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Rise of the Roninをクリアしたのでたくさんレビューする

Rise of the Ronin | ゲームタイトル | PlayStation (日本)

先日、無職になり申したのでなんかゲームしたいなと思い積みゲーの数々を無視しつつGEOを徘徊していたところ、一目ぼれして買ってしまったのがこのライズオブザローニン。

いろんな有名サイトがどういうゲームかを紹介しているのでここでは簡単に説明すると「幕末を舞台にしたオープンワールドアクションRPG」である。君だけの幕末を作ろう!幕末とアクションRPGが好きな自分にとってはかなり理想的なゲームだ。

という訳で全ミッションクリア探索率全100%クリアメインストーリー佐幕討幕どっちも回収を果たしたのでレビュー的なのをします。

では、まずネタバレに含まれない部分のよかったとこ悪かったとこを書いていきます。

良かったところ

・めっちゃ楽しい戦闘
まずこれ。これは他の人が散々言ってることだけどアクション要素がとても楽しい。まず武器種×2にそれぞれ流派を×3用意できるのでその時点で飽きない。仁王とかを作ってる会社さんらしく、その辺のゲームは未経験だった俺だと難易度いーじぃでギリだったが、パリィが決まった時の脳汁や流派を変えて戦う新鮮さなどは飽きが来なかった。刀がそもそも好きだし。バッタバッタと汚いおっさんを斬り殺してる時気分は銀魂だった。
巷ではマルチでニ刀が暴れているらしくナーフだなんだ言われているが基本一人でやるオフゲーなんだしよくね……?と思います。剣二本持たないと落ち着かないんですよ。モンスターをハントしすぎて。

・めっちゃ楽しい探索
オープンワールドと先述したが、とにかく探索が楽しい。横浜・江戸・京都の3舞台という範囲にはなるが、広すぎず狭すぎずの塩梅でちょうどいい広さ。各地に宝箱や猫、治安悪化地域などの探索要素。そしてそれらを埋めるとボーナスがあるというご褒美。なかなかに楽しい探索だった。
何より、江戸時代のこれらの都市を歩くだけでも楽しい。気分は時代劇である。富士山や清水寺や江戸城などほれぼれする景色もしばしば。グラフィックについていろいろ言われていたが個人的には全く気にならなかった。普通にきれい。歩いてるだけで楽しいオープンワールドはいいものだ。

・キャラメイクの自由さ
本作はある程度ストーリーを進めると自由にキャラクリができるようになる。これ結構珍しくない?始めてみたけどなんか違うな……ってなってもすぐ変えられる。実際、俺も3回整形を繰り返している。キャラクリの幅も広く、その気になれば実在の人物とか作れる。仲間由紀恵を作ってる人とか見た。笑うなッ!
ちなみに性転換も自由にできる。また、本作は「片割れ」という相棒キャラがおり、こいつもキャラクリできるしこいつも途中で性転換できる。あずかり知らぬところで性別が変わる片割れに涙を禁じ得ない。水でも被ったのだろうか。
不満があるとすれば髪型のバリエーションだけ少し少ないところ。

・魅力的なキャラクター群
幕末が舞台ということで、キャラがつえー偉人のバーゲンセールである。が、今作はあくまで史実ベースという点に好感が持てる(細かい部分はガバだが)。キャラデザが当時の絵や写真を基にしており、必要以上にイケメンになってないとか。久坂だけかなり盛ってたけど。
CVもかなり豪華だ。討幕派閥にいるのが子安・福山・小西。これなんて乙女ゲー?ほかにも豪華すぎて書ききれない。耳が幸せである。
また、めちゃくちゃラブコメ展開に進むペリーや飛ぶ斬撃を操り窃盗をする福沢諭吉などハチャメチャな展開もあり面白い。
俺は高杉と沖田と二股してめちゃくちゃ迫られました。怖かったです。

・便利な仕様
先ほどのキャラメイクの画面で、いわゆる重ね着機能も開放される。かなり早い段階で開放されるのでクソダサい着物のコーディネイトから卒業できるのだ。
また、後述するがこのゲームは分岐が多いので「過去に戻りミッションを追体験する」という機能がある。これが普通に便利。ストーリーだけじゃなく探索などもできるのでいったんストーリーをやってあとからゆっくり……ということもできる。


悪かったところ

・マルチ要素
今作はオンライン対応という割に「ミッション参加」しかマルチ要素が無い。多分高難度向けの救済措置なんだろうが、俺みたいなそもそも難易度一番低い浅瀬でちゃぷってるプレイヤー的には無縁だ。
オープンワールドで探索要素があるんだから、一緒に探索できるモードが欲しかった。原神みたいな。それだけがとにかくほしかった。
あと中身はNPCではあるが他のプレイヤーが野良浪人として現れることがある。こいつらに襲い掛かって斬り合いができたりする。それが結構楽しい。が、ランダム生成なので会えるかは運。そこもクリア後は出やすくなるとかあってもよかったんじゃないかな。

・探索の飽き
さっきあんなに絶賛した探索要素だが、80%を超えたあたりでかなり作業感が出る。だがそれなりに神経を使うので「作業だしながらでやるか~」みたいな甘えは許されない。
というのも、今作は基本的にやることが毎回同じなのだ。蔵に二階から侵入して宝箱を開け、似たような場所にある社を拝み、猫を撫でる。そして、とにかく浪人を斬る。これに尽きる。
ランダム発生ミッションは8割くらいが最終的に「浪人を斬る」に帰結するし、治安悪化地域を治めるには占拠してる連中を斬らないといけない。お尋ね者という強エンカモブもやることは同じ。斬る。
メインミッションでは敵対組織の浪人を斬るし、各キャラの因縁レベルをあげるミッションでは悪人を斬るし、一般町民からのお願いでは賊を斬る。
とにかく浪人を斬り続ける。ので途中で必ず飽きが来る瞬間がある。まあ仕方ないことかもしれないが。
街を歩くモブと会話ができない、斬ることもできないなど完全に背景としての役割にしかなってないNPC要素もその辺のマンネリに加担していると思う。まあこの辺は容量の問題なんだろうが……
長々と書いたが、解決法は「少し休む」だけで解決するのでそこまで問題でもない。まあ、もっとランダムイベやミッションに解決策の手段が欲しかったなぁとは思うが。



こんなとこですかね。

ではここからはメインストーリーに触れていきます。

ネタバレ注意です。













この老人が最終警告です







ストーリーについて



片割れと離れ離れになった主人公。片割れの行方を追うために動乱の幕末に飛び込むといったストーリー。
基本的に主人公の行動基準は「片割れを探すこと」であり、討幕佐幕両陣営を自由に行き来することになる。そうした中で築いた絆や、各キャラから影響を受けて徐々に「日本の夜明け」を目指すようになる。

さて、まず大前提として感想は「面白かった」だが「求めていたものはこれでは無かった」……こうなる。

最終的なオチがよかった。俺は「終わりよければすべてよし」の比重が高いのでいったんはこれで面白いと表現した。また、このゲームは分岐につながる選択肢が多く、「もしかしてこの選択肢で歴史が変わるのでは」と言ったドキドキ感がある。黒船から始まり安政の大獄や桜田門外の変、池田屋事件に鳥羽伏見など息を呑む展開が続き、京都に入ってからは先が気になりすぎてフィールド探索をいったん無視するなどした。

が、終わってみれば突っ込みどころがあまりにも多い。

まず主人公の思想が無い。各キャラに影響を受けて~と書いたが、そう解釈しないと主人公の存在意義が無いからだ。
例えば、京都に入ってから佐幕を選んだとしよう。池田屋で大立ち回りを演じ、これまで散々仲良くしていた桂を追い込み、結果的に長州の立場を追いやった。そして禁門の変で久坂を倒し、自刃させるまで追い詰めた。その後主人公は坂本龍馬と共に戦いを続ける新選組を斬り、沖田と戦う。この時の行動原理は坂本龍馬の「これ以上戦う必要は無いき!頭を冷やせェ!」という頂上戦争のコビーみたいなものだが、新選組として活動した主人公もふらふらと乗っかり、さっきまで背中を預けた仲間を斬っていく。挙句の果てに数時間前に半殺しにした久坂の死体のとこに行き、神妙な顔で久坂の奥さんを慰める。どの口で????

また、討幕派についたとしよう。鳥羽伏見の戦いで旧幕府軍を追い詰め勝利した主人公。江戸に舞台が移り、幕府の重鎮勝海舟が直接きったねえ納屋に赴き主人公に「手を貸してくれ」と頼み、ホイホイついていく主人公。勝そいつ攘夷志士ですよ。そんでお前もホイホイ行くな。

とにかくこの佐幕・討幕派両陣営と仲良くなるシステムをうまく扱えていない印象が目立つ。明確に1章は討幕、2章は佐幕と仲良くさせて3章でプレイヤーに選ばせるという構図だが、結局どちらを選んでもやることはあまり変わらない。佐幕だろうが討幕だろうが薩長同盟を結び、新選組にスパイでもぐりこみ伊藤甲子太郎を斬り、江戸決戦を避けるため無血開城するよう動く。

つまり、史実通りに動かないとならないのだ。このゲームの売り文句は「自由な幕末」である。自分だけの歴史を作れ、は公式の謳い文句だが結局歴史は動かされないのだ。

さらに、「史実で死ぬキャラを生かすことができる」といった触れ込みもあった。幕末ファンならこれを見てどう思うだろうか。攘夷派閥が好きな人なら、吉田松陰を救い、トップとして担ぎたいなんて思ったことはあるんじゃないだろうか。それこそ、久坂が禁門の変で死なないルートも面白そうだ。
俺は大の新選組好きなので、近藤を生かしたかった。源さんにも死んでほしくないし、山南さんには駆け落ちさせない。芹澤と伊藤はいいや。

では実際どうだったのかというと、上に挙げた名前全部死にます。生存ルートなんてありゃしない。

討幕派で新選組の猛攻をせき止め沖田土方永倉近藤全員半殺しにしても久坂は自刃するし、佐幕派として鳥羽伏見を駆けずり回り攘夷志士皆殺しにしても近藤は戦死する(そもそもここ史実と違くね?)。

ちなみに生存ルートがあるのは沖田と高杉と坂本。坂本は主人公の相棒なのでわかるが、沖田と高杉に関しては病死だとパッとしないから生存させるか!のノリでしかない。しかも沖田はクリア後函館に行く土方に帯同しない。それは流石に解釈違いすぎる。

俺は3章入ってからずっと新選組の一員としての気持ちでプレイしてた。近藤さんを絶対に死なせたくなかった。新選組を終わらせたくなかった。なんならこのまま江戸幕府続けてやるよバカヤローの気持ちだった。

実際は、そもそも新選組に入れてすらいなかった。「新選組に協力してくれる腕利きの浪人」というポジションから抜け出せず、心は新選組だし服装も重ね着で新選組なのに桂から「君には新選組に潜り込んでほしい」と言われた時はその場で斬り殺してやりたかった。木戸孝允なんてこの世にいねえブレードをお見舞いしてやりたかった。

と、ここまで散々述べた通りこのゲームは自由ではない。重大な選択肢は結局1本道につながっており、本当に救いたい人は死ぬ。オリジナルな幕末など作れず、結局「幕末にもし隠し刀という暗躍する浪人がいたら?」というコーエーテクモのオリジナル幕末を体験するのが実際だ。

さらに踏み込んで書くと、要するに「坂本龍馬」なのだ。

主人公の相棒ポジと書いたが、主人公はほっとんど喋らず思想も無いので基本的に坂本龍馬に振り回される。坂本龍馬と一緒に遊郭に行って、坂本龍馬が会わせたいという吉田松陰に会うために色々して、久坂のやり方に疑問を覚えた坂本と一緒に討幕派からフェードアウトして、坂本が影響を受けた勝海舟に師事して……

つまり、主人公がやってることは坂本龍馬がやってることに過ぎない。そして坂本龍馬は8割くらい討幕の人間なので佐幕で動こうとすると仲良しの人とたくさん戦わなければならなくなる。

実際、3章で一番歪んでたのは坂本がコビーの真似してからである。なんで新選組が薩長同盟を結ぶ手伝いしないといけないんだ。

坂本龍馬という存在が幕末において異質で、フリーなため主人公が追従し、結果的にどっちつかずでどっちの陣営も斬るというイカレ人斬りになったのだ。新選組の服を着たまま沖田を斬った時「あなたは……どうして……」とか言われた時心臓キューーーンなったわ。


ただ、このコーエーテクモオリジナル幕末が面白いは面白いのでまあ許す。メインの片割れの動機とかしっくりきたし。もっと会話しろとは思ったけど。

また、当時は立場が変わって昨日酒を酌み交わした友人と斬り合うなんて日常茶飯事だったし、まあ幾分かは許せる。禁門の変らへんはマジでサイコだが。

先述したとおり、各キャラが濃いので普通にその掛け合いが見れるだけでも面白い。これは幕末という時代の面白さでもあると思う。

ただやっぱり「自由な幕末」と言うなら、めちゃくちゃ振り切ったルートも用意してほしかった。「割と早い段階で武力による制圧ができたので大政奉還とかさせずに普通に慶喜の首かっさらう長州」とか「完璧に攘夷志士抑えて新しい江戸時代が始まり、その下には新選組が最強の幕府軍として君臨するルート」とか。なんなら「江戸幕府と長州が組んだら列強に勝っちゃいましたサムライ最強ブシドー世界一」みたいなのもやりたい。

というか、坂本龍馬生存沖田高杉生存、西郷大久保の関係良化、土方がそこまで戊辰戦争にこだわって函館に行くわけではなく「新天地を目指して」函館に……なので明治維新の方がオリジナリティ強くなって面白そうなのでは?と思う。DLCで文明開化編が始まることが待たれる。


総評


面白かったです。楽しいゲーム体験でした。これ無職の時にやっててよかった。プレイ時間はだいたい60時間くらいだけど止め時が無いから始めると無限にやっちゃう。一週間くらい寝るかライズオブザローニンやるかの生活してた。

PS5専売というのがなかなかアレだが、できる人はぜひやってほしい。幕末の知識はあんまりなくていいと思う。小学生レベルの流れで多分なんとかなる。最悪ググろう。めちゃくちゃ関連文献出てきてエンドコンテンツになるぞ!

では、ライズオブザローニン最高の瞬間を貼っておきます。



それでは。

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