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曇りの帰路 2023/09/13

日記

・旅行最終日だ。

・と言っても、今日は飛行機に乗って帰路に着くだけなので旅行らしいことは何もできないのだが。あと、ロサンゼルスにしては珍しく曇天。

・この数日間ほとんど毎日使った電車に乗って、ハリウッドの街を出る。

・良いところだったと思う。そこら中から大麻の匂いがして、ある通りは旅行3日目から動物の死骸と人糞を混ぜたような匂いがするようになったけど、碌に英語が話せなくてもにこやかに対応してくれる人ばかりで助かった。1日目は、アジア人だから背後から突然唾をかけられたり、ぶん殴られたりするかもと怯えていた。


・直通のバスに乗り継ぎ、空港に着いた。

・飛行機の離陸時間よりもかなり早く着いたので、おみやげなどを物色する。

・時間までプラプラと歩いていたらケンタッキーを見つけた。マクドナルドとかダンキンドーナツとかいろんなジャンクフードを食べたけど、ケンタッキーはまだ食べていなかったなと思い、このあと機内食が出るとわかっているのに買ってしまった。

・バーガーとクリスピーチキン、ビスケット。なんで箱に入れたまま写真を撮ってしまったんだろう。

・この中で日本のものとの違いが特に大きかったのはビスケットだ。日本のドーナツを縦に膨らませたような形とは違い、スコーンに近い見た目になっている。ただ、違うのは見た目だけで味は一緒。


・そんなこんなで飛行機に乗り、離陸する時間に。さらばロサンゼルス、さらばアメリカ。いよいよ飛び立つという段になって、急に寂しさが湧いてきた。

・あぁ、きっともう二度と来れないだろうけど、映画の中では何度も何度も出くわすんだろうなぁと考えたら無性に寂しくなる。あと、単純に楽しかったから日常に戻るのが惜しい。帰れば全員日本語で、セブンイレブンにはフローズンドリンクを作るマシンも大きなピザもない。私は観光客でなくなる。


・アンニュイな気分に浸っていたら、機内食のビビンバが来た。めちゃくちゃおいしい。あまりにおいしくて、感傷が吹き飛んでしまった。大韓航空恐るべし。

・機内映画が日本語字幕に対応しているのも嬉しいね……。


・まず、 『missing』を観た。

・幼い頃に父親を亡くしたジューンは胸に空いた穴を埋められないまま高校生になっていた。ある日、恋人と旅行へ行った母がそのまま行方不明になってしまう。メールやウェブ上に残された痕跡をもとにジューンは母の行方を探すが、次第に彼女の知らない事実が明らかになっていき……というおはなし。

・すごすぎる……。前作の『search』と同様、全編がメッセージアプリやFace time、防犯カメラ映像など、パソコン画面上の映像として展開される。最初に続編の話を聞いた時は、二番煎じになるんじゃ……とか、大傑作の前作を越えられないんじゃ……と思ったものの、杞憂も杞憂だった。事件の始まりから終結まで全てにテクノロジーが関わっているのは前作から引き継ぎ、その上で表現方法も劇的に進化してよりスリリングになっている。「全編パソコン画面」が全然制約になっていないのが本当にすごい。

・「親が子供を探す」という前作の構図と反転して「子供が親を探す」という話で、主人公がデジタルネイティブだから最新のツールを活用したり、裏技的な方法で捜査を進めるのが面白い。とにかくスピーディーだ。

・ただ、デジタルには精通していてもまだ若く不安定な部分が多い主人公をサポートするのが、コロンビアの便利屋おじさんハビエルだ。テレビ電話の画面に彼が見えたときの心強さたるや。めちゃくちゃ好きになった。

・『search』『missing』と、全編スクリーンというアイデア一発勝負ではなくシナリオも練りに練られていて、しかもスクリーン上の話じゃないと成立しないのが驚異だ。どうやったらこんな作品ができるのか……。


・次にトムハンクス主演の『オットーという男』も観た。

・半年前に妻を亡くし、抜け殻のように生きている堅物な男、オットー。彼の習慣は近所の見回りをし、マナー違反を犯している者がいれば叱責すること。そんなある日、隣にとある一家が引っ越してきて……というおはなし。

・堅物でちょっと嫌な老人が若い家族との交流を通して変化していくという、割とシンプルでベタな話ではあるものの、トム・ハンクスの演技から真に迫った「オットー」の人生が伝わってきて良かった。最初から最後までご近所の範疇の話で、起きる事件も小さなものばかりなのだけど、だからこそ最小単位としての「そこで生きる人」の重みが感じられた。

・ストーリー、セリフ、演出のベタが気持ち良い映画である一方で、最後の方はそこまで踏み込むのか!という展開にもなっていって驚いた。でも、『オットーという男』というタイトルならあそこまでいかなきゃ嘘だ。


・例によって日付変更線を超えて時空を突き抜けるため、これが9月何日付の日記なのかわからない。私の感覚だと9月13日の日記なんだけど、東京に着かないとネット環境が使用できないから、更新できるのは14日なんだよな。じゃあ14日の日記は何?という話にもなってくる。

・自分が寝て起きた時を日付の移行とみなせばいいのかな。日付って数字だからわけわかんないことこの上なし。感覚で数字と戦う。そして勝ってみせる。


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