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伝えたい気持ち

〇:おはよ。じゃ、行こっか
美:遅いよ!学校遅れちゃう!
〇:大丈夫だって〜、ほら電車行っちゃうぞ?

この子は金村美玖。〇〇の幼馴染で小さい頃からいつも一緒にいる。それは高校生になった今でも変わらない。



〇:やばいやばい!遅刻する!
美:ほーら、言わんこっちゃない!
〇:いや!だって電車遅延するなんて思わないだろ!
美:雪降ってるんだからそーゆーことも予測してちょっと早めに行くとかしないからこーなるんだよ!
〇:なら美玖だけ先行けばよかったじゃん!
美:、、、

美玖の足が止まる。

〇:え?美玖?どーしたんだよ?遅刻するよ?
美:〇〇と一緒に行きたいから待ってたのに、、、ひどい、、

俯いて目に涙を浮かべながら立ち尽くす美玖。

〇:え?は?なんで泣いてんの!?

〇〇はわけがわからず見ていることしかできない。

通行人がなにごとだと2人を見ながら歩き去っていく。

〇:ちょ、とりあえず学校行こ?

そう言って寒さで冷たくなった美玖の手を引き学校へ向かう。遅刻は確定してしまっていたが仕方ない。

美玖は〇〇に手を引かれるがままとぼとぼとついていく。



無事学校へついた2人。

〇:電車の遅延っと

職員室で遅刻届けを提出し各々教室へ向かう。

〇:またお昼に来るから
美:うん

泣き止んで目が腫れぼったくなってしまっている美玖を教室まで送りお昼に約束を取り付けて自分の教室に向かった。



「おい!〇〇!美玖ちゃん目腫らしてたぞ!お前なんかしたのか!?」

〇:いや、、なんとも、、、

そりゃ聞かれるわな。でも自分でもなんで美玖があそこで泣いたのか疑問だった。

〇:とりあえずお昼食べながら聞いてみるか、、

いつもならちゃんと聞いている退屈な古典の授業を窓の外で降り積もる雪を見ながら聞き流す。というより、美玖がなぜ泣いたのかで頭がいっぱいで全く集中できなかったという感じだ。

「〇〇!ぼけっと外なんか見てないで教科書の109ページの3段落から読め!」

いつのまにか自分が読む番が来ていたみたいだ。

〇:あっ、はい、すいません。

「よし、そこまで。次ぼけっとしてたら課題増やすぞ?」



一方、美玖は、、、

菜:美玖おはよ
美:おはよ、、、
菜:どしたん?なんかあった?
美:菜緒、、、〇〇が〜泣
菜:またあいつか!菜緒がガツンと言ったる!何があったか私に全部話し!

美玖は朝の出来事を全て菜緒に話した。
〇〇がちょっと遅く来たこと。そのせいでいつもより遅い電車に乗ったこと。しかもその電車が積雪で遅延したこと。そのせいで遅刻したこと。そして、〇〇が言ったこと。

菜:あいつ、ほんまどーしょーもないな!私の美玖泣かすなんてありえへん!
美:でも、私もあんなとこで泣いて〇〇に迷惑かけちゃった、、、私が我慢して学校行けば遅刻もしなかったし、、、
菜:何言ってんの!美玖は悪くない!お昼あいつが来たら菜緒がちゃんと言ったるから!頬っぺた引っ叩いたるわ!
美:そ、そこまでしなくても、、、

なぜかヒートアップしている菜緒を宥めながら午前を過ごした。

菜:ほんで、美玖は〇〇のこと好きってことやんな?
美:え!?
菜:だって〇〇と一緒にいたいから駄々こねて泣いたってことやろ?
美:そっ!そんなんじゃ!、、、
菜:まぁどっちでもええけど
美:な、菜緒〜!いじわるしないでぇ〜!



そんなこんなでお昼。

〇:美玖〜お昼食べよ〜
美:〇〇、、、ちょっと待って

教室の扉の前で美玖を呼ぶ〇〇。
すると、、、

ズカズカ

菜:あんたなぁ〜!何私の美玖泣かせとんねん!美玖目ぇ真っ赤にして泣いてたんやで!?
〇:そ、それは、、、

突然の菜緒乱入に戸惑う〇〇。
てか、また泣いたのか、、、

菜:あんたが美玖の気持ち全然わかってないせいや!
美:ちょ、菜緒、、、
菜:こーゆーわからずやにはこのくらい言っとかんとあかんねん!
〇:わからずや、、、なにを、、、
菜:ええか?次私の美玖泣かしたらタダじゃ済まんからな!
〇:は、はぁ
美:あー!もう!〇〇っ!行こっ!
菜:あっ!ちょ!まだ話終わってへん!

突然美玖に手を引かれて戸惑いながらついていく〇〇。
まるで朝の真逆だ、、、



ガチャ

そのまま2人は屋上へやってきた。

〇:、、さっむ、、、
美:、、、
〇:お弁当忘れてきた、、、
美:あ、私も、、、

どこか気まずい空気が流れる。

美:あのっ!
〇:ごめん!

2人の声が重なる。

美:あっ、、、
〇:その、、、
美:じゃ、じゃあ〇〇から、、、
〇:あっ、う、うん、、じゃあ
美:、、、
〇:あの、その、、朝はごめん!
美:いや!あれは私も泣いちゃったのも悪かったし、、、

ガバッと頭を下げて謝る〇〇に逆に謝り返す美玖。

〇:実は昨日全然寝れなくて、、、その、、美玖のこと考えて、、、って!キモいよね!こんなこと、、、
美:どーゆーこと?それ、、、
〇:いや、、ほら、その、、、

勢い余って口走る〇〇。

美:それって、、私のこと考えて寝れなかったって、もしかして、、、
〇:あの〜、なんというか、、、
美:ちょっと!もうはっきりして!
〇:、、、すきだから、、、
美:ん?なに?
〇:だから、美玖のことが好きだから!!!美玖のことが好きでいつどう伝えようか考えてて、でも幼馴染だから気持ち悪いかなとか美玖がそんなこと思ってなかったらどうしようとかいろいろ考えてるうちに寝ちゃって、、、寝坊して、、、

あーあ。言っちゃった。完全に嫌われた。もうここにはいたくない。頭痛いって言って早退しよう。

〇:ごめんね、なんか、こんな伝え方するつもりなかったんだけど、全部忘れて!、、あー、なんか頭痛くなってきたなー
美:、、しも、、、
〇:ん?美玖どーした?最低だって叫ぶとかやめてくれよ?笑
美:私も!!
〇:え?美玖?
美:私も〇〇のこと好きなの!!
〇:美玖、何言って、、、

ちゅっ

一瞬の出来事だった。一生ないと思っていた出来事。
その彼女の目にはまた涙が浮かんでいた。

〇:美玖
美:グスッ、、、

初めてのキス。柔らかくて、甘くて、、ちょっと恥ずかしくて、、、でも、初めてが君でよかった。

〇:ずっと気づけなくてごめん、、、
美:ほんとだよ、、、

鼻水と涙でぐちゃぐちゃになった顔を綻ばせながら抱きつく美玖。それは寒さからなのか、それとも違うなにかなのか。

〇:だから、ちゃんともう一回言わせて?

コクッ

一度離れ真っ直ぐ美玖を見つめる。

〇:金村美玖さん。あなたのことが好きです。僕と付き合ってください!
美:ばかぁ、、遅いよ、、、
〇:、、、
美:私も、あなたのことが好きです。よろしくお願いします!

ぎゅっ

キーンコーンカーンコーン

昼休みの終了を告げる鐘がなる。

この鐘は2人の新しい関係を祝福する鐘でもあるのかもしれない。



その日の帰り道、、、

〇:美玖〜、帰ろ〜
美:あ!〇〇!ちょっと待って!

〇〇が教室まで迎えに来た。幼馴染で、そして彼氏として。

菜:〇〇!お昼はよくも逃げたな!
美:菜緒、もういいよ笑
菜:美玖!こいつはなんもわかっとらん!美玖の気持ちに、、、
〇:わかってるよ。ちゃんと、な、美玖?
美:、、うん!
菜:あんたら、、、!どーゆーことや?

なぜか堂々としている〇〇にそれにいつも以上に引っ付く美玖。菜緒には全く理解ができていない。

〇:ってか、美玖言ってないの?
美:だって、、、恥ずかしくて、、、
〇:じゃあ僕が言っちゃうよ?
美:、、、うん
菜:な、なんや、、、

何を言うのかと身構える菜緒。

〇:僕たち付き合うことになったから
菜:な、なに!?ふ、2人が付き合う!?
〇:うん
美:ごめんね、菜緒。黙ってて
菜:あわわわわ
〇:じゃ、帰ろっか
美:うん!じゃあね、菜緒!また明日!

そう言って歩き出す2人。

〇:好きだよ、美玖
美:えへへ、私も!

その手は固く繋がれていた。2人の将来を結ぶように。

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