#006 ひらがな指導の世界を広げる絵本2冊。
4月、入学間もない1年生。
ひらがなの学習が始まります。
「幼稚園・保育園で、遊びを通して学んできている子どもたちが、意欲的に取り組める学習とは?」
1年生担任経験3回、2024年5月に絵本専門士認定予定の私が、ひらがな指導の世界を広げる、おすすめ絵本2冊を紹介します。
『あいうえおうさま』
1冊目は、『あいうえおうさま』
特徴
リズムの良い文章で、音読にも適している。
くすっと笑ってしまう文章。わがままで、なまけもので、くいしんぼうなおうさまのキャラクターに合っている。共感する子どももいる。
1ページに1つの文字。
そのページで扱われている文字が、文章の中で繰り返し使用されている。
文章にはない言葉も、絵で描かれている。例えば、『あ』のページでは、雨、アザラシ、アサガオ、穴、アリ、飴など。
和歌山静子の太いタッチ、力強い絵。
第3回絵本にっぽん賞受賞作品。
授業展開例
そのページで扱われている文字を空欄にした文章を示し、空欄に入る文字を考える。
音読をして、空欄に入る文字を確認する。確認後、再度、全員で音読をする。
文章にはないが、絵で描かれているものを確認する。
おすすめポイント
クイズ形式なので、子どもが声に出して音読したがります。
文章のリズムが良く、みんなで声を合わせて音読する気もちよさが味わえます。
おうさまらしい、笑ってしまう文章があり、笑顔になれます。
子どもに人気がある「ぼくは、おうさまシリーズ」なので、興味をもってくれる子どもが多いです。
『あいうえおの本』
2冊目は、『あいうえおの本』
特徴
1見開きに1つの文字。左のページには、ひらがな。右のページには、その文字で始まるものの絵。
木材を繋いだり、曲げたりして表される立体感のあるひらがな。芸術的で、ひらがなを見ているだけでも楽しめる。木目も美しい。
文章はない。説明をしなくても、読者は自然と言葉探しを始めてしまう。
周りの枠にも、その文字で始まるものの絵がたくさん隠れている。例えば、『あ』のページでは、アヒル、アリクイ、アユ、アシカなど。白黒で描かれているので、見つけるのが難しい。
安野光雅の細部まで丁寧に描かれた写実的な絵。
授業展開例
1つの見開きを示し、右のページに描かれているその文字で始まるものの絵の名前を確認する。
枠に隠れているその文字で始まるものの絵を探し、ノートに書く。
見つけたものを友だちと紹介し合う。
おすすめポイント
枠に隠れているその文字で始まるものの絵を見つけるのが難しいです。
難しいからこそ、子どもが考えたくなります。
大人でもすぐに見つけられなかったり、知らないものがあったりします。
大人も楽しめるので、授業参観で参観者と一緒に考えるのも良いと思います。
まとめ
紹介した2冊の絵本を活用することで、子どもたちは楽しみながらひらがなを学ぶことができます。
クイズや言葉探しなど、遊びの要素を取り入れているので、1年生も集中して学習に取り組みます。
お家での家庭学習にもおすすめです。
ただし、「ひらがなを覚えさせるために」といったニュアンスが強くなりすぎると、子どもたちは絵本=教材と感じるようになり、絵本を楽しめなくなるので、要注意。
よろしければ、手に取ってみてください。
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