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白トラ弐21 何らかの気配 過去の体験

 西東京市保谷(ほうや)で暮らしていた時、得体の知れぬ気配に包まれたことがある。

 保谷に住んでいたのには一応理由がある。住んでくれと頼まれたのだ。
 保谷の4LDKのマンションに兄夫婦と生まれて間もない娘一家が暮らしていた。

 兄としては東京を拠点に仕事を続ける気でいたようなのだが、父の仕事を手伝う形で実家近くに引っ越して行った。

 東京方面の仕事はもう少し残っているとのことで、仕事に来たときのホテル代わりに保谷の部屋を使いたいという。「空き部屋にしておくのは勿体ない、お前、維持・管理を兼ねて住んでくれないか?家賃は交渉出来る」というので閑静な住宅街の4LDKの分譲マンションの部屋を5万円で一人で住まわせていただいた。

 が‥、これが得たいの知れぬ影とご対面の一歩となった。

 兄が先行して単身実家方面新居へ移ったあと、白へびが保谷の部屋に引っ越して最初の3ヶ月間は、奥さんと娘と引っ越しの荷造りを手伝いに来ていた奥さんのお母さんと一緒に4人で暮らした。

 白へびは当時某ゲーム開発会社に務めていた。品川シーサイドか青物横丁近くにある職場まで片道1時間半以上かかる。電車が遅延するとすぐ2時間かかってしまうような環境だったこともあり、普段から荷造りを手伝う要員ではない。

 そんな荷造り同居生活のある日‥

「もう~、4畳半の部屋の蛍光灯!先月変えたばっかりなのにまた点滅してるの!あったま来たから新しいのに取り換えてやったわ!
 何でかなぁ~!接触不良なんかなぁ~?
 シーリング自体新しくしよっかとも話してたんだけど、あと少しで引っ越すしな~」

 兄の奥さん、つまり義理の姉。お姉さんの半ギレの声が聞こえる。

 つづく

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