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アオリイカと白イチジクのフィットチーネペペロンチーノを作ってみた

金沢なので、たぶん寿司を日本平均の5倍くらい食べてるけど
自分で寿司は作らない

刺し身も同じで、どうせプロの味に敵わない

なので、前回のスズキも
刺し身にできそうな個体だったけど、イタリアンになった

初めてのアオリイカも
イタリアンに決まってる

イカスミパスタにする!
(釣り場で、だいぶスミを吐いちゃったけど……)

レギュレーションは前回と同じく
調味料以外、自分で作ったもの以外を使用不可

調味料として使うのは

  • アルドイノという銘柄のオリーブオイル

  • トリュフ塩

  • 岩塩

それ以外を、庭から穫ってくる

オレンジパプリカ(多収性)

市販のパプリカは大きすぎて
毎日少しずつ使う用途に向いてない

それ用に品種改良された株があるらしく
2色を植えておいた

肥料は、鶏小屋のウンコを定期的にまくだけ

雑草も抜かずに放置したほうが、作物が焦って美味くなる
という豆銑礼理論に従ってる(単にメンドイだけ)

レッドパプリカ(多収性)

どの色のパプリカも、まず緑色で始まって
熟れると変色する

害虫はカメムシのみで
葉は食われるけど、実には群がらないみたい

殺虫剤はメンドイので使ってなくて
ニワトリに食わせてるけど
パクチー味の卵にはならなかった

ちなみに、ピーマン系の葉は可食らしいので
日本に飢餓が来たら食べてもイイかも

バジル(花芽が出にくい品種)

バジルは毎年、摘心して倍、倍、倍、……に増やすことで
無限バジル化させてる

種からも可能だけど、北陸の気候では
ダブルアップの開始が遅れてしまうので
スイートバジルの苗を1株買ってくるほうが簡単

これはスイートバジルでなく、品種改良されたもので
花芽がほぼ作られないので、さらに無限

害虫はショウリョウバッタのみで
不織布でこんもり覆っとくと、ノーダメージで行ける

野菜たち

イカの白と合わせて
イタリア国旗になるように選んだ

黄色がいらない……?

サロ共和国なんだよ!

オリーブの塩漬け(1年もの)

小豆島でオリーブ園を見て
パクりたくなったので、金沢なのにオリーブをたくさん植えてる

雪でも平気な耐寒性
かつ水やり不要で、この植物は強すぎる……

ミッションには低い確率だけど自家結実性があり
樹が大きければ、数粒はできる

生で食べたら、ほぼ渋柿だった

オリーブの実はオリーブオイルに漬けるのかと誤解してたけど
水に漬けるらしい

水が腐ったらやなので、これは塩に漬けたもの

変色した塩も
藻塩のように、にが美味い

トリュフ塩と白イチジク(コナドリア)

トリュフ塩は頂き物

ミーハーだけど、世界三大珍味はどれもフツーに美味しく感じる

トリュフは、干し椎茸レベル255って感じで
匂いでなく味に特化した感じが、松茸とは違うベクトル

コナドリアは、富山県で奨励されてるらしく
小さい苗を1つ頂いたら、2年で樹高3mになった

この植物も強すぎる……

1年で何回も結実するっぽくて
おなかが減ってイチジクに来ると、たいてい1つはなってるので食べる
(聖書かよ)

フィットチーネ(乾麺)

スパゲッティには個人的なこだわりがあって
パスタと呼ばないし、生麺をあまり美味しいと感じない

特に、鎌倉パスタは
量が多いのに味が単調で、味変できずトラウマになった

家系や二郎系のように
スパゲッティも麺が太いほうが、小麦の美味みが分かりやすい

ただ、太いストレート麺は
のびた時に、食感が安いソフト麺化するリスクがあるので

フィットチーネやペンネを使い
茹で汁スープをあまり残さない、カラッとしたスパゲッティにして
熱々のうちにガツガツ食べてもらうのが好き

主役

アオリイカ(石川県産)

で釣ってきたもの

性別不明
(2本の長い触手が生殖器らしいけど、見ても良く分からなかった)

ちなみに、このスパゲッティは夕食として調理開始し
それまではスプラトゥーン3のXマッチを遊んでた

分割統治法(金田一のいう「困難の分割」)

アオリイカ専用の調理方法は調べてない

スルメイカは、何十パイかバラしたので
同じで行けるだろ……常考……ってノリで解体する

まず、夏油傑のようにパカッ

……したかったのだけど、スルメイカと違って
なんか3ヶ所くらいで強固にくっついてるみたいで

指でブチィッって千切らないと
胴体が浮いてくれなかった

ゲッソー

この中心に、口とクチバシがある

エギは短い脚に引っかかってたし
エギを食べてはなさそう

確かに10本ある

タラバガニの、実はカニじゃないみたいな
詐称がなくて良かった

貴重なスミが……

取り外すのに手こずったせいで
圧迫祭りになっちゃって、スミがぶにょって出ちゃった

皮を剥がないと
加熱時に皮だけが縮まって、身がイカロールしちゃう

とりあえず中央に線を入れて、皮を左右に開いたら
崩玉と融合した藍染みたいになった

スルメイカだったら、皮を1周ぶん剥がせばイイけど
エンペラが邪魔して1周できない……

アオリイカ脊髄剣

背骨でなく
アンモナイトだった時代の殻が退化したもので、軟甲と呼ぶらしい

これからアオリイカを釣るたびにコレクションしたいので確保

墨袋が見つからない

スルメイカならば、ボディの先端に卵とか、墨袋があって
半解凍だと破らずに取り出せるけど

もう破っちゃったみたいで
墨袋が見えない……

ここに海水を出し入れしてるわけだから
左右のはエラかな……

解体のピークは終わった

あとは、頭から可食部だけを分離する

脳とか心臓が複数あるらしいけど、食べられないなら興味なし

目の周りの部分がコリコリして美味しいので
頭の中心線でパーンと割ったけど、その写真はさすがに自粛

ニンニクと唐辛子(ピッコロ)

ペペロンチーノは唐辛子と
それを使ったスパゲッティの両方を指すけど

いちおうペペロンチーノに使う唐辛子は
ピッコロという品種が良いとされてる

ピッコロは日本でも買えるけど
乾燥時に発芽能力を失ってるので
種を手に入れて、毎年その子孫をループさせてる

栽培難度はEだけど、発芽温度が高いため、そこだけ難度Sで
金沢で春までに発芽させるには、文明の力(暖房)が必要

辛さの粒子が細かく、鷹の爪より辛く
風味がぜんぜん違うので、わざわざ選ぶ価値はある

オリーブオイルも
アルドイノを使うと、イタリアの味になる

ニンニクには、そういう伝統的な指定は無いようだし
これは日本の品種を育てたもの

栽培用と料理用を植えて比較実験したけど
ぜんぜん差がなかったので、料理用でイイと思う

量はすべて目分量

毎度のことだけど
私の料理は(メンドイので)ほぼ計量しない

生でも食べられるものばかりだから
足りなかったら途中で足せばイイ

イカスミは油だと聞いたことがあったので
最初からオリーブオイルに混ぜてみたけど、確かに水よりは油っぽい

オリーブの塩漬けを投入

酸っぱみ、渋み、苦み、エグみなど、ちょっとだけ複雑な
雑味を足すと、高級に感じる法則がある

オリーブの塩漬けを味見したら、美味みとエグみがあったので
これは良いと思って、スライスして投入した

テカテカ野菜

火は弱火

この段階は、オリーブオイルにニンニク味を染み込ませるのが目的で
火を通すのが目的でない

パプリカの切り方は
これがベストだと判断した

これはペペロンチーノであって
ジェノベーゼでないので、バジルの量は少なめにした

目、目の周り、口

イカを食べない国をアホだと思うけど

イカを食べる私も
目を食べるのは、ちょっと抵抗あるので

好みってグラデーションで
目を食べるグルメからは、私もアホに見えるのだろう

クチバシを外す

簡単に取れる

口の部分を、能登ではメガラスと呼ぶので
メガロとカマキラスのフュージョンと覚えてほしい

メガラスは、イカで2番目に美味しい部分だと思う

1位は目の周り
3位はエンペラ

イカを投入

野菜を弱火で炒めてた理由は
ここからはイカと一緒に炒めるから、先に野菜だけ柔らかくしすぎると
グチャグチャになっちゃうため

イカの胴体の短冊切りを、2種類混ぜてある

長辺方向に切ると、長いのが数本でき
短辺方向に切ると、短いのがたくさんできる

それらの割合を1:1にすることによって
食べてる最中に発見して嬉しくなることや、食感の変化を期待してる

残ったイカスミを投入し、軽く炒める

イカスミは水分を失うとネバネバして、イカの実に吸着されて
身の味に、海の深みを足すみたい

ハンチョウのカキ貝みたいに
あまりに人間本位のデザインなので
食われるために生きてるとしか思えん……

この後、麺を混ぜて再加熱するので
ここで火を通し過ぎない

イカは

  1. 生が柔らかく

  2. 加熱すると固くなり

  3. 加熱しまくって繊維を破断させると、また柔らかくなる

のが特徴だけど、スパゲッディは3まで行けないので
1を保って2にしないのがコツ

この段階では、半生くらいで良い

熱湯 + 塩 で茹で始める

具の焼き上がりに合わせて
並列で麺を茹で始めるのが最適化だろうけど

今回は、具が1度冷えることのデメリットがないので
1つずつ余裕をもって確定させてく

白イチジクをむく

右上は、1匹のイカから出た
食べられないパーツすべて

イカスミが、HUNTER×HUNTERの海苔(断面とかに貼られるやつ)
の役割を果たしてくれて、あまりグロくない

汎用生ゴミ決戦兵器

シーバスの時と同じく
端材に残ったエネルギーは、卵として次の日に回収される

フンが増えてきたので
早く畑にまかないと……

第2陣を投入

スパゲッティの具を
第1陣、第2陣、第3陣に分けて考えてる

  • 第1陣は、最初のオリーブオイルの後に炒め始めるもの

  • 第2陣は、麺を混ぜるタイミングで、追加するもの

  • 第3陣は、お皿に盛った後で、上から振りかけるもの

このように分ける理由は、加熱しないと食べられない食材と
生に近い状態で提供したい食材が混じってるため

今回の第2陣は、白イチジクと、残りのバジル

白イチジクは第3陣でも良かったんだけど
少し温めたほうが、甘みが増すと判断した

フィットチーネを投入

個人的に、フィットチーネが最も美味しい麺であり
スパゲッティの王様であり
スパゲッティ・モンスターはフィットチーネだと思う

フライパンでの加熱ぶんを逆算して
茹で時間を1分残して、鍋の火を止める

茹で汁を入れる派と、入れない派があるけど
今回は入れない

カラカラでドライなスパゲッティが
イカスミには合うと思うから

追いオリーブオイル

麺がパラパラ分離するように
オリーブオイルをたらす

生でも飲めるものだし、生のアルドイノは超美味いので
加熱した油と混在することを気にしない

そしてェーーーーッ

第3陣

第3陣として投入するのは
粒の粗い岩塩ッ!

ガリガリしたテクスチャな食感が目的なので
どこ産でもイイけど、これはオーストラリアのピンク色のやつ

できあがり

ホットケーキの場合と同じく
黄色い食べ物なので、青い皿に盛る

カプリ島の青さをイメージッ!

ミケーネ文明のタコの土器も
なんか青かったし、人間讃歌ッ!

岩塩は最後にパラパラ振りかける

あらかじめ味見しながら進めてるけど
具の塩分は抑えめにしておき
食べる人が、自身で足し算できるのが良い


味変を可能な回数、という概念も大事にしてる

スパゲッティで最も美味しいのは1口目で
徐々に飽きとの戦いになる

麺 → イカ(海の味)→ 麺 → パプリカ(甘み)
→ 麺 → 偶然オリーブを噛む(エグみ)→ 麺 → 唐辛子の種を噛む(辛味)
→ 麺についた岩塩のかたまりを噛む(食感の変化としょっぱさ)
→ 埋もれてた白イチジクを噛む(甘さが辛さを引き立てるッ)

のように、どんどん変化させていき
気づいたら80%を食べ終わってて

麺より具の割合が高くなってくから
後は、オリーブオイルに溶け込んだ旨味で完走でき
最高の満足感を持ってもらえる、という計算……

このような味変のネタが
三角食べできない、スパゲッティのような1品料理では大切で
フリーザの変身回数くらいあると安心


これを入れとけば美味くなる
ってお手軽な食材として、トマト、アンチョビ、オイルサーディン
などがあるけど、今回はイカが主役なので避けた

釣れてすぐシメたりしなかったけど
超美味しかったので、刺し身とかでないと関係ないのかも……?

小さいイカでも、4皿ぶんくらいのボリュームになった

アオリイカという食材、やばいわ……


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