花は枯れる

水をやらなくなったら。

花は枯れる。

強過ぎる陽にさらされたら。

花は枯れる。

病気になったり虫が着いたら。

そう、花は枯れる。

愛情や優しさが足らなくなったら枯れるのだ。

自分のエゴが強くなっていけば。

目に見えないからといって、花の心がだんだんと疲れていっているのを放っておくと。

花は枯れるのだ。

今は咲いているのかもしれない。

けれど、悲しみや辛さ、しんどい思いが隠されているだけなのかもしれない。

花の美しさに目を奪われて、大丈夫、とたかを括っていたら、いつの間にか萎れて、元気をなくしてしまうことになるかもしれない。

取り返しがつかないことが、世の中にはいくつかある。

その中のひとつ。

自分が枯れさせてしまった花は、二度と咲かないということだ。

どんなに取り繕っても、どんなにそれから努力しても、もう遅い。

何故なら、花の方から、見限ったからだ。

この人は、私を大切にしてくれない、と。

一度花がそう思ったら、それはもう覆らない。

不可逆の思いなのだ。

泣いたところで、泣いているのは花の方なのだ。

花が咲くのは一生に一度。

それを大切にしなかった己を恨む他ない。

花は、枯れる前に、次に繋げる種を残す。

そうして再び、芽を出すこともある。

それは再生という。

それは花の生まれ変わり。

もう一度咲き誇るための。

今度こそ、咲き続けるための。

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