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統一教会と霊感商法

The Unification Church, simony and Japan

日本:安倍晋三元首相暗殺の背後にある統一教会/Moonie(ムーニー)の霊感商法

7月8日に起きた安倍晋三元首相の暗殺事件は、国内外のメディアが強い関心を寄せ続けている。中でも、「統一教会」、つまりMoonie(ムーニー)との関わりのために財産を失った多くの日本の家庭の悲劇に注目が集まっている。この「教会」の日本での歴史に特徴的な「霊感商法」についての記事が、7月23日付のアメリカの日刊紙「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された。

前首相を暗殺した山上徹也(41歳)は、統一教会を憎む多くの人たちの一人であった。犯行の少し前、彼は送った手紙の中にこう書いている。「何年も前から憎しみを抱いていた。しかし、もし私が彼らの指導者の一人を殺したとしても、誰も気に留めなかっただろう。安倍さんは私の敵ではないが、統一教会の強力な支援者だ(だから彼を選んだ)」と。

本誌のジャーナリスト、ベン・ドゥーリーと上野久子は、この信仰共同体の創設者(1954年)、ムンソンミョン/ Moon Sun-myung/文 鮮明(1920-2012)が「日本と日本人に対して非常にあいまいな態度をとっていた」と指摘する。彼は説教の中で、日本という国を、「潜在的な救世主」と言いながら、他方では「サタンの産物」であると表現した。日本人の祖先が歴史上犯した多くの罪(韓国の植民地支配を含む)を指摘し、日本人に一種の償い、つまり自分が設立した教会に「生贄」を捧げるよう呼びかけたのだ。

このような「先祖代々の罪の意識」を利用することは、思いがけない結果をもたらすことになった。特に1980年代は、日本社会の急速な豊かさと並行して、何十万もの人々がこの説教に耳を傾け、この教会の口座に何十億ドル(!)もの献金が流れ込むようになった。その結果、統一教会の広大なビジネス帝国の驚異的な成長に貢献したのである。ムンソンミョンはその資金を元に、非営利組織NPOのネットワークを構築し、日刊紙ワシントン・タイムズの刊行など(日刊紙ワシントン・ポストとは別物)、メディアを政治的影響力に活用した。

韓国から輸入した花瓶、幸運を呼ぶとされる印鑑、ムンソンミョンの革装本など、一元論教団に関連するさまざまな品物を、信者やその家族は定期的な供養として購入するように要求された。また、先祖の罪の償い、地獄の責め苦からの解放や、先祖の罪のために癌に侵された子供の治癒祈願などと組み合わせた霊的商品販売システム、「霊感商法」も生まれた。

日本における統一教会の影響力は1990年代前半にピークを迎えた。当時、すでに日本で活動していたポーランド人ドミニコ会のパウロ・ヤノチンスキー神父は、当時を次のように回想している。「当時、私は東京の渋谷に住んでいた。駅前で、若い人たちが通行人に 『アンケート』に答えるように呼びかけて回っていた。私は、この偽キリスト教団の活動に興味を持ち、アンケートに答えてみた。そして、駅の近くにある事務所に招かれた。そこで、アメリカや他の国の統一教会の活動をビデオなどで観た。

その後、私は信徒から『プリンシプル(原理原則)』を渡され、自宅で読むことになった。そして、ここで私は本当の異端を突き付けられた。例えば、『イエス・キリストは神から遣わされた素晴らしい人物だが、残念ながら十字架上で死んでしまったため、その使命は果たせなかった』と書かれている。そこで、神はその代わりに、やがて全人類を統合することになるムンソンミョンを任命した(だから「統一教会」という名前なのだ)。私は、『指導者』(当時はSB役員とこのような付き合いをしていた)に対する異議を、確か中野という若い日本人に伝えた。後日、彼とはドミニコ会の教会で会った。彼は、私たちの建物をいつか自分の教会として接収するために、貪欲に見ているように思えた。彼は数年にわたって、何度か私を改宗させようとし、聞いた話によると、そのために断食もした」

日本における統一教会の活動に関連する問題は、前世紀の最後の10年間の初めに現れた。1995年、東京の地下鉄駅でオウム真理教の犯罪者が、罪のない人々をサリンで攻撃し、多くの人々が犠牲になった。当時、警察とメディアは、いわゆる「新興宗教」と、彼らが実践している法的に禁止されている行為を詳しく調べ始めた。

「家族資産の不法な差し押さえ」を理由とする訴訟が、裁判所で始まっている。2016年にもそのような事例があり、熱狂的な妻が、夫の収入や将来の年金も含めた家族の全財産を教会に寄付した。その夫に対し、裁判所が27万ドルの返還を命じた。

元首相の暗殺者の母親も同じように、一家の全財産(70万ドル以上)を統一教会に渡し、その結果、山上徹也が言うように、「彼女は私の兄と姉と私を地獄に突き落とした」のである。(先週、教会はその金額のおよそ半分を家族に与えることに同意した)

日本では1987年に『全国霊感商法対策弁護士連絡会』という団体が設立された。7月13日付の朝日新聞に、その活動に関する記事が掲載された。会員約34,000人を支援し、偽宗教団体が押収した財産(総額約90万ドル)の返還を要求している。

その中で、母親がまだ統一教会に属している40歳の女性(匿名)の例が紹介されている。その女性によれば、「山上氏の行為は非難に値するが、統一教会を憎む気持ちは理解できる。この教会は人間の人生を破壊することができるのだから。私自身、10代の頃、母の影響で入信した。1995年には、ソウルで有名な集団結婚式に出席し、教会から指名された韓国人男性と結婚した。しかし、その後、家庭内暴力問題が深刻化し、離婚せざるを得なくなった。実の母親とはもう連絡を取っていない。また、友人からも、どこからも援助を受けることができなかった。これは経験した人にしかわからない苦しみである」

jj神父(カイ東京)/東京

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