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Huuuuのスタイル宣言2023秋 - 「インボイス対応」「脱編プロ」「新卒採用」

41歳にもなると「フゥゥ〜〜〜!」みたいなアゲの気持ちは一切なくなり、地に足ついた感性を求めた結果の凪がある。だが、これは個人の話。株式会社Huuuuの話になったら別だ。

柳のようにいかなる強風にも耐えるべく、柔らかくもしなやかな筋力が求められている。いわゆる「会社ってこうだから」の言葉を何度も飲み込んで、「おれたちはこうだから」に置き換える作業がとてつもなく多い。経済活動としてのビジネス勘は、マジョリティの作法と流れをぎゅっと睨みつつ、少し引いた場所でマイノリティの闘い方を試行錯誤する。

2023年10月、なんとか会社設立以来、7期目も黒字決算に落ち着いた。税理士さんに「これは誇っていいことですよ!」と言われたものの、毎年油断したら死ぬと思っている。心配すな、でも安心すな。SHINGO☆西成から勝手に受け継いだ座右の銘が、会社のハンドリングを確かなものにしてくれている気がしてならない。

7年間ずっとリモート前提のチームで、非効率な全国取材行脚をやってきた。これが武器であり、これが生き甲斐でもある。ただ、黒字決済といっても年々利益率が落ちている。ギリギリのギリ。

社員の給料UPや増え続ける外注費、投資的なトントンビジネスポンポンポーンの新規事業も経験値は貯まっても、「よっしゃ儲かった!」には程遠い。難儀な道だけが目の前に広がっていて、どのルートを辿ってもカニの横歩きになるのは宿命といっていい。インフルエンサーみたいなゴールドラッシュは存在しない。おもろい価値を掘り出す炭鉱夫の気分だ。

ここであえてHuuuuの今後の方針を宣言しておきたい。5割は自分のため。3割は社員のため。残り2割は見知らぬ誰かのため。

背水しすぎない陣!

宣言① インボイスの登録確認はしない


10月1日からインボイス制度がスタートした。一体誰が得するのか。時代が時代なら複雑怪奇で難儀な「年貢持ってこい!」だと認識している。国家の在り方がいかに税金を徴収するかのロジックでまわっているのは、いつの時代も変わらない。税金こそすべて。コロナでバラまきすぎた代償は、国民から搾り取ることで帳尻を合わせるのだろう。

フリーランスの悲痛の叫びはSNSを見れば明らか。Huuuuみたいな中小企業もダメージは計り知れない。それでも、だ。編集業はライター、カメラマン、イラストレーターなどなど、フリーランスの存在あってこそギリギリのビジネスが成り立つ。自分たちだけが少しでも負担を減らそうとしてもまったく意味がない。

だから、我々はインボイス登録の確認対応はしないことに決めた。今年2月の時点で、とあるイベント登壇時に宣言したからだ。会社としての負担額が数十万円、百万円以上になるかもしれない。それで会社が続かなければ基本それまで。かっこつけの矜持は宣言と実行の持続にある。

「絶対、そっちのほうがええやん」と本能的に思えるなら、迷わずそっちを選ぶ。考えすぎても動けないことが人生にはあまりにも多いからこそ、最初から決めてしまって、その上で最善な方法を選べたらいいなと常日頃思っている。

唯一できること。それはこの宣言と共に普段取引しているクライアント、そしてこれから仕事をするであろうクライアントに、ダメ元で消費税分である10%UPの見積もり交渉をすることだ。

クライアントも我々みたいな法人格で責任を負う事業者が必要不可欠であり、そこから派生するフリーランスの方々との信頼をもって、はじめてプロジェクトは進むもの。勘違いしてはいけないのが、誰が偉いとかではなく、役割の違いでしかない。経済の商流は川上から川下に流れていくが、Huuuuは遡上する存在でありたいと思っている。

そもそも全国行脚の取材経費は物価向上、エネルギー費など含めて負担が増えている。実費精算ではなく、全体の売上から工夫してなんとかしてねスタイルを選ぶ我々にとっては「おやおや?経費高いな?」となっていて当然だ。あらゆるものを見直すタイミングになっていると切実に思う。

野良の編集会社がどれだけ貴重なのか。自腹を切った編集者の育成は決して楽ではないし、時間がかかるものの、自分を育ててもらった恩返しとして5人ぐらいは育てたら会社をやってる意味があるというもの。

友光だんご、日向コイケ……この二人はもう軌道に乗ったと思う。あと3人。Huuuuに出資してくれたら、全国行脚できるローカル編集者の育成ができるんじゃないかと考えることも多い。そんな未来がいつ訪れるかわからないけれど、まずは目の前の仕事に向き合う。信頼を積み上げなければ、提言は届かない。あっという間に崩れるのが信頼の性質でもある。このあたりわかっていない人間が多いので、令和の「コラー!!」とも言える人間関係を作っていかなければならない。

宣言② 編集プロダクションからの脱却

編集プロダクション(へんしゅうプロダクション)は、出版社や広告代理店などから書籍、雑誌等の編集実務を委託されるマスコミ関連企業。編プロと略称される。 

wikipediaより

一般的な認識は上記の通りである。Huuuuが編プロだと言いはったことはないが、ほかに言葉が見当たらないのもまた事実。すでに企画や枠組みが決まっている状態で、その一部のコンテンツを請負で制作する。もしくは雑誌含めた書籍をまるっと代理で編集する。こんな意味合いなんじゃないだろうか。

しかし、Huuuuの仕事は最初の企画段階から関わることがほとんどだ。クライアントの課題をヒアリングして、なにをしていいかわからない状況に企画の槍をぶっ刺す。ズドーン。その得体のしれない納得感が仕事を生み出すエネルギーにつながる。本来、広告代理店が行う規模の役割を担うことも増えているし、その上で誰かに代理させない現場主義の実行者でもある。

全国のプレイヤーたちと連携しながら、類まれな才能と能力をライブ感覚でプロジェクトに落とし込む。例えば、クラウド会計サービス『freee』と一緒にやった『円宴縁日(えんえんえんにち) in NAGANO』。

確定申告を大自然の環境に集まって、終わった人間からサウナに入って心を解放させよう!というシンプルな企画だ。

・イベント会場の手配
・フリーランス参加者の呼びかけ
・当日のプログラム作成
・スペシャルゲストの手配対応
・トークイベントの企画、ゲスト対応、司会作業まで
・イベント全体のムービー制作とディレクション
・開催に至るまでのSNS告知・発信(note含む)
・参加ゲストのインタビュー記事制作

これを全部、Huuuuで担当した。詰め込みすぎ。もし大きな制作会社や広告代理店を経由すれば予算は何倍にもなっただろう。たぶん。

なぜできるのか? 自分たちを安売りしているとは思っていなくて、これまで遊びの延長でお金をもらわずにやってきたことだから。何度もやっている経験値があるから「できる」と踏んだだけ。結果、クライアントも参加者も大満足。

会社初期はオウンドメディアの立ち上げと企画編集・運用が大半だったが、気づけばHuuuuの編集はどんどん広がっている。

社会変化に伴った役割の拡張は、人的リソースをとにかく使う。対応するためには雇用が必要になってくるし、社員のお給金も払わないといけないし、福利厚生の保険はどんどん増していくし、前述のインボイス対応もあるし、とにかくもっと稼がないといけないんじゃ〜〜!!

だから、見積もりをどんどんあげていく。受託の編プロ価格を脱して、「この金額でお願いします」を自信満々に提案していかなければならない。みなさん、よろしくおねがいします!

宣言③ 新卒採用に合わせて長野市に集約

ついにやっちゃうか。新卒採用。せっかく会社やっててまだチャレンジしていないのが、何の思想にも型にも染まっていない若者をイチから育てていくやつ。

10月中に詳細をまとめたnoteをリリースしようと思っているけれど、ざっくりいうと「2024年4月勤務スタート」「長野市採用」「リモートワークなし」「広義の編集業務」あたり。

もうリモート前提のテキストコミュニケーションやZOOM打ち合わせに飽き飽きしていて。最低でも週3回は同じ場所に集まって、リモート業務からこぼれおちる雑談や心の機微、偶発的なランチや飲み会での対話を主体とした世界に少しでも戻したい。

そのためにこれまで東京チームと長野チームに切り分けていたHuuuuの業務機能も長野市に集約する。すでにこの動きは始まっているものの、来年4月をひとつの区切りにしたいと本気で考えている。これも決めの問題で。どう考えても複雑で手間のかかる編集仕事は、対面コミュニケーションの機会が必要だし、遠隔で気づいたら進んでいるようなプロセスの見えない仕事は横の連携が取れなくなってしまう。

個人芸で仕事を完遂するのもまたすばらしいけれど、周囲に良くも悪くも影響を与えながら、会社としての運動体みたいなものを作らなければ文化は育たない。文化がなければ、つまらない会社に成り果ててしまうし、ただでさえ「経営めんどくせえええ」と思っている自分には耐えられないだろう。

7年間一度も毎日顔を合わせる仕事をしていないHuuuuだからこその逆行にチャレンジしたい。新卒採用はばらばらに向かってしまう個々の意識をひとつに束ねる装置なんじゃないか? やってみなけりゃわからんが……それでもダメならもうおしまいで構わない。10期目終わったら一旦解散する宣言を過去しているのに、「新卒採用ってどういうこと?」となる可能性もあるが、人生にも会社にも〆切が必要。一度立ち止まって3年後に各々が自由な選択肢を取れるような未来が、個々の可能性を広げるものだと信じている。


以上が、2023年秋の衝動的な宣言です。会社のスタイルはいまなにをやっているかよりも、これからなにをしたいのか?に滲み出てくるんじゃないかと思っています。

8年ぶりの会社HPリニューアルも進めているので、これからPodcastでも新たな動きがある。雑誌制作の体制づくりも準備しているし、シンカイのその後も考えたいし、飯綱町にチームで大きな倉庫借りるし、相変わらずの思い立った衝動を一個ずつ形にしていきたい。そのためには新しい仲間が必要。こんな会社を面白がってくれるクライアントはもっと必要です。

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1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!