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『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』(高橋祥子 著)を読んで

1.本書を選んだ理由

この本を読もうとした主な理由は以下の2点です。

・健康や睡眠など、生活をするための不可欠な要素について、生命科学的な視点から本質に迫る必要性を感じていたから。

・新型コロナウイルス感染症により、改めて生命科学的な視点が求められていると感じていたから。

1点目については、健康、睡眠、ストレス、集中力など、私たちが生活するうえで欠かせない、より良く生活するために重要な分野の研究が進み、関連する多くの本が出版されています。

多くの本に共通している内容は、「私たち人間は、狩猟民族だった頃の生物学的な特徴が今も色濃く残っていながら、現代の私たちの取り巻く環境の大きな変化に、体が適用できていない」ということです。

健康、睡眠といった個別の事象から、一段視野を高くして、人間を生物科学的な視点から本質に迫る、その必要性を改めて確認したいということです。

2点目については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、改めて生物学の基本を押さえておく必要があると感じたことです。

「ウイルス」というものがどういうもので、人体にどのような影響を与えるのか、どのようなメカニズムで感染が拡大するのか、ということを理解していなかった私は、毎日目にする新たな情報を適切に消化できなかったと感じていました。

そこで、改めて生物学の基本を理解することで情報の本質を捉えることが出来ると考えました。

2.【要約】生命の原則と社会

まず理解すべきは、生物には

「個体として生き残り、種が繁栄するために行動する」

という共通の原則があるということでしょう。

その一方で、生命の仕組みは完璧ではないと筆者は言います。その理由は

「外界の変化に適応するため、不安定の担保に命をかけているから」。

つまり、環境の変化に適応するためには、種の中でもあえて様々な特徴をもった個体が存在することで、種として生き残っていく。

個体としてのベストではなく、種としてのベストを選択しているということも生命の原則でしょう。

そしてその原則は社会において多く適用されています。

3.【要約】生命の原則に則りどう生きるべきか

では、

「個体として生き残り、種が繁栄するために行動する」

という、この生命の本質から、人は何もなすすべはないのでしょうか。

筆者は、そこに希望を与えてくれています。

「生命原則を知った上でそれに抗うことができる」

その方法は、「時間的な軸の拡張」「空間的な軸の拡張」です。生命原則を踏まえて、物事を多面的にとらえる、そんな主体性を持つことが人間にはできます。

時間や体力などの有限なエネルギーをどこに投下するか、主体的に問い直すことで人間はよりよく生きれるものだと改めて考えさせられました。

本書のタイトルにもある「生命科学的思考」のベースを押さえて、「さらに生命科学の分野を深く知りたい」との思いを確かにするきっかけを与えてくれました。そんな本に出合えたことに感謝です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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