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コズミック・ミュージック〜宇宙の音を聴く!

筆者がプログレッシブロックにはまったたきっかけは音楽ではなくてSFというジャンル。
当時リバイバル上映されていた「2001年宇宙の旅」をみた感動は大きかった。
この作品は台詞が少ないのだが、それをカバーしていたのが、特殊映像と音楽である。
まだCGもドルビーもない時代にそれに匹敵するものと出会えた。

○リヒャルト・シュトラウス〜ツァラトゥストラはかく語りき

〈2001年宇宙の旅〉のテーマ曲。
壮大な宇宙を感じさせる重厚な作風。クラシックな管弦楽がSFのBGMにはまること見事に証明してみせた。

この映画の音楽は当初ピンク・フロイドが手がけることになっていたが、スケジュールの関係や諸々の理由で見送ったそうである。
そこからピンク・フロイドの音楽にシフトするのだが、彼らがコズミック・ミュージックに取り組んでいたのは〈原始心母〉くらいまでかなと思っている。
特に初期の頃はサイケデリック・サウンドと融合した浮遊感たっぷりのサウンドであった。

○ピンク・フロイド〜太陽讃歌

中近東風の怪しげな呪文のようなメロディーから始まる1968年の作品。
5分くらいから始まる音の洪水は地球から宇宙に飛び出た宇宙空間の雰囲気。

宇宙に実際は空気がないので、音は伝わらないが、なぜか頭の中には宇宙の音のイメージが浮かび上がってくる。

コズミック・ミュージックは20世紀初頭イギリスの作曲家ホルストはそのイメージを管弦楽で表現したのが始まりではないだろうか。
彼は地球を除いた太陽系の惑星、水星,金星、火星、木星、土星、天王星、火星と組曲で表した。

○ホルスト〜惑星

映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムスの作品「スターウォーズ」にも影響を与えた1917年の管弦楽曲。そういえばこの曲はかって児玉清が解説を務めた土曜映画劇場にも使用された。

1969年はアポロ11号が人類史上初の月面着陸を成し遂げ、宇宙へ踏み出した輝かしい年である。
それまで未知で想像で成り立っていた宇宙が現実化した。
同じくコズミック・ミュージックの流れも未知の楽器シンセサイザーによって新たに開かれることになる。

○冨田勲〜月の光

日本で初めてシンセサイザーを導入した冨田は独自の演奏方法を修得して、1974年にドビュッシーの楽曲を奏でた「月の光」を発表、シンセサイザー=宇宙の音は「惑星」「火の鳥」へと続く。

モーグが開発したアナログ・シンセサイザーはプログレッシブ・ロックの分野において主に使用される。
なかでもギリシャのキーボード奏者ヴァンゲリスの残した音楽はコズミック・ミュージックの宝庫である。

○ヴァンゲリス〜ロゼッタ

欧州の惑星探査機ロゼッタにインスピレーションを受けたヴァンゲリスの2016年の曲。宇宙空間を浮遊してるかのような錯覚にとらわれる。

ヴァンゲリスの音楽は他にも「コスモス」などの宇宙の科学ドキュメンタリーにもたくさん使用されている。
自分で探してみるのも面白いだろう。

もう1人,宇宙の音にこだわるキーボード奏者がいる。
フランスのジャン・ミッシェル・ジャール。
どちらかというと彼の場合は初期がそういう時期でNASAを祝うイベントにも積極的であった。

○ジャン・ミッシェル・ジャール〜幻想惑星
〜鼓動

後のテクノにも影響を及ぼした緻密な音の積み重ねが独特な1976年の腭曲。


さて70年代以降先に取り上げたピンク・フロイド以外のコズミック・バンドを見てみよう。
まずはスペース・ロックと呼ばれた現在も活動中のホークウインド。
彼らのバンド名が英国のSF作家マイケル・ムアコックが書いたファンタジー物のヒーロー、ドリアン・ホークムーンから取ったのは有名な話だが、このバンドには宇宙的な音のニュアンスが漂っている。

○ホークウインド〜スペース・イズ・ディープ

サイケデリックを飛び越えて宇宙へと飛び交うハードなビートの圧力感のある1971年の作品。

なぜか70年代と90年代は不思議と接近感がある。
次に紹介するスティーブ・ヒレッジはコズミックミュージックの先駆け的存在。
70年代はプログレッシブ・ロックのゴングのギタリスト、90年代からはテクノ〜アンビエントと跨いで活躍する。

○スティーブヒレッジ〜UFO・オーバー・パリ

パリ上空を円盤が飛んでるかのような1978年の、コズミック・サウンド。

○システム7〜火の鳥

スティーブ・ヒレッジとその妻ミケット・ジローディのエレクトロ・デュオの2008年の作品。実際は、ファイヤーバードでなく火の鳥。映像は手塚治虫へのオマージュである。


このように筆者はずいぶん宇宙の音に魅せられたのであるが、それは今も変わらない。
宇宙はまだまだ神秘の存在なのだ。
まだまだ人生の終わりまで追いかけたいものである。
では最後に一番好きなコズミックミュージック、スターウォーズを!

○スターウォーズ

ジョン・ウィリアムス作曲の宇宙活劇スターウォーズのメインテーマ、1977年の作品。
ホルストの惑星にかなり影響を受けたといわれる壮大な管弦楽曲である。



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