人、風景だったりしたからだ。しかし、この写真集は今で言うとJKという一つの文化を切り出したものであると言える。そういう視点を提起した写真家としてHIROMIXは注目されたのだろう。

このことからわかるのは、被写体には何でもなり得るということだ。
この写真批評で述べたように、写真には撮る者と被写体との関係性が現れる。それがHIROMIXの場合には、他の人には全く無価値のモノを価値あるモノに変貌させたということだろう。そんな風に被写体の対象物の価値を見出して認めさせる。そんなカメラマンの醍醐味があることをHIROMIXは他の多くのカメラマンに対して示したわけだ。

その後ガーリー写真という女の子写真のジャンルが確立したわけだが、私はやはりHIROMIXの写真には正面から被写体と向き合う潔さがあるので、他の写真よりも好きだなあと思うのだ。
Instagramなどにガーリーで華やかな写真はたくさんアップされているが、そのほとんどは何らかの装飾や加工が施されている。それが悪いとは言わないが、たまには被写体とじっくり向き合う時間を取ってもいいのではないだろうか。その結果撮った写真が、他の多くの人にその被写体の価値を認めさせることになるかもしれないから。
自分の大好きな被写体がたくさんの人に認めてもらえるなんて、こんな嬉しいことはないはずだ。

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