初めてのショートショート

「私ね、もしかしたらストーカーに付き纏われてるかもしれないの」
飲み屋で、女友達のミカはそう言って、いきなり相談を始めてきた。


前にそんな話はミカから聞いていた。たしか、仕事の帰り道、いつも同じ男性が、いつも同じ電車に乗り、いつも同じ道を通っていたのが気になっている、とかなんとか。

「いやまぁ、帰り道だからね、いつも同じになるのはしょうがないんだけど、ちょっと嫌だなぁーて感じたからさ、仕事後スタバで時間潰してから帰ろうとしたの。そしたら、スタバにその男がいたの!最初は偶然なんだろうと思ってたんだけど、次の日もいてさ!」
その日はさすがにスタバに寄らずに帰ったらしい。

「でね、次の日また帰り道一緒になったから、今度は逆に尾行してやろうってなったの。コンビニ寄るふりをして、男の後をつけてやったのよ!そしたら、わたしの家の隣のマンションに入っていくのが見えたから、そこで終了。まぁ、一応近くの人だったんだって一安心したんだけどね。」
まぁ、女性が夜道に一人で帰っていて、男性が近くにいたら不安になりもするだろう。結局その後、たまに帰り道が一緒になり、ちょっと不安になりながら帰っていたが何のなかったので、そのままそれが日常になりつつあった。
以前聞いていたのは、そこまでだ。



「先日ね、ポストに宛先不明の封筒が入っててさ、『いつも見ているよ。』なんて紙が入っててさ。怖くなって、すぐに捨てたの。」
「そしたら今日ね、またポストに封筒入ってて、『最近スタバのカフェモカ飲んでないの?スタバで時間潰している君の姿が大好きだから、見れなくて寂しいよ。』なんて書かれてて、怖くて足が震えたのよ。どうしたらよいかわからなくなって、連絡したの」
女性の一人暮らしで、こんなことが起きてはとても冷静じゃいられないだろう。

ミカの話を聞くと、以前話していた男性がストーカーなんじゃないかと考えているらしい。ミカは仕事上、男性と出会う機会がなく、常に仕事一筋の生活を送っている。男性との関わりなど、取引先の人か仕事以外のそれこそスタバなどのお店の人くらい。そんな人生の中で、消去法で考えていくと、ストーカー候補に挙がってくるのは、隣マンションの男性くらいか。

対策としては、警察に相談が一番だけど、たぶん被害が出ないと相手してくれないと以前なにかの記事で読んだことがある。
もう少し様子見てからじゃないとできることも少ない気がするが…

「かと言って、このまま一人で暮らすのも不安だし…」
「近くに知り合いの男性とかがいたら安心なんだけど…」
こちらをちらちらと窺っている…

「ねぇ、ちょっとの期間でいいから、一緒に住んでくれない?」

ミカが同棲を提案してきた。現状できる対策としては、これが一番良いと判断したのだろう。
近くにいればミカを守れる可能性があるし、不安も多少は消えるだろう。
荷物は必要な物だけをもっていけば、良い。
大事な私物は家に置いておこう。



次の休みの日から、ミカの家に住むことになった。仕事先は別だが、朝晩ご飯は一緒に食べて、一緒に寝て、二人で楽しく生活をした。
一緒に住むことになってからは、宛先不明の封筒も来なくなり、隣マンションの男も見かけることはなくなったらしい。ミカは同棲してくれたおかげだと喜んでいた。
こちらとしても、ミカが安心して、楽しく生活をしてくれて、とても嬉しい。ずっとこのままの生活が続けば良いとも思っている。


家に置いてきた、大事な物はどうしようか。
大事な大事な、大事なミカの写真。
宛先を書かず想いを込めた封筒。
ミカミカミカ。
生活のすべてをミカに費やしてきた。
ミカ、愛している。
今までもこれからも、ずっとずっと一緒だよ。
ミカ、大事なミカ。
愛してる。




大事なミカが横で何か考えながら、ぼそぼそと呟いている。

「サキコの荷物、いつか取りに行かないとだねー」




※追記
初めて、物語を書いてみました。人生初です。
休み中に大まかな内容を考えて、朝から二時間ほどでさっくり書いてみました。
初心者なので、文が読みにくかったり誤字などもあると思います。ご了承くださいませ。
最後に、

読んでくれてありがとう

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