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岸田総理 一般討論演説を読み解く前編

アメリカ合衆国ニューヨークを訪問中の岸田総理は、国連総会の一般討論演説に臨んだ。
演説で岸田総理は、ウクライナ侵攻を受け、「現在の世界を反映した安保理が必要だ」と発言した。
一方で日本国内からは内容に対して「内容が薄い」「なにも言っていない」と批判が目立つ。
今回は、私独自の視点で今回の一般討論演説で特に注目した内容を読み解くこととする。

岸田総理の核に対する認識

岸田総理は演説で協調すべき分野として、みずからがライフワークに掲げる核軍縮について触れた。
大きなトピックは2つ
①新たに30億円を拠出し、海外の研究機関に核軍縮を議論する場を設ける
②NPT=核拡散防止条約体制の維持・強化を図り、現実的な取り組みを進める
この2つである。
保守界隈からは「非現実的である」という批判があるが、これは正しいのだろうか。
全文を読むとけしてそうは思わない。

岸田総理はこう述べている。
「核兵器のない世界」に向け、核拡散防止条約(NPT)体制を維持・強化し、現実的・実践的な取り組みを継続・強化していきます。「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取り組みを実行していきます。
この「現実的・実践的な取り組みを継続・強化」というのが注目すべきポイントである。

 実はこの発言と関連しているのが岸田政権がG7広島サミットにおいて取り組んだ核軍縮に関するビジョン「広島ビジョン」である。
広島ビジョンの中には核軍縮を目指していくという記載のほか、「我々の 安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、 侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。」というものがある。
これは現状において核抑止というものは必要であるというかのが、日本政府の解釈であるということを意味している。
岸田総理が推し進める「核軍縮」というのは、核軍縮に強くこだわるだけではなく、周辺の安全保障環境に基づき、当面は「核による」抑止力を強化するというのが正しい認識である。

つまり、今回の岸田総理の核軍縮に関する発言は、けして核抑止のバランスを壊すようなものではないということになる。
確かに今回の一般討論演説だけを読めばそういう解釈にはなるが、広島ビジョンの内容と合わせて考えた時にそれは変わってくる。
政府の公式文書を読み解き、広い視野で考えなければ我々は見当違いの解釈してしまうのだ。

今日はここまで、明日後半を投稿いたします。






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