仕事と先輩とコーヒーとの付き合い方

たまに一緒に仕事をする方はいつも仕事の始まる前にコーヒーを出してくれる。しかし私はコーヒーなどのカフェイン系に弱く、カフェインを摂取するとトイレに行く回数がいつもより多くなる。30分に1回くらいでトイレに行くペースになる。すぐに尿意を感じてしまうのだ。そのため、この方と仕事をする時は、別に話出せない雰囲気の方ではないし、いつも断ろう断ろうと思うのだが、30も上の年齢の方のご厚意を断りきれずに頂いてしまう。

なお、私がトイレに行く回数は他の人より圧倒的に多い方である。普段でも仕事の時は1時間に1回くらいのペースで行く。回数が多いのは仕方のないことで、うちの職場や仕事がすぐにトイレに駆け込める環境ならそれでいいのだが、そういう職場や仕事ではない。1時間以上自由にトイレに行くことができないこともざらにある。また、トラブルが起きた時にはそれ以上の時間、トイレに行けなくなることも考えられる。そのためトイレは行ける時に行くべきだと考えているのだ。正確に言えば行けなくはないのだが、ある程度の人数のお客様を自分のトイレのために待たせてしまうことになるのだ。それは忍びない。


今回も仕事の前にコーヒーを頂いてしまった。100mlくらいの紙コップに3杯も。休憩時間ギリギリまで念入りに尿を出し切り、いざ仕事に臨む。次の休憩まで50分くらいだ。頑張ろう……。…………。

始まって15分後くらいに強烈に尿意が来た。こうなるともうどうしようもない。それからの時間は仕事そっちのけで尿意と闘った。自分の体をつねって痛みを感じて尿意を逸らしたり、どこかで尿意を感じにくくする方法として見た土踏まずのツボを刺激したりして耐えに耐えた。そして休憩時間になった瞬間、トイレに駆け込んだ。セーフ。なんとか持ち堪えた。正直生きている心地はしなかった。尿意と闘うという部分で大袈裟かもしれないが、尿を漏らすのはなかなかに精神的に来るものがある。

その後の休憩の時にもう1回コーヒーを飲まないかと誘われた。今度は意を決して断ろうと思い言った。
「すいません…。コーヒーを飲むとトイレにすぐに行きたくなるので…、大丈夫です……。」
「了解。自分だけ飲ませてもらうね。」

先輩は悲しそうな顔を少ししていたが、お湯を注ぎに台所へ向かわれた。よし、なんとか言えたぞ。30も上の先輩の誘いを断るのは心苦しいが、ずっとトイレに行きたいという気持ちで仕事に支障をきたすよりは断然良かった。その日は結局先輩との雰囲気が悪くなることもなく、コーヒーを誘われることもなく、仕事は終わった。

別の日にその先輩と仕事をする時があった。前回コーヒーの誘いを断ったし、コーヒーは出ないだろう。仕事頑張るぞ……。
「コーヒー飲もうか。」

まだコーヒー出るんかい。
いや、待てよ。今日の仕事はトイレに行くために抜け出せる時間が各所にあるな……。
「…………。少し頂きます……。」

結局尿意で困ることなく、その日は終わることができた。正直なことを言えば、コーヒーを勧めてくること以外は話しやすいしいい先輩だと思う。先輩からの誘いを断りきれずにずるずると引き延ばしてしまう私の意思の弱さもあるが……。

今後もこの先輩と一緒に仕事をする時にはコーヒーが出てきて、誘いを断るか、尿意を我慢し切れるのかとの葛藤が始まるであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?