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エジプト:国際エキュメニカル巡礼

Egypt: international ecumenical pilgrimage

コプト正教会の代表者であり、アレクサンドリアの教皇、大主教並びに聖マルコ管区、および全アフリカの総主教(通称「コプト教皇」)であるタワドロス二世(Tawadros II)は、9月24日、『神のうちの真のいのち(True Life in God, TLIG)』を主題とする国際エキュメニカル巡礼の参加者である100人近くの聖職者をカイロの公邸に迎えた。聖職者の中には、4人のカトリック司教のほか、エチオピアとアルメニア使徒教会の高位聖職者も出席しており、ポーランド人5人を含む大半がカトリック司祭であった。彼らは、現代のギリシャ正教の神秘家ヴァスーラ・リデン(Vassula Rydèn)が設立した祈りのグループから集められた約500人の巡礼者を代表していた。

聖マルコ大聖堂

数十年にわたり日本で活動しているポーランド人のドミニコ会士パウロ・ヤノチンスキー神父は、「カイロにある聖マルコ大聖堂(Saint Mark's Coptic Orthodox Cathedral, Alexandria)は、1968年に建てられたもので、その大きさと内部のイコンの美しさは、驚くばかりで、目を楽しませてくれる」と言った。総主教は近代的な会議室でゲストを迎えた。そして、5000万人の信者を持つ教会の特徴を、「すべてのエジプト人の魂が、『古代文化、イスラム教、キリスト教という異なる歴史的積み重ね』によって形成されていることである」と紹介した。総主教は『自国の文化の平和的な性質』を強調し、コプト教会の場合は、特に国家当局のフランシスコ教皇との良好な関係に表れていると指摘した。

会合の主催者は、2021年2月にリビアで過激派イスラム主義者によって殺害された最近の殉教者、21人のコプト教徒についても言及した。教皇フランシスコは、すでに今年5月に彼らを、『全キリスト教の聖人(Saints of all Christianity)』として認めている。彼らのイコンは聖マルコ大聖堂にある。

「私は個人的に、総主教の私たち『神のうちの真のいのち』の巡礼者一人ひとりに対する親切なもてなしが気に入った。まず、チョコレートとミネラルウォーターでもてなされたあと、タワドロス二世は私たち一人一人に挨拶し、聖家族のイコンを手渡し、記念撮影に応じた。私たちのために時間を割いてくれたことにお礼を言うと、彼は私の『日本』と書かれた名札を見て驚いた。私は自分が日本でカトリックの宣教師をしていることを説明した」とポーランド人の修道士は回想した。

タワドロス二世とヴァスーラ

面会に同席したヴァスーラ・リデンは、タワドロス二世に対し、当初は予定になかったこの会合を実現してくれたことに感謝した。

シナイ山の麓にある聖カタリナ修道院


「神のうちの真のいのち」の巡礼は23日から始まり、9月28日まで続いた。9月25日(月)、参加者はシナイ半島の聖カタリナ修道院(Saint Catherine's Monastery)を訪れ、夜にモーゼのシナイ山(Mount Sinai, Mountain of Moses)に登った。

9月27日(水)、「神のうちの真のいのち」を主題とする国際エキュメニカル巡礼の最終日の前日となるこの日、さまざまな国から集まった500人の参加者は、カイロの皮なめし職人聖シモン修道院(Saint Samaan the Tanner Monastery, The Cave Church)で、ミサに参列した。この寺院は、ほとんどの観光ガイドには紹介されていないが、他の同様の建物と比べると珍しい建造物である。長年、エジプトの首都に定住しているポーランド人、マリウス・ディビッチ(Mariusz Dybich)による石の彫刻で飾られている。

聖シモン教会


修道院は、コプト教徒が住む『ゴミ収集人地区』にある。この名前は、彼らが数世代にわたって営んできた職業(ザバリーンZabbaleen, trash/garbage collectors)を意味しており、今日では、街中から運ばれてくるゴミをリサイクルしていると言える。彼らが祈りのために集まるのは、モッカタム山(Mokkatam)の斜面にある、10世紀のコプト正教の聖人(Saint Simon the Tanner 、10 世紀に丘の斜面に住んでいたコプト人の皮なめし職人)、聖シモンの教会である。

20年以上前から、聖職者の要請により、ポーランド人のマリウス・マリオ・ディビッチによって、この遺跡は石の彫刻で着々と装飾され、拡張されてきた。彼はワルシャワ大学のポーランド地中海考古学センター(The Polish Centre of Mediterranean Archaeology ,the University of Warsaw)の一員としてエジプトを訪れ、20年以上前にカイロに定住し、エジプト人女性と結婚して家庭を築いた。カタルーニャの有名なアントニオ・ガウディとバルセロナの聖家族大聖堂(サグラダ・ファミリア)のように、ディビッチはこの神聖な複合体に絶えず取り組んでいる。教会の入り口には、数体の天使の彫刻に混じって、アラビア語と英語で書かれた聖句が置かれている。「もし彼らが黙れば、石が叫ぶであろう」(ルカ19・40)。

マリウシュ・ディビッチ

マリウシュ・ディビッチは、2013年12月10日、カイロのポーランド大使館において、ブロニスワフ・コモロフスキ大統領(Bronisław Komorowski)から、「エジプトのキリスト教共同体を支援し、その関係を維持する分野における卓越した功績と、カイロのいわゆる『ゴミ収集人地区』であるモッカタム山に住むコプト教徒の間での社会的活動」が認められ、ポーランド復興十字勲章(Order of Polonia Restituta)を授与された。

ギリシャ正教徒の神秘家ヴァスーラ・リデンによって設立された「神のうちの真のいのち」の祈りのグループの巡礼参加者のためのミサは、フィリピンからの数人のカトリック司教のうちの一人と、インドからの司教を含む他の5人の高位聖職者がともに司式した。

Fr. jj (KAI), kg / Cairo

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