花の体温は35度8分

花の体温。

花には体温がある。

花に触れると温もりを感じる。

花の肌。

花には素肌がある。

花に触れると柔らかさを感じる。

花の体温と素肌。

花は誰にでも触れさせるわけではない。

花は誰にでも感じさせるわけではない。

花が選んだ人にだけ。

花は選ぶ。

花の選び方は、特別なものではない。

特別と思っているのは、選ばれる側だけだ。

勝手に、厳し過ぎるとか難しいとか残酷だ、なんて言っているだけだ。

そういう声を聞くと、花は押し黙る。

言い訳はしない。

説明もしない。

言っても虚しいことを知っているから。

理解は無理ということを知っているから。

それで良いと花は思っている。

ひとりの方が気が楽と思っている。


どうしても、花に触れたくて。

止むに止まれないほど花に触れたくて。

花の体温を感じたくて。

花の素肌に触れたくて。

花に選んで欲しくて。

無我となり、花のために生きたい人が現れるだろう。

やっと、触れてくれる人が現れた、と花が悦ぶ日が来るだろう。

自分の体温を感じて欲しい。

自分の素肌を感じて欲しい。

そう声にする日が来るだろう。

そういう日が来ることが、花の願いだろう。


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