排泄失敗との向き合い方

在宅介護を悩ませる「排泄(せつ)の失敗」とどう向き合うか

介護する方とされる方の双方が、少しでもラクに、ストレスなく、「排泄(せつ)」の問題と向き合うには、どうしたら良いのでしょうか。今回は「排泄(せつ)の失敗」への対応方法についてまとめます。

介護する家族が苦労する「排泄(せつ)介助」の悩みとは
排泄(せつ)に人の手を借りることはとてもつらいことです。
家族への気兼ねもありますし、恥ずかしさもあります。
要介護の方の気持ちを思えば、「大丈夫だよ」「気にしないで」などと声をかけて、手早くできるのが理想ですが、なかなかそのようにできるものではありません。

排泄(せつ)物の始末は簡単に慣れることではなく、肉体的な大変さはもちろんですが、精神的にきついと感じる方が多いようです。

健康的な便ならば比較的苦労は少ないですが、排便トラブルを抱えていると、便秘のあと、おむつからあふれるほどの大量の便失禁をしたり、衣服やベッドまで汚してしまったりすることもあります。
認知症のある方ですと、おむつ交換のときに便に触れてしまう、排泄(せつ)の途中に動き出して周辺を汚してしまうことなどもあり、負担は増すばかりです。
排便があるたびに周囲が汚れ、洗濯や掃除にヘトヘトになり、においに悩まされ...このような日常を繰り返していたら、介護そのものが限界だと感じてしまうこともあるでしょう。

私も訪問介護でいろいろな方の排泄(せつ)介助をしてきましたので、排便処理の大変さはよく知っています。
悪い状況下ではプロでも苦労するものです。
介護する家族が投げ出したい気持ちになっても無理はありません。

大切な親やパートナーであっても、排泄(せつ)物の始末に抵抗感があるのは当然のこと。
むしろ家族だからこそ、割り切れないものです。
大切な人に対して怒りを覚えてしまう罪悪感、老いや衰えを直視しなくてはならない悲しみ、いつまで続くかわからない不安など、ご家族ならではの複雑な感情がそこにはあります。
排泄(せつ)の失敗を繰り返すことが原因で、優しい気持ちで介護に当たれなくなり、悩んでいる方もたくさんいます。

「排泄(せつ)の失敗」に対応する方法
排泄(せつ)の失敗に多いパターンを例に失敗を減らすためのコツをいくつかご紹介します。

<認知症の方の排便誘導>
認知症の方は、「トイレで排泄(せつ)する」という行動そのものを忘れてしまう、便意を感じないまま垂れ流してしまうなどの症状が見られることがあります。
介護する方は、便意の兆候を読み取ってさり気なくトイレに誘導してみてください。
便意を明確に自覚できなくても、落ち着きがなくなる、機嫌が悪くなるといったサインがある場合が多いです。
兆候は人によって異なりますが、注意深く見ていると「これはお通じに行きたいんだな」とわかるようになると思います。
タイミングを逃さず、トイレに行って座ってもらう、便座に座ったり立ったりを繰り返してもらうなどすると、うまく出せることが多いです。
また、腸の動きが活発になる食後など、毎日決まったタイミングでトイレに行くのも有効な方法と言えます。

<排便後のおむつ交換>
あふれるほどの排便があったあとのおむつ交換は大変なものですが、準備を万全に整えて落ち着いて対応することが肝心です。
在宅介護では、ひとりでおむつ交換をしなくてはならないことが多いので、とにかく段取りが大事。
おむつ交換に必要なものは全て手元にそろえ、使用する順番や後始末のことを考慮して配置しましょう。
おむつを開けてしまうと、足りないものを取りに行ったり、探したりすることはできません。
新しいおむつは広げておく、ウエットティッシュのふたは開けておく、新聞紙やゴミ袋の口も広げておくなど、小さなことでも先回りして準備し、それぞれの配置も工夫すると、おむつ交換にかかる時間も手間がずいぶんかわります。
また、片方の手は清潔な状態を保つことが重要なポイント。
両手が汚れてしまうと、必要なものを取ることもできませんし、途中で動こうとする要介護者の方に対応することもできません。
私の場合は、手袋を両手につけてしまうと無意識に両手を使ってしまうので、片手は手袋をせず、「絶対にこっちの手は汚さない!」と意識していました。
片手を清潔に保つことを意識して、手袋をつける方の手には、複数枚かさねてつけておくなど、工夫しましょう。
利き手やベッドの配置にもよりますが、物を取る方の手は汚さないようにして、おむつ交換にチャレンジしてみてくださいね。

※情報引用元
自動排泄処理ロボットシルバーは介護における夜間の排泄処理の介護者の負担を軽減するために生まれました。
介護ロボット「シルバー」は、清潔で快適な排泄をお手伝いします。

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