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子育て支援に逆行する制度乱用(自分の理解のためにまとめてみる)

今回は社会的な話題。木下斉さんのVoicyで、子育て支援の現役世代の負担について、これはおかしい!現役世代はもっと怒るべき!という話があったので、この件について取り上げてみたいと思います。

・・・とはいいつつ、白状すると、この子育て支援制度、というか社会保険制度について、私自身もきちんと説明ができないくらい理解が乏しいです。なんかおかしい、と思っても、しっかり言語化して説明ができない状況(泣)。
こういうときは、人に説明できるくらいに調べてみたり、自分なりにまとめてみることが重要!
ということで、木下さんの配信を元に、どういう状況なのかを、読者の方にとってわかりやすく説明できるように、自分なりにまとめてみました!私と同じように、なんかおかしいと思うけど、詳しくはよくわからん!という方に、少しでも理解が深まってもらえると非常に嬉しいです。



少子化対策として国が何をしようとしているのか

まずそもそも、少子化対策、子育て支援として、国が何をしようとしているのか、というと、

・少子化対策で3.6兆円の予算が必要
・しかしながら1兆円足らない
・その足らない1兆円を医療保険からとる
・岸田さん曰く「負担は一人当たり平均で月500円くらい」(そんなに高くないでしょ?^^ っていう感じ(汗))

という内容。

しかしながら、「少子化対策で医療保険からお金をとる?それっておかしくない?!」という声が上がっているのが今の状況。では、具体的に何がおかしいのかというと・・・。


医療保険って?

まず、医療保険について。
「医療保険」ってよく聞くワードですが、「実際何を指して医療保険と言うの?」と聞かれると、実ははっきり答えられる人って少ないのでは?
かくいう私も、突然聞かれると自信を持って答えられない・・・
ということで、調べてみました。

医療保険は社会保険のうちのひとつ(社会保険は「医療保険」の他に、「労働保険」「年金保険」「介護保険」があります)。

医療保険の種類は主に下記の3つ(超ざっくりですが)
・健康保険(対象:サラリーマン)
・国民健康保険(対象:自営業・フリーター・無職の方)
・後期高齢者医療制度(対象:75歳以上の方)

それぞれの対象者が毎月保険料を払って、それを財源として医療保険が運営されています。


社会保険料の負担はステルス値上げ

これらの医療保険を含めた社会保険料のたちの悪い部分は、シレッとコソコソ値上げが出来てしまうこと。
消費税なら高齢者含め全国民平等に負担がなされるのですが、社会保険料の場合は現役世代からの負担の割合が大きく、給料から天引きされていて支払っている実感値が湧きづらく、さらに健康保険であれば会社と折半して徴収されるため、そんなに多く支払っている感覚が得られづらい。
そんな状況なので、これまでもシレッと値上げがじりじり行われてきました。2000年から2022年の直接税と社会保険料の推移では、直接税が1.2倍に対して社会保険料は1.4倍に!実際、かつて消費税が8%から10%へ2%上がった際は大騒ぎだったのに、社会保険料が上がった際は、そんな大騒ぎしている状況はなかったですよね・・・。

出典:第一生命経済研究所ホームページ ここが知りたい『なぜ現役世代の社会保険料は上がり続けるのか』


消費税の場合は、消費者にとってもわかりやすいが故に、増税の際にものすごく注目されるので批判も起こりやすく、消費税増税は政治家もあまり手を付けたくないのが本音だと思います。片や社会保険料は、仕組みも複雑でわかりにくく、値上げをしてもあまりその話題は表にでてきません。もし国民が「なんか国が値上げしているらしい」という状況がわかったとしても、何がおかしいのか、どこがおかしいのか、複雑さ故に理解することが難しく、結果、なんかおかしいらしいけど、よくわからん・・・ということで、大きな批判にも繋がらない状況となっているように感じます。


医療保険から少子化対策を賄うってどうなの?

という状況で、今回も社会保険料のひとつ医療保険からシレッと少子化対策の負担を強いる、という話が出ている状況なのですが、全体的に見ると、やはり政治家がとりやすいところから安易に取っていこうという姿勢に見えてしまいます。
選挙の大きな票田となる高齢者にマイナスとなるようなことはしたくない、だからといって、安易に社会保険料から取るってどうなのか?現役世代に負担をさらに強いる状況を作っておいて、少子化対策!と言われても、当事者にとっては全然納得感が得られないはず。
実際に国民ひとりの月平均の負担500円はあくまで平均であって、現役世代への負担はそれ以上になると言われており、500円ならそんなに負担もないよね、というふうに見せるために、安易なワンコイン発言をしてしまっていて、国民を舐めてる、というか、悲しくなります。

というセコい負担額徴収が行われている社会保険料の状況なのですが、もうひとつ深刻にとらえるべきなのは、現役世代の負担を増やしてしまっている一方で、高齢者優遇になっている状況に手を付けていないこと。
というのも、現役世代の現状としては、所得に余裕がなく、直近の国民の預貯金の調査では20代では50万円が最頻値、その次が0(!)という状況、なかなか厳しいですね・・・。逆に、実は今の日本の財産の6割はなんとお年寄りが持っているとのこと。
高度経済成長でいい時代を過ごしてきた団塊世代のお年寄りと違って、バブル崩壊後の厳しい時代をじっと耐えてきた現役世代は非常に困窮している。社会保険料の負担もどしどし強いられて、そんな状況で「さあ子育て支援!」と言われても、全然助けてもらえるようには思えないのではないでしょうか?

後期高齢者の医療費負担を現役世代が負担している状況

さらに、後期高齢者医療制度についても歪んだ状況になっています。後期高齢者医療制度は、75歳以上の国民全員が保険料を負担することになっています。所得によって負担割合は1割・2割・3割に分かれているのですが、すでに後期高齢者医療費制度は、15.3兆円の赤字の状況。これは、後期高齢者の払っている保険料が安すぎて使う医療保険負担に合致していない、という理由によるものなのですが、それをどう埋めているのかというと、
・7.7兆円は税金で穴埋め
・6.3兆円は現役世代が「後期高齢者支援金」として穴埋め(!)

現役世代が自分たちのために協会けんぽとか組合健保とか国民健康保険料で払った保険料からプラスして後期高齢者への支援金として6.3兆円払っている状況なのです。

さらにもっと言えば、介護保険も40歳以上の人が対象となり、現役世代の一部も高齢者の介護のための保険料を支払う状況になっているのですが、この介護保険料、2000年の徴収スタート時は月平均2,911円だったのが、2021年には6,014円、なんと2倍の保険料に膨れ上がっています。

このように、財源が足りないから、ということで、サラリーマンの働いたお金から、お年寄りの医療の財源の不足を賄おうとする動きになっていますが、お金のない若者が働いたお金を、何百万も何千万も預貯金を持っている高齢者に支援金として送っている状況になっているのです。
お金のない現役世代から巻き上げて、それをお金を持っているお年寄りに分配している。これは非常におかしな状況ですよね!!!!


切り札はマイナンバー

そんな状況を打開する切り札は、マイナンバーだと思います。
ちゃんと個人個人の金融資産の情報も紐づけて、国でしっかり管理すれば、だれからどれくらい徴収するべきか、正しい社会保険料の徴収ルールづくりも実行しやすくなり、国民全体でも理解も納得感も深まるし、それを管理する仕組みもDX化で手間も防げる。今後人手不足となることは確定路線であり、全てを包括するマイナンバーはもっと強制的に国が推し進めるべきだと思います。
健康保険証からマイナンバーへの変更を頑なに否定している方もいますが、今の時代に見合った管理方法に移行する上で待ったなしの状況で、そんなことを言ってる場合じゃないと思っています。
誰にとってもわかりやすく、どこからどの財源を徴収するか、納得感のある仕組みをスピーディーに行う上で、マイナンバーの早々の定着。絶対やるべきだと思います。


さいごに・・・社会保険の仕組みはわかりにくすぎる!早期の仕組み変更が必要!

今回の医療保険での子育て支援の話、noteで情報発信するために色々調べてみましたが、やはり、複雑すぎる仕組みですね。記事を書いてみて余計にそう思いました。こんなツギハギでやりくりし続けるのではなく、もっと根本から仕組みを見直して、今の時代にあった制度設計を掲げて実行していってもらいたいと強く思うところです。


ではでは。

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