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答辞

冬の寒さも和らぎ、新たな日々を予感させる春風が吹くこのよき日に、私たち 3 年生は卒業の日を迎えました。先ほどは校長先生をはじめ、御来賓の皆様、在校生代表からの励ましの言葉をいただきましたこと卒業生を代表して心より御礼申し上げます。

3年前、マスク越しで友達の顔すら見えない生活からスタートし、やりたいことがあっても「不要不急」の4文字で済まされてしまう。そんな暗闇の中何に向かって進めば良いのか、ただその闇が開けるのを待つだけでした。
「どうして?」「なんで私たちの代なの?」もちろん言ったところで何かが変わるわけではないので誰も口にすることはありませんでした。しかし、心の中では「やり場のない悔しさ」と「どうしようもなさ」が絶えず交差していました。

2年生秋の修学旅行。成国の特色でもあった台湾への修学旅行は叶わず。それでも、多くの人が中学校で修学旅行に行けなかった私たちにとっては、心躍る行事でした。関西方面の修学旅行に変わりましたが、「僕たちが知ってる世界はどれくらい?」というコンセプトのもと、未知のものに出会い、世界がいかに広大なものかを実感することができました。新幹線で鼻血を出したり、鹿に追いかけられたり、テーブルマナーに戸惑ったり。十人十色の思い出はいつになってもそれぞれの記憶に残ることでしょう。

3年生に入り、だんだんとコロナと共存していく生活に変化し始め、ようやく光が差したように感じました。 4 年ぶりのほぼ制約のない生活、マスク生活からの解放、暗闇の生活からようやく解放されました。
6 月にはアメリカの JFK 高校からの留学生を受け入れ。文化の違いに戸惑いながらも、充実した 1 週間になりました。
最後の文化祭。食品販売も復活、OPED も復活、一般公開も部分的に復活。コロナ前とまではいきませんが、コロナ禍でできる最大限の文化祭になりました。
最後の体育祭。強風に負けず砂まみれになりながらもたったひとつのトロフィーを目指す姿、終わった後の黒く汚れたやり切った顔は戦いの激しさを物語っていました。

コロナ世代は可哀想という言葉をよく耳にしますが、私はそう思っていません。コロナ世代だったからこそ経験できたこと、何よりごく普通の生活というものがいかに貴重なものかを深く実感することができた期間でした。

もう一つ高校生活で学べたこと、それは自由の意味についてです。比較的自由な校風と言われている成国。実際のところ本当に自由だったのでしょうか?人間は誰ひとりとして同じような人はいないのに、どうして同じ教室で机を並べ同じ教科書を開かなくてはならないのだろうか。どうして全員同じ制服を着なければならないのだろうか。どうして髪の毛を染めてはいけないのだろうか。高校生らしいとはどういう意味なのだろうか。たくさんのことを考え、その本当の意味に私たちは気づけたのだと思います。
オスカーワイルド氏が残した“Be yourself; Everyone else is already taken. という、自分らしく個性を出すことが重要と謳った言葉。デジタル化の波が押し寄せ0か1で定義される世界になる一方、その間にも無限に数は存在します。0,1だけに囚われず自分の個性を大切にし無限の可能性をこれからも追求していくことが大切だと思います。

また、若者の政治参加が叫ばれる中でも20代の投票率は低下の一途を辿っています。私たちの未来を形作る政策や社会の方向性に関わる投票は、私たちの責任です。全ての人、そして未来の成国生の自由のためにも、私たちが積極的に参加し、声を上げることが必要です。小さな声でもそれが集まることによって、未来を切り開く一歩となることを信じています。

一年後に卒業していく二年生の皆さん、卒業なんてまだまだ先のことだと思っている一年生の皆さん。
三年間はあっという間です。きっと皆さんも卒業する頃にはそう感じると思います。友達と過ごす何気ない時間も大切にし、一日一日を過ごしていただきたいのです。その中で皆さんは様々な困難にぶつかることと思います。楽しくするのも自分、辛くするのも自分。成国には「楽しくなければ成国じゃない」という素晴らしい言葉があります。一人一人が楽しめば自然と学校自体が楽しくなると思います。悔いの残らないように勉強や部活動、行事などに取り組んでください。

先生方。
3 年間、優しく時には厳しくご指導下さり、本日卒業を迎えることが出来ました。先生方の言葉ひとつひとつが今後の人生の道しるべになると思っています。いつか再会した時には、今よりももっと成長した姿を見せられるように頑張りたいと思っています。
また事務員の方々や清掃員の方々、その他多くの方々のサポートを頂いたおかげで、私たちは安心して快適に学校生活を送ることができました。ありがとうございました。

家族
18 年間私たちを育ててくださりありがとうございました。たくさんの迷惑をかけましたが、家族の存在は無くてはならないものだったと強く感じています。これからもよろしくお願いいたします。

そして47期のみんな
かけがえのない日々の大半は何気ない日常、その何気ない日々を生きて迎えられることは当たり前じゃない。これはとある先生からの言葉です。3 年間という短い期間をこの 307人と過ごせたことが奇跡だと思っています。一緒に成国で学んだ日々、時には馬鹿みたいに笑い、時にはサンタクロースやなまはげ、平安貴族が登場したり、時にはぶつかり、その全てが大切な思い出です。

この先様々な試練が待ち受けていると思いますが、今までの努力を胸に、「なりたい自分」に向かって一歩ずつ進んでいってください。日本一の兵と称された真田幸村公が残した「夢を掴んだやつより、夢を追っている奴の方が、時に力を発揮する」という言葉。毎日のコツコツとした努力が、いざという時に強い味方になってくれます。
自分の船にエンジンを付け、航路計画を立て、大海原に旅立とうとしているところです。この先いくつもの困難にあたり航路を見失ってしまうこともあるかもしれませんが、この成田国際高校での思い出を胸に刻み、再び舵を進められることを願っています。

最後になりましたが、成田国際高等学校の益々の発展と本日ご臨席を賜りました全ての方々のご健康をお祈り致しまして卒業生代表の答辞とさせていただきます。

令和六年三月六日
47期卒業生代表 大保海翔


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