演出って何?

そこの君!私を演出してくれ!

もしあなたがこの言葉を唐突に言われたとしたら、どのようなことを思うのでしょう。演出という単語の意味とは、一体何なのでしょう。僕自身も、そんなことを語れるような豊富な演出の経験はありません。ではなぜこのようなものを書くのか。それは演出というものの本質が、昨今自分の中で見えたような気がしたからです。

演出という言葉をGoogleで検索いたしますと、「脚本・シナリオにもとづいて、俳優の演技、舞台装置、種々の効果などの各要素を総合的に組み立て、舞台に上演、または映画やテレビ番組などを制作すること。」という文言が見つかります。脚本・シナリオに基づいて、とありますが、普段の生活でも稀に使うことがありますよね?では、なぜこのような表現になるのか。僕は自分なりに考えました。その結果、一つの前提が、演出を行う上では必要だという結論に達しました。

お前は、誰だ。

演出をするためには、その人自身のことをよくわかっている必要があります。どういうことか。例えば、学校生活で先生のモノマネをして笑いを取る経験は、誰しも一回は経験があると思います。それは学校というコミュニティで、笑いのツボとなる共通認識があり、その特徴を捉えて真似をすることで笑いが生まれる。それは既に演出の一環なのです。

ここで改めて演劇での演出の話に戻ります。上記のことを演劇に置換して考えますと、先生の特徴は登場人物のキャラクターとなります。そのため演出は、キャラクターの特徴を捉える力、全体を俯瞰する力、そして台本を芝居として舞台上に構成する力など、様々な技量が求められます。そのため、センスの有無などはどうしても出てきますし、僕も今までセンスのある演出、センスのない芝居として成立しているかすら怪しい演出。たくさん見てきました。どのような演出がいい演出で、どのような演出があまり良くない演出なのか。起承転結の転を、御覧に入れましょう。

演出家の仕事とは?

演劇における演出の仕事は、定義にもある通り、総合的に組み立てることです。演出の仕事の手順としては、(部活によって違うのは当然なので、僕の部活の場合)まず台本が決まった段階で作者、演出助手、その他数名のスタッフと台本会議。その後、立ち稽古が始まると作品作りの先頭に立ちます。僕は、この立ち稽古が始まるまでに演出がやらなくてはいけないことが、一つあると思っています。それは、台本を徹底的に読み込むことです。宛ら国語の現代文を解くかのように。それぞれの台詞の持つ意味。その台詞は本当に必要なのか。矛盾点が無いかなど。台本を完璧に把握していない人間に演出はこなせません。どのようなシーンにしたいのか、作者の意図を汲み取り、その上で見ていて飽きないような芝居にしなければいけない。これが演出家の最低限の仕事です。では、演出家の味って、どのようなものか分かりますか?

俺の演出、俺の作品

演出家は、前記したような基本的なことを抑えたのちに、作品をどのようなものにしていくか。というところで、力量が試されます。簡単に言えば、おもしろい!と思う作品の演出は、凝っていて面白いのです。場転のシーンで音楽を使い、動きだけで見せる。対立してるだけでは面白くないから殺陣をしてみる。お客さんにも考えながら見て欲しいから、時間軸をずらした構成にする。などなど、方法は様々です。そこは作者との兼ね合いがあるので、作者且つ演出を兼ねる場合が多いです。演出家は裏方ですが、リーダーです。

演出家というのは難しい仕事です。僕もこれから高2として部活に復帰し、引退するまでの約9ヶ月、演出をする機会も勿論ありますし、同学年或いは後輩の演出の手伝いをすることもあるでしょう。アマチュアの僕たちが演出をし、満足できるような作品を作るには、並々ならぬ努力が必要です。しかし、演劇は勝負ではありません。自分たちの作品が一番面白い!そう思えること、そしてお客さんからの気持ちのこもった拍手、面白かったというお褒めの感想。それが演出家には、一番の快感なのです。

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