音響さん、準備できましたか

CUEの数は、いくつですか?

CUEというものをご存知でしょうか。これは「キュー」と読み、Qと代筆されることも多いです。CUEというのは、芝居で転換点となる台詞や音楽、照明、効果音のことを指し、演劇に携わる者にとっては頻出単語です。例えば、「このセリフをCUEに、音楽。」のような使い方をします。このCUEによって、役者スタッフは本番中もコミュニケーションを取りあい、劇を組み立てていくのです。このCUEが少しずれるだけで、お客さんの集中力は簡単に削がれてしまいます。そうすると劇のバランスが崩れてしまうのです。

芝居に引き込まれるか否か。それは最初の5分で決まります。その5分で芝居に引き込むために重要な役割を果たすのが、音響です。音響を爆音で流し、台詞と交えて圧倒する。その迫力によって、お客さんは引き込まれていきます。この方法は、僕の部活では積極的に取り入れています。正直、冒頭で引き込まれない芝居は、内容がいくら面白くても、若干コックリしてしまうことがあります(苦笑)。演出で面白さが変わるのは当然なのですが、音楽の選曲やタイミングも、芝居に引き込む重要な要素です。

そして肝心なCUEの数は、どのような芝居にしたいのかによって、大きく変わっていきます。静かに語りかける台詞芝居をするのであれば、オープニングとエンディング、そして芝居の波を生む際に重要な部分に音響を取り入れる。殺陣(たて)を前提にしたバトルものがやりたいのであれば、音響を沢山使い、魅せる芝居に仕上げていきます。プロの芝居になると、芝居のためにイメージを聞いて音楽を一から作ることもあるそうです。

音響の効果?そんなのあるのかい?

音響効果というものをご存知でしょうか。これは俗にサンプラーとも呼ばれ、「シャキーン」というような効果音を出す、音響の一部です。ちなみに、僕の専門のスタッフは、このサンプラーです。どのような機械を使ってサンプラーをこなすかは、学校などによって全て違います。プロの方は、MacBookを専ら使っているようです。しかし、我々のような一学校の部活では、そんな高価なものは買えないので、DJが使うような機械に、予め使う効果音を仕込んで置き、その場で鳴らします。このサンプラーが一番輝くのは、殺陣芝居などのバトルものです。これはノーミスでこなせると、役者がより一層引き立ち、素晴らしい出来の芝居になります。その一方、とても難しく、一瞬でもタイミングがずれるだけで、ミスをしたとわかってしまいます。まさにミスと成功は紙一重です。

音に乗せられて

音響は、芝居を引き立てる重要なファクターであるだけでなく、役者やお客さんの気分までも乗せてくれる、魔法の力を秘めているのです。皆さんも、好きな曲はあるでしょう。その音楽を芝居で使うとしたら、どのように使うだろうか。このシーンを良く見せるためには、どのような音楽が有効か。そのようなことを日々妄想しながら過ごすのは、思いの外楽しいものです。役者にとって、芝居にとって、音響は壮大なるバックグラウンドなのです。




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