花守の死

花守は死ぬ。

花から遠ざかると死んでしまう。

花を通じて、生きている実感を得ているからだろう。

だからこそ、命がけで守るのだろう、花守は。

花は花守の命そのものだから。

けれど、何事にも終わりがあるように。

何事にも限りがあるように。

花が消えることもある。

花守自身のの落ち度によって。

花守は慟哭して、同じように消えていく。

後には何も残らない。

ただ、花守の慟哭だけが、木霊のように数秒大気を震わせて終うのだろう。

そうならないため、花守は、必死になる。

自らの落ち度で、花を萎えさせないように、と。

萎えた花は、心を閉ざす。

花守にも。

そして、二度と語らなくなる。

花守は、それを知っている。

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