見出し画像

医師向けの本から学ぶスキンケア

前回、『塗り薬って1回の量とか分かりにくくないですか』という話から、医師向けの本『この皮膚疾患にこの処方』を紹介させて頂きました。

今回は、その際に参考にした本から、①スキンケア、②日焼け止め、③皮膚の健康を保つ生活習慣、の3つについて紹介したいと思います。

・スキンケア:スキンケアの4つの要点は?

まず、皮膚科の中ではスキンケアとして、以下の4原則が言われています。
①洗浄、②保湿、③水分制御、④被覆

それぞれ見ていきたいと思います。

①洗浄:皮膚の汚れを落とす。

皮膚表面の酸性度はpH4〜6で中性が7のため酸性側に偏っています。一方、石鹸はpH9〜11でアルカリ性。そのため、石鹸で体を洗うと、皮膚表面がアルカリ性に偏りますが、健康な皮膚の場合は、すぐに元に戻ります。

しかし、アトピーなどで皮膚のバリアが低下している場合すぐに戻らず、乾燥してしまう。
そのため、弱酸性の石鹸などを使うのが良いとされています。
洗い方としては、あまりゴシゴシせず、手で洗うのでも良いとされています。

②保湿:皮膚の水分量を維持する。

保湿剤の塗り方については、前回の記事で紹介した通り、1FTU(フィンガー・チップ・ユニット)という、「人差し指の先端から第一関節までの量で両手のひら分の面積を塗る」というものがありますので、参考にしてください。

この量で手のひら2枚分

続いて保湿剤の選び方です。

【保湿剤の選び方】
・形状別
1.乳液・ローションタイプ
→使いやすく、乾燥が軽度のときに良く用いられる。
2.クリーム・軟膏タイプ
→保湿効果は高いが、ベタつく。夜寝る前に使うと良い。
3.泡状タイプ
→伸びが良く、広範囲に塗れる。小さな子供にも使いやすい。

・成分別
1.ヘパリン類縁物
→保湿効果、血行促進効果あり。まれに、火照りや赤みが出る。
2.尿素
→角質溶解、保湿効果あり。踵など角質化してカサカサしている場所に塗ると良い。目元など皮膚の薄い部分には塗らないこと。
3.ワセリン
→油分による保湿で汗で流されにくい。刺激は少ないが、ベタつき感は強い。若干熱がこもる感じがある。

③水分制御:皮膚の水分量を適切な状態にする。

スキンケアにおいては、適切な水分量の維持が大切。つまり、ただ保湿をし続ければ良いものではないとされています。

絆創膏などを付けたままお風呂に入ったりすると、絆創膏を付けた皮膚が、ふやけて白色に見える状態があるかと思いますが、これを浸軟と言います。こうなると皮膚のバリア機能の低下してしまうので、吸水性軟膏で水分を抜く必要が出たりすることもある。


④ 被覆:紫外線など外部の傷害から皮膚を保護する。

→こちらは次の日焼け止めの項で紹介します。

・日焼け止め:私たちは記載されているSPFの半分しか使えていないらしい。

まず、基礎知識として、日焼け止め(参考文献の中では『サンスクリーン剤』)の指標には2つあります。

①SPF(Sun Protection  Factor):紫外線(UVB)をどれだけカットできるかを示した指標。紅斑の誘起を抑制することで、皮膚の炎症を抑えます。日本では50が最大。50以上は50+と表記されています。

なぜ、50以上は『50+』となっているのか?

一時期、SPFが流行った際に、高ければ高い方が良いという風評被害が発生。無理矢理高くするため、安全性を下げたり、価格を上げたりする事象が見られ、『業界内の自主規制として50以上の数値表記はしない』となりました。

②PA(Protection grade of UVA):紫外線(UVA)をどれだけカットできるかを示した指標。メラニンの酸化による即時黒化反応を抑制する。日本では+、++、+++、++++の4段階があります。

日焼け止めは、SPFは15〜30、PAは++〜+++で十分とされています。

一方で、日焼け止めは実際の半分しか塗られていないと言われています。

これは、製品に記載されているSPFを得ようと思ったら、通常塗っている量の2倍塗る必要があるというもの。

単純に塗る量が少ない、手のひらで塗ると、手のひらに40%程度残ってしまうのが原因です。

対策としては、初めからSPFが30以上のものを選ぶ、手のひらではなく手の甲で塗る(M式サンスクリーン塗布法)というのがあり、気になる方は試してみてください。

・生活習慣:乾燥肌の人が使ってはいけない入浴剤は?

  1. 保湿用入浴剤
    効果はあるが個人差が大きい。なので、色々試す必要がある。一方で注意が必要なのが、イオウ成分の入浴剤は角質軟化作用とともに皮膚を乾燥させる作用があるので、乾燥肌の人は避けた方が良い

  2. 保湿薬入り洗浄剤
    昔は乾燥肌傾向にある人には石鹸や洗浄剤は皮膚のバリア機能を破壊し、水分を喪失させてしまうため、石鹸を使って頻繁に洗うことは推奨されていなかった。

    しかし、近年、保湿効果を要した洗浄剤が出ており、こちらは一定の効果が認められている
    洗浄剤による保湿効果には限界があるため、風呂上がりの保湿薬は必須。

  3. 入浴方法
    温度は39〜40℃が理想。42℃以上だと皮膚の痒みセンサーが働く。シャワーも同じ。

  4. その他
    ・寝室
    湿度は50〜60%を目標にする。加湿器があれば積極的に利用する。
    寝ている間の乾燥対策としては、枕元におしぼりや濡れタオルを置くのも良い。
    ・衣類
    皮膚の接触が多い肌着は綿か絹の素材が良い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?