カケラ
カケラは今や、この世界において何も影響を起こせない。
こうなる前は誰かの恋心だったような気もするし、誰かを傷つける凶器だった気もする。でも、分からないまま漂い続ける。
時たま、カケラの近くをものすごい勢いで大きな物体が通り抜けていく。それは燃え尽きる前の彗星の様な早さで。
時々は動かずにじっとしている何かもある。じっとしている何かはキラキラと輝いているものもあれば、くすんでいるものもある。カケラはそれらのそばを漂いながら通りすぎる。
また、カケラには仲間がいる。同じように世界から不必要とされたカケラ達。広大な宙(そら)を漂い時々すれ違い、ぶつかり合う。ぶつかり合うときはカケラ達は必死で繋がろうとしてみる。繋がることで不が無くなるのでは?と思うからだ。けれど、繋がれたところで不格好なカケラはやはり不必要なまま。やがてまた小さなカケラに戻ってゆく。
カケラ達は思う。もし、ここが自分達で溢れたら自分達はまた、意味を持つことが出来るのだろうか?と。それとも自分達はこれ以上何かになることは出来ないのだろうか?と。果ての無い広がり続ける何処かをさ迷いながらカケラ達はそんなことを思っている。
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