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1000万円以上かけたカフェを大ゴケさせたぼくが、次にカフェを経営するなら絶対こうするという話

おしゃれカフェ
詰めが甘くて
傷だらけ

勢いで作ったカフェを撤退する時に思わず口から出てしまった一句です。
もうかれこれ、6年以上前のできごと。

カフェの経営で失敗した大きな理由は3つ。

1. 勢いだけで物事を進めた
2. お客様の事を考えていなかった
3. わりとすぐに諦めた

もし、タイムマシンがあるのなら、昔のぼくの後頭部に強烈なツッコミをいれにいく所存です。

さっくりお話していきましょう。

ただの無謀な挑戦

当時、住んでいた自宅マンションの1階部分のテナントが、たまたま1軒空いており家賃も破格。同じテナントで流行っている洋菓子屋さんがあったので、うちもイケるだろうと即契約。

ほどなく、駅からバスで15分もかかる住宅街に、店を構えることになりました。

駅からバスで15分。。。

地域性、利便性、人通りなど、調べないといけないことは山のようにあるはずなのに、そんな考えは1ミリも持ち合わせていません。

自分にとって都合の良い物件が目の前にあったから契約しちゃったとか、もう笑うしかない。

人通りは皆無で、集客はチラシとFacebook。
ご想像どおり、かなり苦労しました。

あとから聞いたのですが、その洋菓子屋さんも軌道に乗るまでに数年かかったそうです。そりゃそうでしょう。

金融機関と親戚の会社から資金調達を行い、持っているすべてのお金をカフェ立ち上げに盛大にぶちこんだのですが、安い固定費と引き換えに、予測していなかった長期的な運転資金という重い荷物を背負うことになりました。

あなたはきっと、そんなアホがいるのかと思うかもしれませんが、本人が書いてます。

教訓
「勢いは大切だけど、調査と勉強はもっと大切」

お客様がなにを求めているのか

知らないひとも多いかもしれませんが、珈琲豆って腐ります。
酸化が進んだ珈琲豆で作ったコーヒーを飲みすぎると、カフェインが強く作用して眠れなくなったり、胃がもたれたり、下痢したり、あまり体によくないことが起こります。

「珈琲豆は生鮮食品である」という名言を残されたぼくのコーヒー師匠であるKさんは、焙煎方法と酸化する前に飲んじゃう(冷凍保存で約2週間)というこだわりとルールで、とっても新鮮な珈琲豆を販売していました。

どれくらい美味しいかというと、今まで飲んできたコーヒーって偽物なんじゃないかと思うくらい美味しい。もはや別物。

そんなステキ珈琲豆との出会いから、美味しくて体にも優しいコーヒーをオサレなカフェで出せば流行るんじゃねと考えたわけです。

はい。アウト。

そもそも、カフェってコーヒーを飲みにいく場ではありません。

カフェに入って周りを見渡してみてください。
仕事をしているひと、静かに本を読んでいるひと、ゲームをしているひと、待ち合わせをしているひと、友達同士やカップルでおしゃべりに夢中なひとたち。

よく見られる風景ですね。

「おお。これはめちゃくちゃ美味しいな。うんうん」
なんて呟きながら、1人でコーヒーを愛おしそうに眺め続けるひとなんて見たことない。

そんな中、うちのコーヒーはこだわってて、どこよりも新鮮で美味しいんですって力説したところで「へー」で終了。だって興味ないもん。

おしゃれな空間や飲み物というのは、きっかけに過ぎず、お客様は「体験にお金を払っている」わけです。

美味しいのは当たり前。そんなことより、お客様が快適に楽しく過ごせる場とは何なのかを徹底的に考え抜いて、提供し続けなければいけません。

おしゃれな場があれば、ひとが集まるというのも大きな間違い。
ハードがどれだけよくても、おもしろいソフトが用意されていなければ、お客様は何を楽しめばよいのかわかりません。

美味しいコーヒーを楽しんでもらいたいのであれば、カフェである必要すらありません。移動販売やテイクアウト専門店でいいわけです。

ぼくがやっていたことは、カフェである理由も考えずに、こだわりの押し売りをしていたに過ぎなかったのです。

教訓
「売るもの、売らないもの、売り方をしっかり見定める」

諦めは肝心だけど判断をミスるな

1000万円以上かけたカフェは、1年7ヶ月という短さで閉店することになりますが、それでよかったと思っています。

カフェをやっていた当時のぼくは、うまくいかない理由を考えることができませんでした。

「おしゃれな場で、美味しいものを提供していれば、きっとお客様は集まる」という自分の固定概念を覆すことができなかったんですね。

要するに、妙なこだわりを捨てることができなかったということです。
自分に立ち向かう覚悟もまったく足りていなかったんだと思います。

そのまま無理に経営していても、「そんなはずはない」という自分だけの世界に閉じこもり、まったくお客様を見ていない施策を打ち続け、精神的な被害もより拡大して、泥沼に陥っていたことでしょう。

焦りというのは怖いもので、自分の行動や考えを無意識のうちに抑制してしまうことがあります。
どんなに追い込まれても、どんなに怖くても、落ち着いて判断をしなければ、なにをやってもうまくいかないものです。

教訓
「常に自分を疑い続け、判断はすばやく最後までやり抜く」

失敗をしたから見える世界

負債だけが残ったので、誰がなんと言おうと失敗なんですが、こりずにいろんな失敗を重ね続けた数年後に、ものごとの捉え方がガラリと変わりました。

金銭的なことがリスクだと思うかもしれませんが、心地よい景色や自分に都合のよいものだけを求めて、何もしない、何も考えない行動こそがリスクです。

多くの無謀な失敗、自業自得の踏んだり蹴ったりを経験して、ぼくは失敗をすることが誰より怖くなりました。

でも、自分のやりたい事や実現したい事を、恐怖に向き合いながら、勇気をもって絶対に投げ出さずに挑戦するひとは、なにをやってもうまくいくと思います。

結局、表題の「次にカフェを経営するなら絶対こうする」の話はどうなったのと思われているかもしれませんが、教訓の中にすべて詰め込んでいますので、もしよければ見返してください。

もう二度とカフェはやりませんけどね。

★本日の美味しいお供★



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