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在原業平の辞世の句、カッコいい!

ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを

 人は必ず死ぬと知ってはいたが、昨日今日という間近で自分がそうなるとは思わなかった

 身分も高貴で、人生そのものが栄華を極めた色男。プレーボーイの誉高い「伊勢物語」の主人公とも言われる業平が死を直前にして、さらりとしたこんな句を読むなんて、「カッコいい!」。
 未練タラタラでなく、かと言って「人生なんて」と高飛車に出るでもなく、さらりとした句を読むところは、「全てをやり尽くした」という思いと、「もうちょっと世の中を楽しみたかったけど、まっ、いいか」と言った感じで、精一杯生きた感がする。私も、すでにそんな思いでいるが、こんな単語の連なりで最後を締めくくることができるとは思えない。言語センスが死に臨んでもすらりと出てくるところが、見習いたいもの。
 この句を教えてくれた「I様」には感謝である。長い間、こんな人に出会いたかった、と思っていた。「求めよ、されば開かれん」ではないが、第三者からみれば、そのもがいている姿はダサくて滑稽に見えるだろう。しかし、私本人はいたって、その苦境を楽しんでいる。
 やっと出会えたこの関係を大切にして行きたいと思うが、さてさて。
「〜別れは来るものと聞きしかど 昨日今日とは思わざりしを」
 そんな日が来る前に、ことここに至ってすでに未練タラタラになってしまった、私です。到底、在原業平のようなカッコイイ男にはなれそうもない。

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