北斗、またも女性を殴る/『ウルトラマンA』覚え書き(25)

若い女性が、地球侵略の先兵として送り込まれ、主人公との間に恋愛にも似た感情が生まれるというドラマは、この連載でも幾度か言及した(第11話等)『ウルトラセブン』の「盗まれたウルトラアイ」に登場するマゼラン星人マヤが代表例だろう。『ウルトラマンA』においても、第21話で、竜隊長と天女、そして若い男の三角関係として描かれた

第25話は、前回の最後で触れたように、ほとんど活躍の場を与えられなくなっていた南夕子(星光子)が、久しぶりにクローズアップされる。しかも、北斗星司(高峰圭二)と、異星人との三角関係として。

『ウルトラマンA』第25話/ピラミットは超獣の巣だ!

脚本=斎藤正夫/監督=筧正典

小学校で体操の授業中、大勢の生徒が倒れる事件が発生。子供たちは一様に「玉ねぎの腐ったような匂い」と証言する(当時、光化学スモッグで運動場にいた子供たちが気分が悪くなったり、倒れるケースが相次いでいた)。

TACから派遣された北斗と南が調べていると、突然、地面から巨大なピラミッドが現れ、付近は赤い煙で充満する。子供たちや近隣住民を避難させていた北斗は、煙のなかに若い女性がいるのを目にし、助けようと駆け付けるが、女性が逆に煙の中に逃げ込もうとする。北斗は、強引に彼女の腕を引っ張って安全な地域に連れ出すが、南夕子は彼女を怪しみ、「こんなところで何をしていたの?」「あなた、赤い煙の中に逃げ込もうとしたわね。あれはなぜなの?」と問い詰める南夕子に「余計なお節介だって言ってるでしょう? ほっといてもらいたいのよ!」と顔を強張らせる女性。北斗は優しく「心配しなくていい。俺たちはTACの隊員です」と宥めた。

ここから先は

2,937字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?