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綺麗な茶道のおっしょさんに昨日はこっぴどく、イジられました・・・㊱

 正直な話「長谷川等伯」の小説執筆については、400字詰め原稿用紙換算で180枚当たりで煮詰まっています。「~㉟」でも書きましたように後半に向けて、いかにすべきかで、しばらく構想を練り直しています。ちょとばかり、取っ掛かりが見えていないでも、ないのですが。
 うちの茶道の、綺麗なおっしょさんが、
「数寄には、親も子もない」
 と言った利休の発言を、今にもそのまま言いそうな人柄で……。そのおっしょさんと、昨日はちょっとばかりありましてね。その出来事が、煮詰まった小説の突破口になるような気がしてるんです(口調が変になってきた)。
 私事で恐縮ですが、昨日のお稽古でのことです。
 お点前の時の足さばきを、こっぴどく注意されました。
「そうじゃないでしょ。うん、もう」
 といって、着物姿のおっしょっさんが、ついには立ち上がって……、立っている私の隣りに来られて、
「こうでしょ」
「はい!」
「鈍いのかしら」
 まあ、65歳ですから、ときには、こういうこともありす。でも、中学時代は陸上の100mの学校代表選手でした。高校では県大会で優勝して、テニスの県代表でインターハイに出場しました。しかし、いずれもすでに、過去の栄光ですが。
 私とおっしょさんの掛け合いを妻が見ていたら、草葉の陰で爆笑していることでしょう。

 その後、終わりの挨拶のときに、今日のお稽古を振り返って一言。
「蜻蛉さん。今日は、どうしてできなかったんでしょうね? いつもは落ち着いてお点前ができているのに」
「それは、直心(じきしん)これ道場なり、というか。心に迷いがあったからです。それで、務めて心を無にしようと思ったのですが………」
「そうねえ。心に迷いがあってはね。どうかしたの、蜻蛉さん」
「いえ……。お茶室にいる時が、私にとって一番幸せな時間だと、最近は感じる様になったんですが……」
「ほっほっほっほっほ。では、なおの事」
 と、65歳の爺さんが、二十歳そこそこの4,5人の綺麗な姉弟子たちの前で、50歳手前くらいの美人のおっしょさんに、こっぴどくイジられてまして。
 しかし、ここからが違っていました。家に帰って今日のお稽古のおさらいを一人でしながら、
『今日の出来事は、小説に行き詰った私に対する天の啓示かもしれない』  
 と、勝手にほくそ笑んでみたり、してました。

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