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【コンテンツ制作Q&A4】人物や絵画が背景に写り込んだ写真を発表してもいい?

街の写真を様々な場面で使うことがあります。渋谷のスクランブル交差点を撮影しましたが、たくさんの人が写り込んでしまっていますし、よくよく見ると背景にもいろいろなデザインや写真が写り込んでいます。こうした写真は使ってもよいのでしょうか。

法の解釈を含む説明

写り込む人々、それぞれがひとりの人ですから、それぞれの人の肖像権、プライバシー権が問題になります。もしかすると見られたくないようなデートのシーンが写っていたり、見られたくないような服装をしているところが写っていたりするかもしれません。丁寧に対応するのであれば、これらすべての人々に連絡を取って……ということも考えられます。

実際、個人が特定できるような写り方をした写真については、プライバシー権、肖像権の問題がまさに顕在化してしまうので、使用することは控えたほうがよいというのが最近の趨すう勢せいではあります。

また、背景に絵画など様々な著作物が写り込むこともあります。こちらへの写り込みに関しては、著作権法上でも定められることとなりました。

第三十条の二
写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たって、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となる場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達物において当該付随対象著作物が果たす役割その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴って、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

この内容、漢字が多くて長く読みにくいのですが、「分離困難」「付随して構成要素となるもの」「軽微な構成部分」となる他人の著作物は使用してもOKということです。
いずれにせよ、写真に偶然写り込んだ他人の要素というものは、著作権法上は、権利侵害の対象外として取り扱う傾向にあります。

注意すべきポイント

著作権には反しないので、権利侵害ではないと取り扱うことも多いのですが、ふとしたところから足をすくわれたり、突然差し止めを求められたりというカテゴリに属する写真でもあります。

許諾等のコントロールできていない多数の人が写る写真を表紙、中吊り等、多くの人が目に触れるようなところに使用する際には気をつけてくださいね。

Answer

OK!
著作権法的には写り込みはそんなに気にしなくていいけど、プライバシー権や肖像権には配慮をしよう

▼出典
『駆け出しクリエイターのための著作権Q&A』
(川上大雅・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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