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ココロ


ココロは湖の底に沈んでいます


湖は深い森の奥にあります

湖の底からは つめたい水が湧いているので

ココロはいつも つめたい中で ゆらぎます

魚がきて 時々ココロをなめていきます

ココロからは、時々ナミダがでるので

その塩気をなめにくるのです


湖は とても深い

けれど とても透明です

朝になれば 深い底にも光が届き

ココロは 少し あたたかくなります

あたたかくなると

少し 魚と おはなしをします

魚たちが水面近くで 見たり聞いたりしたこと

咲いている花のこと

水を飲みにくる けものたちのこと

水をとおして聞こえてくる 小鳥のうた


そんな おはなしを

いくつも いくつも聞きます

ココロはそんなとき

とてもやさしい気持ちになれます

そんな おはなしを

いくつも聞いた日の夜は

暗すぎる水の底でも

ゆっくりと眠ることができます


嵐の夜は

ココロを取り巻く水たちも

そぞろにさざめいて

ココロを不安にさせます

けれど そんな時

魚たちはココロのまわりを囲みます

ココロが 流されないように


あさ・ひる・ばん

あさ・ひる・ばん

そうして 月日は過ぎてゆきます


月に照らされる夜は 宴をひらき

流れる雲に見とれつつ

ときどき

でんぐり返しをしながら

ココロは湖の底に

沈んでいます

はちと申します。 見ていただいて、ありがとうございます。 ちいさくて、大切なものをひろいあつめたいです。