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今年のテーマは「伝える」

2020年は本当にひどい1年だった。社会全体で失うものが大きかった。ボディーブローのように心が削がれ続けた(しかも現在進行形)。だからこそ、2021年はなんとか新たなものを得る年にしたい。



2020年の苦悩のなか、ぼくが一番希望を感じたのは、自治体職員は総じて「事務処理能力がとても高い」ことが再確認できたことだった(まあ異論もあるだろうけど個人的見解として)。

コロナ禍に急速に巻き込まれるなか、感染状況や国の対応なども横目に見ながら、県も市町村も地域の課題に向き合ってさまざまな施策を打ち出していったし、一定の成果も出してきた。もちろんうまくいかなかったことも多々あったけれども(諸手続きのDXは急務)、全体としては自治体職員の事務処理能力によって、クリアできたことがたくさんあったように思う。

一方で、課題も明確になった。その高い事務処理能力が今ひとつ効果的・意識的に使われないケースが散見されたことだった。特に現場(地域や企業)とのコミュニケーション。これほど先行き不透明な時代にあっては、これまで以上にコンセンサスが得にくくなることが予想され、施策バランスの取り方が重要となってくる。そういう企画・調整場面で、そのコミュニケーションにモヤっと感じることがあった。



自治体が、地域や企業とコミュニケーション取ることは言うほど簡単じゃない。県という単位は、宮崎であっても106万人を抱える。市町村という単位においても、市はそれなりの規模があるし、町村の場合はむしろその距離の近さがコミュニケーションを妨げることもある(この話はまたいずれ)。

だからこそ、自治体が組織単位で「伝える」という知識・技術を仕組み化しないと、その機能が社会の中でうまく機能しなくなるんではなかろうかという強い危機感を持った。その課題と取り組み方を年頭にあたって簡単に書いておきたい。

1)「伝える」という知識・技術を知る

コミュニケーションは、キャッチボールのようなもの。投げ取りするための玉(話題・議題)を持って、相手に投げる(伝える)ところからスタートする(相手から1投目が来ることもあるが)。

その玉を「どう」投げるか(投げ返すか)は大事な技術だ。投げ方次第では相手がうまく受け取れないかもしれない。いやそもそもの「誰に」投げるかも大切だ。玉にはそれぞれ色(テーマ)があるのでその玉を必要とする相手に適切に投げなくてはいけない。あるいは「どこで」キャッチボールするかも大事。場の設定を間違うと必要な相手に投げることができない。

そんな、いわゆる5W1H的な知識や技術がなければコミュニケーションはうまく回らない。組織単位でのコミュニケーションには個人の場合と異なる知識・技術が必要だし、今の時代に合ったものにアップデートしていかなくてはならない。

2)組織内で「伝える」

自治体職員はそもそも職員間でのコミュニケーションが不足気味だ。いわゆる縦割というヤツである。良い意味でも悪い意味でも責任感が強くて「うちの仕事はここまで」、そしてその反動的に「ここから先はそっちの仕事」と考えてしまう職員が多い。実にもったいないことだと思う。

今後「より一層不透明な時代」に突入する中、もてる武器は総動員して戦わなくてはいけない。たとえば超高齢社会がますます進行していく中で、あらゆる分野で高齢者に関する問題が顕在化している。買い物難民の問題一つとっても、交通・商店街・介護・警察などが、同じ目的意識の中で取り組まなくては解決できる問題も解決できなくなってしまう。

そもそも、自治体職員は「異動」を前提として働いている(自治体によって周期は異なるが基本的にセクションを異動しない自治体はない)。「これはそっちの仕事」と思っていた仕事を来年「こっちの仕事」として担当することも十分に有り得る。もっと組織全体として、どう役割分担するのが効果的かという視点を持つべきなのだ。

3)組織の外へ「伝える」

自治体には、まだまだ外部の人間と深く付き合うことを「ヨシとしない」風潮がある。多分にそれは贈収賄のような極端なリスクイメージがあってのことだろう。もちろん、そういう癒着はあってはいけない。でも、今どき自治体の組織内だけで解決できることなんてほぼない。公共(パブリック)の概念はどんどん広がっている。関係機関や関係企業との関係性を深めて、地域全体で大きなチームをつくっていかなければならない。

どこかの自治体職員が「企業とは”癒着”ではなく”密着”が大切」と言ってた(うまいこという)。解決すべき社会課題に対して、いかに地域全体で取り組むか。組織外も含めて、もてる武器は総動員することが肝要となる。

4)まずは自分が「伝える」を知る

というわけで、今年のテーマは「伝える」である。まずは自分がしっかりと学び直すところから始めたい。

年末年始は、さとなお(佐藤尚之)さんの著書5冊をじっくりと再読した。

・明日の広告(アスキー新書)
・明日のコミュニケーション(アスキー新書)
・明日のプランニング(講談社現代新書)
・ファンベース(ちくま新書)
・ファンベースなひとたち(日経BP)

そして、今月からさとなおさんが主宰するオープン・ラボに参加できることになったので(やった!)、本格的に「伝える」ことを学ぶことにしている。ラボで学び・検証しつつ、仕組み化していくのが目標。都農をはじめ、各地域でチャレンジし続けている仲間たちと一緒に、いい仕事をしていきたい。

検証経過はまたおいおいこのnoteで。

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