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16歳。一人、旅に出る。#1

あれから1か月経った。

2022年3月26日。

16歳。地元から1500km以上離れた場所にいた。

一人で。

*****

飛行機から降りて、生ぬるい風が全身を包む。

春のような、いや春でもないのか。

地元はまだ雪が残っていて、温かくなり始めたといってもまだ温度は1桁台というところだった。(これでも道民はあったかい感覚)

荷物が中々手元に届かず、乗る予定だったバスに遅れかけて(なんとかセーフだったけど)体中から冷や汗が止まらなかった。


どこかに行きたかった。

というより、

ふと、このままじゃいけないと本能的に思った。

寮生活をしながら、高校ともまた違う最高にロックな学校(と世間的に言われているらしい)に通うと、正直壊れそうになる。

親元を離れて、15歳で単位に追われる生活をほぼ男子校で送る。また友達も私なんかより変わってるから上手くやっていくだけでへとへとである。

もちろん楽しい。授業もプログラミングやCAD、エンジン分解なんて高校どころかほとんどの人が一生やらないだろう。

楽しいと感じるとともに、何かをすり減らしているような。

長期休みで実家に帰れば反動的に動けなくなり、何にもできなくなる。

このままじゃいけない。


16歳。一人旅の始まりである。


書こうと決めてから1か月経ってしまったのも、新学期の反動でやられてたのが大きい。でも、どうしても。残しておきたい。どこに行っても、何年経っても、きっとこのことが道しるべになるような。そんな気がする。

関西国際空港から梅田まで。

バスの窓から見るもの見るもの

はじめまして、だった。

不思議に思った景色をスマホにメモしていた。というよりツッコんでいた。知らない世界すぎる。なんやねん!とずっと心で叫んでいた。

  • 3月なのに、花が咲いてる。

  • 港いっぱいに船が敷き詰められてる。それでなんかわかんないけど、やたら長い旗立てまくってる。

  • あのコンクリートのきのこみたいなやつはなんだ?(未だわからず)

  • あの木、パイナップル?バナナ?

散々には

  • なにわナンバー

  • 観覧車

  • 橋でかい

  • ビル高い

とまで書いていた。

周りの平然としている人たちを見て、これが普通なのだとわかって恥ずかしくなった。それでもどうしようもないから、メモをとった。

周りに絶対にバレないように。こっそり。
周りは君に全く興味ないよ、と言ってやりたい。なんやねん、私。

その中でも一つの景色がずっと心に張り付いている。


空が狭かった。

道路沿いにある大きな銀色の工場たちは白い煙を吹いていて。
ずっと空が狭かった。

こんなのはプペルだけだと思っていた。

絵本の話だと思っていた、本当に。

なんだか少し悲しくなって。

でも、この工場が日本を支えているのは確かで。

それを高専で勉強しているのが私で。

ただ、私だけが知らなかった。

すごいなぁと思うと同時に、
もっと空が広げられたらなぁと思った。


梅田について、迷子になりながらも、なんとかうどんを食べた。

なるべく背筋を伸ばして歩いた。
いや、私。別に田舎から来てませんけど、と。

ここには一生住めないと思った。


バスを乗り継いで、目的地に到着したのは21時半頃だっただろうか。

京都府京丹後市。

バスを降りれば
「待ってたよ!」と朱珠さんが迎えに来てくださった。

はじめまして、だった。

出逢いは一冊の本と、このサイト、noteだった。

中3だった私がnoteを始めて2日で書いた記事に朱珠さんがコメントをしてくれたのが、始まりの始まりなのである。

今は読むのも恥ずかしいくらいのこのnoteだが、当時の私は本当に嬉しくて。大人が私を見てくれてる!私書いてもいいんだ!と舞い上がっていた。

それからSNSを通じて連絡を取るようになり、朱珠さんが勤めている『roots』のイベントに何度も誘っていただいて……という書くことで出逢った私にとって特別な人。


今回の旅では朱珠さんのお家である”益実荘”に宿泊させていただいた。

「疲れたでしょ?」なんて話しながら益実荘に向かった。
瓦屋根に細い道。初めてみる日本(らしい)の景色に感動した。

玄関にはたくさんの靴が並んであった。

「ようこそ!待ってたよ!」と大人に出迎えてもらった。

あれ?はじめまして……だよね。そうだよね。と不思議な感覚になって、オシャレなお家とステキな人たちでフワフワしていた。

はじめまして、だった。

2回目の夜ご飯を食べながら、自己紹介を聞いた。ずっと笑いが絶えなくて、少し羨ましくなった。普段友達とも会話を合わせるのでも必死な私とは真逆だった。(アニメやマンガの話に全くついていけない)

仕事も年齢も違って、それでも一緒に夜ごはんを囲みながらおしゃべりする。家族や友達以外とご飯を食べたことがない私には見慣れない景色で、ホテルに泊まればずっとわからなかったことだと思う。

関西のイントネーションでアップテンポな会話が弾むように続いて行く。

人見知りを発動していた私も少しずつ話せるようになって、自然と疲れも飛んでいって笑顔になれた気がした。

おなかも心もいっぱいで、楽しくて、幸せな時間だった。

そのあとお風呂をいただいて、布団でぐっすり眠った。夜中に一回も目覚めることはなかった。



1日目だけでこんなにも書けてしまうぐらい、濃かったなぁ。

書きながらあの時の感情を思い出して、戻りたくなった。

まだまだ書くことはたくさん残っているので

というより書くことありすぎるので

続きは次に書きます。

KaiTO


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