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誰がために・・・

友人のMさんが可愛がっていたウサギの絵、大分進みました。
まだまだ毛並みの描き込みが不十分なので、もっと塗り重ねて行きます。
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描いてる間、不思議な感覚が湧きあがります。
ハッピーちゃん(ウサギの名前)と対話しているような感じなのです。
私は、生前のハッピーちゃんを知りません。亡くなった後に、Mさんとの交流が始まったので。
なので、写真を数枚頂いて、それを基に描いているのですが、
なんと言うか・・・絵の中のハッピーちゃんが、私の制作をサポートしてくれているんじゃないかって思えます。
これはある意味「チャネリング」なのかな。
そのせいかどうか、ここ最近の制作では一番楽しく進める事が出来ています。

そう言えば、ふと、思い出すのは、
2009年に旅立った、愛犬シータの事。
亡くなる1年前に加とさんの為に描いた絵が、思った通りに仕上がりました。
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余計な事を考えず、シータの事だけを想って描きました。
シータは翌年、虹の橋を渡って行きました。
加とさんは今もこの絵を大事にしまっていて、私にことある毎に
「動物の絵、凄いよ!動物の絵、だけはねw」と言います(笑)
(人形とか花の絵はさほど感動しないと言われちまったぜ!w)

私自身は動物の絵を描く事に特別の思い入れもなく、失敗作もあるし、気に入らない作品も割と多いのですが、他の人の感じる事と私自身の思いには、多少の隔たりもあるようです。
自分を一番解ってないのは、案外と自分自身だったりしますよね。

でも。
ハッピーちゃんの絵を描いているうちに、何となくですが解り始めた事があります。

それは、
誰かの為に絵を描く事の大切さ。

NHKで、毎朝8時に放映している朝ドラ「スカーレット」(2019年10月~3月)で、主人公の陶芸家・川原喜美子と交流を持つ、元女優のセレブな奥様、小池アンリ女史が、喜美子に言った言葉が心に沁みました。

アンリ女史に、一緒にパリに行こうと誘われた喜美子は、
「自分の人生を豊かにするより、誰かの人生を豊かにしてあげたい」と言い、パリを旅するよりも工房で新しい作品づくりをしたいと告げてパリ行きを断ります。
それに対し、アンリ女史は「芸術以外で人の人生を豊かにするもの」は何かと喜美子に問い、その答えは、
「人を想うことや。(中略)誰かの人生を想うことで、自分の人生も豊かになるんや」でした。

この、2人のやり取りが刺さりました。
そうか。
自分の為じゃなく、誰かの為に作品づくりをする事で、自分も笑顔になるんだな。
これまで描いてきた動物画のうち、友人知人の大切な家族である犬や猫達を描くと、予想外にイイカンジに仕上がる事が多かったのです。
一般的な動物の資料を基に描いた絵より、思った通りに仕上がる確率が高いのです。

誰かの為に、描く。
これは大事な事だったのだな。
今更気づきました。

私は長い事、
自分が絵を描く事に否定的な思いがあるのに、自分自身で気づいていませんでした。
幼い頃から、親の目を盗んで絵を描いて来ました。
勉強せずに絵ばっかり描いていたのですから、親に叱られるのは日常茶飯事、勉強しなきゃ、と解っていながらコソコソ描いていくうちに、
積み重なるのは、罪悪感。

高校3年の時、美術系の学校に進学したいと親に話した時に言われた言葉は、
絵なんか描いて、それが収入になるのか。有名になって絵だけで食っていけるのは一握り。金が取れない絵など描いて何になるのか

某企業の経理課長だった父の言葉は、夢と希望で膨らんだ心を容赦なくしぼませ、現実という名の、18の小娘には到底超えられない高さの壁を築き、私はそこから出られぬまま、オトナになってしまった。

今になって思えば、父の言葉は娘の将来を心配していたからと理解出来るけど、当時は解ってもらえない悲しみと苛立ちで泣き、散々言い争い、結局、父が容認した造園デザインの学校に進学しました。

それでも、絵を描こうと思う気持ちはずっとあって、細々と独学で描き続け、恵比寿のアトリエに月2~3日通い始め、そこでパステル画と出会い、公募展に出品したりするうちに、色鉛筆画も描き始め、やがて教える側に立つ事になりました。

一方で、心の片隅には、子供の頃に積み重ねてしまった「罪悪感」が残っていて、それに気づかないまま、この年まで放置してしまいました。

子供の頃に培った思い込みって、なかなか消せないもんですな。
いつもどこかで「こんなの描ける人はいくらでもいるわ」とか思ってる。
私の絵は、私にしか描けないってのに←それは万人共通よ。

誰かの為になら、罪悪感なんて抱かずに描けるかも。
お互い、幸せな思いが抱けるはず。
「スカーレット」が教えてくれました。

9年前の3月に20歳で旅立った、マシュマロ。
かつてアトリエで共に絵を描いていたお仲間・Uさんの愛猫です。
この時も、飼い主Uさんとマシュマロを想いながら描きました。
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誰かの人生を想う事で、自分の人生も豊かになる。

名言です。これをワタシの絵描きライフに喩えるなら、

誰かを想って描く事で、自分の絵描きライフも豊かになる。

ハッピーちゃんの絵は、もう数枚描いてみようと思っています。

Mさんの為に、
ハッピーちゃんを想って描いているけれど、
それは結果的に、自分の為になって行くであろうから。

誰がために。これからも。

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