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人間性に問題のある、バンド!

 人妻ボーカリストに、
「あなたの場合は音楽性の違いではなく、人間性に問題があって一緒にやって行けない!」
 と宣告されて二度目の冬を迎える。
 その話を、時代の問題を解き明かす講演を担当している男性に話した。すると彼はデメリットを逆手にとって、
「人間性に問題があることを、次のバンドの売りにすれば良い」
 と提案してくれた。
 この提案が、頭の隅から離れない。
 では、いっそのこと新しいバンド名を、
「人間性に問題のあるバンド」
 と言うバンド名にしてはどうだろうか、と安易だが……。
 では、そのコンセプトを具体的に表現するには、どうしたらいいのだろうか。なかなかアイデアが浮かんで来ない。かなりの難問である。
 楽曲で表現できればいいのだろうが、具体的にイメージできない。では、連想ゲームで発想のきっかけになる言葉を探してみよう。
 最近、身の回りで遭遇した「人間性の問題」と思われる出来事。
 その一。「同僚をちゃんと指導する様に」と、同業他社の者に注意した。すると彼は、
「俺は利己主義だから奴とは関係ない」
 と突っぱねられた。利己主義を正当化の理由に持ち出す人間と私は初めて遭遇した。つい私は彼に、
「お前の言っていることは、非常識だ!」
 と避難したが、彼は当然の様な顔をしていた。彼こそ「人間性に問題あり」の人物だろう。
 そのニ。「俺はお客が指定した時間の5分前に行動するようにしている。だから、お客様が10分前に来たのが悪い」
 と言い訳をして、お客を待たせたことを正当化しよとする奴。こいつには予定の時間より早く行動を起こした出向先の社長を、準備のできていない彼に変わって私が対応した過去がある。奴は自分の過去の失敗から学ぼうとしない傾向がある。
 これだけの事柄で、エッセンスを絞り出すのは難しいが、あえてトライ!
 キーワードの一つは「利己主義」。昔、マージャンを素材にしたギャグマンガで「自己中心主義」というのがあった。結構笑わせてくれた。ときには、その漫画に当時の私の部下の女性が登場したことがあった。彼女は美人で、しかも人妻。漫画のネタにされるほど、人目を引く美人だけに、色々あって当時の亭主とは離婚した。それから数年後、独立した彼女からフランスでの撮影の仕事を頼まれた。その時の彼女は、年下のフランス人と同棲していた。さらに、数年後、日本人と再婚して子供が産まれていた。
「人間性に問題あり」を売り物にできるほど、世の中は甘くは無さそうだ。
 では、かく言う私はどうなのか。20代の元彼女を自殺未遂にまで追い込む様な酷い別れ方をして、結婚してからは34歳の愛人に別れを切り出して、愛人に、
「あなたには、選ぶ権利はないのよ!」
 と罵倒され。さらに2つばかり会社を倒産させ、挙げ句の果てに2つ目の会社を潰した田舎から逃げる様にして、東京に舞い戻ってきた。 
 やっぱり、「人間性に問題のあるバンド」で行くしかないか……。
(※今回もタイトルのイラストは、自前です)

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